※毎日新聞サイトから転載
トカラ列島では“黒い太陽”見えず
月が太陽を完全に覆い隠す今世紀最長の皆既日食が22日午前、各地で確認さ
れた。日本の陸地で見られるのは46年ぶりとあって、鹿児島県のトカラ列島、
種子島南部や奄美大島北部などに2万人近い天文ファンが集結したが、6分
25秒と陸上では最も長い時間観測できるとして約1100人が集まったトカ
ラ列島(十島村)の悪石(あくせき)島では風雨が強まり、竜巻の可能性があ
るとして屋内への避難が呼びかけられる一幕もあった。
晴天に恵まれたのは北硫黄島(東京都小笠原村)付近の太平洋上で、今世紀最
長となる6分39秒の皆既日食が確認できた。“黒い太陽”の周りに普段、肉
眼で見えないコロナが真珠色に広がって見えた。近海では、普段は東京と小笠
原を結ぶ「おがさわら丸」や、兵庫県立大がチャーターした「ふじ丸」など、
天文ファンを乗せた船が集まり、天文ショーを楽しんだ。
今回の皆既日食はインド北部から始まり、直径約250キロの巨大な月の影が
時速2千キロ以上で東に移動。中国の武漢・上海といった大都市を通り、南西
諸島では午前11時前、北硫黄島付近では11時半ごろに起きた。交通の便の
よい上海近郊で観察しようと、中国に渡る天文ファンも多くみられた。
皆既日食が次回、日本で見られるのは26年後で、北陸や北関東で観測できる。
(産経新聞 2009/7/22)
昨日の皆既日食を満足のいくまで堪能できた方は、結局、チャータ
ーしたクルーズ客船で晴れ間を探して硫黄島まで移動できた方か、
中国の重慶まで探訪ツアーに行かれた方しかいなかった様です。
そういう意味では、本当にごく一部の方しか、日食を満喫できなか
った訳ですから、殆どの方は、公平に見れなかったという事で我慢
頂くしかありません。
私は、東京都心部にいましたが、天候は曇りで、とても見れないと
外に出るのも諦めてしまいました。それでも、11時頃には、全体
に薄暗くなった様に感じ、これも日食の為かと少し楽しめた気がし
ました。頑張って外で観察していた同僚の中には薄い雲を通して欠
けた太陽を見る事ができた人もいた様です。
さて、日食ですが、実はそれ程、稀な現象ではありません。
太陽、月、地球が一直線上にならぶ機会は、新月毎に発生します。
地球の公転面と月の公転面が、完全に一致していれば、毎年12
回は日食が発生する事になります。
しかし、実際には両者は、5度近くずれていますので、この両軌道
が交わる場所(月の昇交点・降交点といいます)付近にいる時に限
られる事になります。この現象は実は年に数回発生していますの
で一年に日食はコンスタントに二回~四回、まれに五回発生して
います。つまり世界的に見れば、半年に一回から三ヶ月に一回発生
している通常の天文現象とすら言えるのです。
ただし、そういった普通の現象であっても、地球に落ちた月の影の
大きさは、概ね月の大きさに等しく、その中に入らないと日食を見
る事はできません。ですから、同じ場所で日食を見る事ができるの
は稀という事になります。一方、月食も同じ理屈なので、発生回数
は日食と似たような回数なのですが、月が地球の陰に入ると、月に
面している地球上からはどこからでも月食を観測できるので、同じ
場所で月食を観測できる回数は日食を観測できる回数より遥かに多
くなります。平たく言えば、月食では大騒ぎにならなくても日食は
大騒ぎになる事になります。
しかしながら、先ほども述べた様に、地球全体では日食はコンスタ
ントに発生していますので、どうしても、日食を見たいという方は
タレントの誰かさんの様に、海外で日食を楽しむという事も良い方
法ではないかと考えます。それは、今回の日食で、上海にいかれた
方と同じ事をする事になります。
次の日食は、2010年1月15日にアフリカ中部、モルディブ、インド
南部、スリランカ、ミャンマーで金環食が観察でき、日本でも西日
本中心に部分日食を見る事ができます。
また、2010年7月11日はイースター島を含むポリネシア、チリ南部
およびアルゼンチン南部で皆既日食を見る事ができます。
少し遠いですがご興味のある方は、チャレンジされれば如何でしょ
うか。
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