2010年6月18日金曜日

戦闘機供与拒否で、中国は、北朝鮮への影響力強化を図る?

※写真はF-15K。Jetpics.comから転載

金総書記が中国に戦闘機供与を要請、拒否される 韓国紙報道

17日付の韓国紙、朝鮮日報は、北朝鮮の金正日総書記が5月に訪中した際、
中国の胡錦濤国家主席に最新鋭戦闘機の無償供与など軍事支援を公式に要請し、
拒否されたと報じた。北朝鮮内の消息筋が明らかにした。

消息筋によれば、中国側は、北朝鮮が攻撃された場合、十分に防御、支援する
ので北朝鮮があえて最新の兵器を保有する必要はないと説得したという。

朝鮮日報は、北朝鮮を脱出した元幹部の言葉を引用しながら、金総書記が哨戒
艦撃沈事件以降、米韓の軍事的攻撃の可能性に相当な危機感を持ち、韓国の
F15、F16戦闘機を防げる中国の最新鋭戦闘機を求めたと分析している。

(産経新聞 2010/06/17)


現在、韓国は最先端の戦闘攻撃機であるF-15Kの導入を推進し
ています。戦闘攻撃機と言いますが、実際には戦術爆撃機であると
言って良いでしょう。戦場で陸軍の攻撃を直接、間接に支援する役
割を持っています。元々F-15は制空戦闘機として開発されまし
たが、その優れた機体性能を利用して、空対空戦闘以外の兵器搭載
能力を強化し戦闘攻撃機とする為の大改造が行われました。その結
果、機体にぴったりとフィットした増加燃料タンクと機外兵装搭載
用パイロンを持つコンフォーマルタンクが増設され、エンジン推力
の増強やレーダーとFCSの機能が強化されたF-15Eが開発さ
れました。その最新型が韓国が導入中のF-15Kという訳です。
既に40機近くが配備されており、更に20機が追加導入される予
定となっています。

韓国は、北朝鮮に対する陸軍での量的劣勢に対し全般的な質的優位
と航空優勢によって対抗していますが、このF-15Kの導入によ
って、戦場での制空権を完全に韓国に奪われてしまうと北朝鮮が懸
念する事は理解できない事ではありません。その点で、金正日が、
中国に最新鋭戦闘機の無償供与を要請したという報道は理解できる
のです。しかしながら、中国もしたたかです。単純な軍事援助では、
一見、供与兵器の部品供給ルートを押さえたと思っていても、北朝
鮮が、イラン、シリアと言った「悪の枢軸」を経由し旧ソ連製兵器
用部品の闇供給ルートを通じて代替部品を取得する可能性も考慮し
たと考えられます。

そして、最新戦闘機を供与する替わりに、中国の戦闘機による抑止
力の傘を提供するという訳です。この場合、抑止力の信頼性は、北
朝鮮の中国に対する態度によって担保される事になります。つまり、
北朝鮮が中国のより強い影響下に入ると考えられるのです。

勿論、北朝鮮は韓国と比べ、量的優勢を確保しているというものの
質的側面では軍事面の全てで老朽化が目立っており、制空能力面で
の劣勢は、その一つに過ぎません。また、北朝鮮は、独自の核開発
を行う事で核抑止という最高レベルの抑止戦略で中国からの離脱を
現在も図っている処です。今回「北朝鮮が攻撃された場合、十分に
防御、支援するので北朝鮮があえて最新の兵器を保有する必要はな
い」と中国が主張したというのが事実であれば、このロジックは核
抑止に関するものと同じであり、中国の北朝鮮に対する嫌がらせと
も言えなくもありません。

そういう面では、北朝鮮への中国の影響力を強化すると言う中国の
施策は、直線的に実現に向かっている訳ではありませんが、北朝鮮
が、軍事の全ての分野で時代に取り残されつつあるのもまた事実で
す。その事実を活用しながら、長期的に目的を達成する事を中国が
考えている様に思われるのです。


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2010年6月17日木曜日

「イカロス」宇宙空間で初の自分撮りを公開

※写真はJAXA Webサイトから転載

宇宙ヨット「イカロス」の写真を公開 JAXA

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は16日、太陽光の微弱な圧力を受けて飛
行する世界初の宇宙ヨット「イカロス」が大きな帆を広げて飛行する写真を公
開した。宇宙空間で探査機自身の姿が撮影されるのは珍しい。

写真は14日、地球から約1000万キロ離れた金星方面への軌道上で、イカ
ロスから分離された小型カメラが撮影。中心にある円形の本体から一辺約14
メートルの帆が広がり、太陽光を受けて闇の中を飛行する様子がわかる。

イカロスは太陽光の圧力を利用した加速や軌道制御、帆に張り付けた薄型太陽
電池の発電などを行う小型ソーラー電力セイル実証機。10日に展開し終えた
樹脂製の帆は厚さが髪の毛の太さの10分の1程度で、飛行経過は順調という。

イカロスは5月21日、JAXA種子島宇宙センター(鹿児島県)から国産大
型ロケット「H2A」17号機で日本初の金星探査機「あかつき」と一緒に打
ち上げられた。

(産経新聞 2010/06/16)

実は、宇宙空間で自分の姿を撮影したのは、イカロスが始めてでは
ありません。新型ロケットの発射時の様に、問題が起こりそうな処
にテレビカメラを設置し、映像をテレメトリーで地上に送る事など
はごく普通に行われています。イカロス以前のソーラーセイル展開
実験などは、そういう形で実験の結果の写真を得ています。

また、子探査機が撮影した映像の中に探査機の一部が写っていた事
もあります。小惑星探査機「はやぶさ」が、子探査機ミネルバを放
出した際にミネルバが取った写真の中に「はやぶさ」の太陽電池パ
ネルが写っていたのが、この例であると思います。

広義の自分撮りとしては、「タイ・ファイター」(映画スターウォ
ーズでダースベイダーの搭乗した宇宙戦闘機機)そっくりと有名に
なった、小惑星イトカワに写った「はやぶさ」の影の写真なども上
げられると思います。

偶然写った自分撮りを別にすれば、明確な目的なしに、探査機が自
分撮りを行う事はありません。宇宙空間で自分を撮影するには、今
回の撮影でも判る様に、自分撮り用の仕掛けが必要になります。

今回はその仕組みを非常に安価に実現している様に見受けられます
が、自分撮り用の仕組みは、一般的には写真撮影用の子探査機と同
じ様な扱いになりますので、その自由度や自律性によっては結構な
コストがかかる事になります。「はやぶさ」の子探査機ミネルバも、
当初は、JPL(ジェット推進研究所)でローバーを提供するという話
があったのですが、その開発費用が「はやぶさ」本体に等しくなり
(百億円以上!)、結局取りやめとなった話が残っています。
その代わりに日本側が開発したら、極めて安上がりに仕上がったと
いうオチが付いています。

一般の探査機が自分撮りをしないのは、将に、そういう必要がない
からという事がその理由になります。予算やスペースに制約のある
探査機には無駄な事をする余裕はありません。今回の「イカロス」
についても、ソーラー電力セイル実証衛星として、ミニマムサクセ
スの一項目に大型薄膜の展開、展張があるほどソーラーセールの展
開が重要であり、その達成を検証する事が重要度が高い事から、自
分撮りの仕組みも整えられたという訳です。

それにしても、イカロスから送信された自分撮りの写真の効果は圧
倒的です。今まで発表された写真では類推するしかなかった、ソー
ラー電力セイルの展開状態が一目瞭然に分かります。分離カメラは、
その目的を100%達成したと言えるでしょう。これから、建造される
ソーラー電力セイル実用機や複雑な仕組みのアンテナ展開が必要と
なる衛星には、この様な自分撮り用の分離カメラの様な仕組みは必
須のアイテムになりそうです。


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2010年6月16日水曜日

随分安っぽくなった「ソウルを火の海に」という恫喝


「ソウルを火の海に」 北朝鮮、16年ぶり脅迫 「心理戦の拡声器設置は宣戦布告」

北朝鮮軍総参謀部(李英鎬〈リ・ヨンホ〉総参謀長)は12日、「重大布告」を
通じ、韓国側が対北宣伝放送用の拡声器を設置したことについて、「警告通り、
反共和国心理戦の手段を清算するための全面的な軍事的打撃行動に突入するこ
とになる。われわれの軍事的打撃は比例的原則による1対1の対応ではなく、ソ
ウルを火の海にすることまで見越した無慈悲な軍事的打撃である点を肝に銘じ
ておく必要がある」と主張した。北朝鮮当局が「ソウルを火の海にする」と脅
迫するのは、1994年の第8回南北実務接触以来16年ぶりのことだ。総参謀部は
韓国軍に送った布告で、「心理戦は戦争遂行の基本作戦形式の一つであるとい
う点から、反共和国心理戦手段の設置は、われわれに対する直接的な宣戦布告
だ」と表現した。

これに対し、韓国合同参謀本部は「北朝鮮軍の異常な動向はとらえられていな
い。北朝鮮が挑発した場合、その倍以上に懲らしめる準備態勢が整っている」
と話した。

(朝鮮日報 2010/06/14)


「ソウルを火の海に」という北朝鮮の恫喝も随分と軽いものになっ
たものだという感慨を覚えます。普通は相手国の首都を火の海にす
るというのは最大限の威嚇の表現でしょう。そういう表現は安易に
用いては、安っぽくなってしまいます。伝家の宝刀は、なかなか抜
かないからこそ価値があるのです。

今回、北朝鮮総参謀部が伝家の宝刀を抜いて止めさせようとしてい
る韓国の行為とは、たかだか対北宣伝放送用の拡声器を数十箇所に
設置するというものでしかありません。拡声器を設置すれば、戦争
するぞというのは、相手を呆れさせる事はあっても、本気に取らせ
ることは、なかなか困難です。

北朝鮮は、本気である事を説明する必要があります。それが、「心
理戦は戦争遂行の基本作戦形式の一つであるという点から、反共和
国心理戦手段の設置は、われわれに対する直接的な宣戦布告だ」と
いうのでは話になりません。もし、そういうロジックが成立するの
であれば、現在は総力戦の時代なのですから平和的な経済建設競争
ですら、「経済建設は戦争遂行の基本作戦形式の一つである」とい
う事になってしまいます。

北朝鮮がもし、拡声器の設置に対し、ソウルを火の海にする事で本
当に答えた時、それを北朝鮮にとって十分な理由であると理解して
くれるのは「悪の枢軸」仲間しかないに違いありません。その他の
国にとっては顰蹙ものの行為というのが一般的な受け止め方になる
に違いないのです。

今回の件で明らかな事は、北朝鮮が、如何なる情報であれ、自国に
不利な情報を自国民に宣伝されるのは避けたいと思っている事です。
それは、強さを示すものでなく、明らかに北朝鮮の弱さを示すもの
に他なりません。そう考えれば、居丈高な北朝鮮軍人の恫喝も、極
貧国の寡婦の悲鳴に聞こえてくるのです。北朝鮮も随分、落ちぶれ
たものだと言わざるを得ないのです。


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2010年6月15日火曜日

素直に喜びたいが....。都合が良すぎる日本の勝利

※写真は、yahooサイト(スポニチアネックス)からの転載

日本、海外W杯で初勝利=堅守で逃げ切る-カメルーンに1-0

サッカーの第19回ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、1次リーグE
組の日本は14日、当地のフリーステート競技場でカメルーンと戦い、1-0
で勝った。日本は海外開催のW杯初勝利。4度目の出場で、1次リーグの初戦
で勝ったのも初めて。1998年フランス大会で指揮を執った岡田武史監督に
とってもW杯初白星となった。
日本は本田圭佑(CSKAモスクワ)を1トップに置く布陣で臨み、前半39
分にMF松井大輔(グルノーブル)のクロスを本田が決めた。追加点はなかっ
たが、堅守で逃げ切った。日本は19日にオランダ、24日にはデンマークと
対戦する。
同じE組のオランダはデンマークを2-0で下して白星スタート。連覇を狙う
F組のイタリアはパラグアイと1-1で引き分けた。

(時事通信 2010/06/15)


カメルーン戦勝利おめでとうございます。既にどのマスコミでも取
り上げられていますが、今回の勝利で、日本は、ワールドカップへ
参加して以来始めて、外国での大会で、勝利を得る事が出来ました。
これで日本も本当の一人前、本当にそう信じたい処です。

思えば、この数ヶ月の日本代表チームの戦績はとても、希望の持て
る状態ではありませんでした。前回ドイツ大会での惨敗の後、日本
代表チームの建て直しを任されたオシム監督は病に倒れ、その後を
継いだ岡田監督については、アジア地区予選は勝ち抜けたものの、
とても、世界水準の代表チームの監督とは言えず、最早、交代のタ
イミングを逸したので、敗戦処理をやらせるとまでマスコミに書か
れる程の酷評ぶりでした。

それが蓋を開けると、緒戦で、日本にアウェーでの初勝利を呼び込
んだのですから、驚いてしまいます。
思えば、Jリーグの発足以来、今回程、国民から期待されなかった
代表チームもありませんでした。そして、それが逆に危機バネとな
り、代表チームを結束させ、試合でも日本が少ないチャンスを生か
し、鉄壁の守りでカメルーン攻撃を凌ぎ切る事に繋がったと紙面を
埋めるスポーツマスコミやサッカー評論家も多いと思います。

私もそういう評価を、素直に信じたいと思います。でも、試合の内
容から見ると余りにも日本がラッキーであるとしか言い様がないの
も事実です。

直前のFIFAランキングで、カメルーンは、19位、日本は45位でした。
試合でのボール支配率は日本が44%に対し、カメルーンは56%でした。
これは、日本が前半で得た得点を守る為に後半は守備に徹したから
と言えなくもありません。同じくシュートの数は、日本が5本に対
し、カメルーンは11本と二倍以上でした。そして、コーナーキック
は日本が0に対して、カメルーンは3回でした。カメルーンは攻撃
面で日本を圧倒し、再三セットプレーのチャンスを得たにも関わら
ず得点できなかったのが見て取れます。

何故でしょうか。それは波状攻撃をかけている最中にファウルを取
られ攻撃が細切れになったからです。それは審判が相手側のファイ
ルをとった数である直接フリーキックの数をみれば判ります。日本
が29本を得たのに対し、カメルーンは20本を得たに過ぎません。
カメルーンは日本に比べ5割増しのファウルを取られた事になりま
す。しかし、試合を見た印象では、カメルーンの選手が日本選手に
比べ、格別にラフプレーをしていたという印象はありません。解説
者が、日本選手は上手く審判にアピールしていたとすら言っていた
程です。

では、何故、審判は、日本に有利な笛を吹いたのでしょうか?日本
のサッカー協会が審判を買収する事はありません。それ程、勝利に
対する執着があれば、ワールドカップ前にここまで盛り下がる事は
なかったに違いありません。私は、日本に有利な笛があったのであ
れば、その指示は、FIFAから出ていると思います。

FIFAは、元々、世界的なプロサッカー普及の為の組織であり、公明
正大な正義の組織であるとは考えられません。その活動原理は、商
業主義そのものです。FIFAにとって、今や、急拡大しているアジア
マーケットを如何に活性化させるかは、彼らの世界的なビジネス拡
大にも大きな影響を与えます。今回のワールドカップで一言でアジ
アの躍進と表現されていますが、韓国-ギリシア戦でも、事前の予
想を覆して、ランキング47位の韓国が、ランキング15位のギリシア
や破っています。それはランキング45位が、ランキング19位を破っ
た日本-カメルーン戦と好一対であると言えます。

ちなみに、アジアの躍進の結果破れた、ギリシアとカメルーンはFIFA
にとって日本や韓国程重要な市場ではないのは誰しも認める処でし
ょう。なお、北朝鮮は、トリックスターであって、勝った処でFIFA
のマーケット拡大には役立つ事はありません。ですから、実力通り
の勝敗がつく事になります。

その一方で、アジアの躍進がこれから、どこまで続くかには、疑問
が残ります。あまりに安易に決勝リーグへ進ませる事は、次回のワ
ールドカップでより以上の成績を残す期待が失望に終われば市場の
継続的な拡大には逆効果になります。

サッカー市場を持続的に成長させたければ、ワールドカップ毎に戦
績が少しづつ上がっていく事が望ましいと言えます。特に、日本に
関して言えば、今回のアウェーでの初勝利で、ここ数年落ち込んで
いた日本市場でのサッカーの活性化には、十分な効果が期待できま
す。そう考えると、以降の試合では、日本に有利な笛は必要がない
という事になります。将に実力通りの容赦のない試合結果が出てく
る筈です。実際、実力から言えばドイツ対オーストラリアの4対0
のスコアが、オランダ対日本の成績であっても全くおかしくありま
せん。今回のワールドカップへの日本代表チームの本当の挑戦は、
これから始まると言った方が良い様に思えるのです。


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2010年6月14日月曜日

7年60億キロ宇宙の旅終わる。世界初の惑星間サンプルリターン成功!


※写真と図は、読売新聞サイトから転載

「はやぶさ」大気圏突入、60億キロの旅帰還

宇宙航空研究開発機構の小惑星探査機「はやぶさ」が13日夜、7年に及ぶ旅
を終え、地球に帰還した。

飛行した距離は、地球―太陽間の40倍にあたる60億キロ・メートルで、満
身創痍(そうい)の奇跡の帰還だった。機体は大気圏突入で燃え尽きたが、突入
前に分離した耐熱カプセルは、ウーメラ(南オーストラリア州)付近に着地し
た。宇宙機構は今後、カプセルを日本に運び、内部の確認を行う。はやぶさは
月以外の天体に着陸して帰還した人類初の探査機となった。

カプセル内には、小惑星の砂が入っている可能性がある。小惑星の砂や石は、
ぎゅっと固まる過程を経た惑星の岩石と違い、太陽系の初期の状態をとどめて
いるとみられる。米アポロ計画で採取した月の石などに続く、貴重な試料とし
て、世界の研究者の期待を集めている。

はやぶさは、2003年5月に地球を出発。05年11月に地球から3億キロ
・メートル離れた小惑星「イトカワ」に着陸し、砂などの採取を試みた。小惑
星に軟着陸したのは、史上初だった。

しかし、離陸後に燃料漏れで制御不能になり、通信も完全に途絶した。奇跡的
に復旧し、07年に地球への帰路についたが、帰還は3年遅れとなり、劣化の
激しい電池やエンジンでぎりぎりの運用が続いてきた。

はやぶさは13日午後8時21分(日本時間午後7時51分)、インドの上空
7万4000キロ・メートルでカプセルを分離した。同11時21分(同10
時51分)ごろ、まずカプセル、続いて本体がオーストラリア上空で大気圏に
突入し、夜空に光跡を描いて落下した。

本体は大気との摩擦で燃え尽きたが、カプセルは底面が断熱材で覆われており、
パラシュートを開いて減速した模様。位置を知らせる電波を発信しながら降下
して、同11時37~38分(同11時7~8分)ごろ、ウーメラ付近に着地
した。

宇宙機構は、着地点をヘリコプターから確認した。14日にもカプセルを回収
する。今後、日本へ空輸し、専用施設で慎重に中身を調べる。

イトカワで試みた砂の採取は、装置が正常に作動しなかった。しかし、着陸の
際に舞い上がった砂煙が、カプセル内に入った可能性があると期待される。

はやぶさは、新技術のイオンエンジンを搭載した。のべ4万時間稼働して、小
惑星へ往復する長距離の航行を完遂。日本の宇宙技術の高さを世界に示した。

(読売新聞 2010/06/14)


一つの旅が終わったという感じのする「はやぶさ」の帰還でした。
インターネットでの現場中継をご覧になった方も多かったのではな
いかと思いますが、私には、先端の帰還カプセルの後ろで、燃え尽
きていく「はやぶさ」本体の姿が、カプセルを守って自らを犠牲に
する姿の様に見えてなりませんでした。

勿論、実際には違います。化学燃料に十分な余裕があれば、「はや
ぶさ」本体の軌道を変更する事も考えられたのです。しかし、度重
なる事故や故障で全ての化学燃料を失っていた「はやぶさ」には、
その余裕は残っていなかったというのが、本当の処です。

今回の「はやぶさ」の旅は、工学実験機として「はやぶさ」が抱え
ていた潜在的なリスクから来る度重なる故障や事故を、奇跡的とも
言える技術者達の粘りと努力で克服した点が素晴らしかったのです
が、「はやぶさ」の残してくれた技術も、また大きいと言えます。

例えば、月以外の他の天体に離着陸してのサンプルリターンは世界
初の試みです。月からのサンプルリターンは、米国と旧ソ連が達成
しています。また、月以外からのサンプルリターンは、米国がジェ
ネシス探査機(太陽風粒子の採取)とスターダスト探査機(彗星コマ
の粒子採取)で達成していますが、この両者共に宇宙空間に漂う粒
子を採取しただけで他天体への離着陸は行っていません。

これは、地球との間で三億キロという気の遠くなる様な距離から来
る障壁があるからです。三億キロ離れた探査機と地球との電波のや
り取りには、光のスピードでも、30分以上の時間がかかります。
つまり、ある出来事に対応する為に、人間が一つ一つの判断をする
事ができず、探査機にはロボットの様な自律性を持たせる必要があ
るということです。

過去の欧米の探査機では、この様な自律性を持った探査機は、非常
に高価で大型のものになる事が多かったのです。今回の「はやぶさ」
の成功は、「はやぶさ」が高度の自律性と複雑な機構を持つ割には、
非常に安価で且つ小型に仕上げっている事が大きく関わっています。

現在、米国はスペースシャトルに続く計画として地球近傍天体や火
星軌道に人類を送り込む計画を数兆円の予算で計画していますが、
有人と無人の差は大きいとは言え、実際に人間が行ってやる事は、
主として、写真を撮ることとサンプルの採取です。「はやぶさ」の
成功は、それとほぼ同等の事を無人の探査機で行える点を示した事
にあると言えます。

火星軌道とほぼ同じ軌道を描く小惑星イトカワへ離着陸する事と火
星の衛星フォボスやダイモスに離着陸する事とは、それほど大きな
違いはありません。イトカワでサンプルリターンができたのであれ
ば、フォボスやダイモスからもサンプルリターンは可能と言う事に
なります。

平たく言えば、米国が有人で数兆円をかけてやろうとしている事と
ほぼ同じ事を日本は数百億円(はやぶさの予算は210億円でした)
の予算で無人ロボット探査機を使ってやってのける事ができるとい
う事なのです。

民間人工衛星打ち上げサービスや国際宇宙ステーションへの輸送業
務の委託など、2000年代の宇宙計画の大きなのテーマ一つは、宇宙
開発の低価格化である事は疑い様のない事実です。「はやぶさ」の
後継機は、政権交代を受けた予算削減で製造に着手できていません
が、世界的な宇宙開発競争の中で、日本は得意芸である低価格高品
質の自律性のある無人ロボット探査機に力を傾ける事で、「はやぶ
さ」の様な、輝かしい成果を上げ続ける事ができる様に思われるの
です。


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2010年6月11日金曜日

小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」ミニマムサイセス達成!

※図は、JAXA Webサイトから転載

宇宙ヨット 「イカロス」帆を広げる…金星に向かって飛行

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日、燃料なしに太陽の光の圧力を受
けて飛行する宇宙ヨット「イカロス」が帆を広げることに成功したと発表した。
現在、地球から約800万キロ離れた宇宙を金星に向かって飛行している。

地球周辺以外で世界初めてとなる宇宙ヨットの航海が本格的に始まった。
イカロスは5月21日、金星探査機「あかつき」と一緒にH2Aロケットで打
ち上げられた。帆は14メートル四方で、髪の毛の太さの10分の1という極
薄の樹脂製。1円玉の5分の1の重さに当たる光の圧力を受けて進む。

帆は、打ち上げ時に直径1.6メートルの円筒状の本体に収められていた。今
月3日から地上からの無線の指示で展開作業が始まり、10日にすべて完了し
た。慎重に確認を繰り返し、計画より6日遅れとなったが、今のところトラブ
ルはないという。

広げた帆を本体から撮影した画像も公開された。今後、本体からカメラを切り
離し、帆全体を撮影する。開発に当たってきた森治JAXA助教は「いよいよ
航海が始まる。向きを変えたり、さまざまな観測や実験に挑みたい」と話す。

(毎日新聞 2010/06/11)


小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」のミニマムサクセスの
条件は、以下の二項目を達成する事です。
①大型ソーラーセイルの展開
②薄膜太陽電池による太陽光発電

JAXAは11日、イカロスがこの二つを達成した事を発表しました。
大型ソーラーセイルは、一次展開が8日に、二次展開は、9日に既
に達成されており、10日に二次展開の確認と太陽電池の発電が確認
されたという事です。

ただ、イカロス・ファンからすれば、9日に一次展開終了の画面が
公開された後、二次展開完了の発表がないまま、10日はイカロスの
状態は良好ですとしかブログにも記載されていませんでしたので、
一抹の不安を感じた方も多かったのではないかと思います。

既に、イカロスとは800万キロ離れ、交信にも30秒近くかかる訳で
各種の確認にも時間がかかるのは判りますが、ブログやTwitterを
使っているのですから、正式発表前に、「二次展開完了、結果確認
中。」と言った簡単なメッセージがあっても良かったのではないか
と思いました。

それにしても、今回のイカロスがソーラー・セイルの展開が成功し
た事は、探査機レベルのものでは世界初であり、まさに画期的な事
件であると言えます。恐らく、将来書かれる人類の宇宙開発史の中
でも、必ず記載される事項になるのではないでしょうか。
ソーラー・セイルのコンセプトは、今から百年も前から提案されて
いた古くからのアイデアですが、これまで、もっと小型のセイルを
実験的に展開した事はあっても、一個の探査機として大型薄膜を展
開した事はありませんでした。今回、イカロスが使用した薄膜も、
厚さは、髪の毛の十分の一しかありません。それを14m四方に展開し、
その形を維持しなければなりません。その困難さは想像に難くあり
ません。

先行する米国では、ソーラー・セイルに対してはNASAが積極的では
ない事から、個人の寄付で運営されている惑星協会(プラネタリー・
ソサイティ)が主体となって、ピギーパック衛星として開発されて
います。それが、今回「イカロス」が世界初を達成できた理由にな
っています。それでも、失敗したとは言え、過去二回、ソーラー・
セイル実験衛星を打ち上げたのは、さすがに米国の実力と言えます。
イカロスに続き、現在の予定では、今年末に、「Light Sail-1」が、
地球周回軌道に打ち上げられる見込みです。

イカロスは、遠心力でソーラー・セイルを展開を維持しますが、
Light Sail-1は、マストを持ち、それによりセイルの展開を維持し
ます。異なる形式のソーラー・セイルが存在し、各々がその性能を
競う事が、今後のソーラー・セイル探査機の発展に有用であるのは
言うを待ちません。ソーラー・セイルによる宇宙大航海時代の幕開
きを是非、期待したいと思います。


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「羅老号」二号機 打ち上げ失敗!

※図は朝鮮日報サイトより転載

燃料調節失敗?配管から燃料漏れ?海に落ちた「5000億ウォンの宇宙の夢」

ロシアが製造した1段目エンジンに異常?
「羅老」空中爆発 なぜ?


人工衛星搭載ロケット「羅老」は離陸から137秒後に通信が途絶えるまです
べてが順調に見えた。10日午前から韓国とロシアの研究陣が総動員され、最
終点検が行われたが、異常はなかった。しかし「羅老」は結局、済州道(チェ
ジュド)南側の公海上に落ちた。羅老宇宙センターから470キロ離れたとこ
ろだ。韓ロ合同調査団はすぐに「羅老」残骸回収作業に着手することにした。

昨年8月の最初の打ち上げでは、韓国が初めて開発した「羅老」2段目を試験
する機会があったが、今回はそれさえも失敗に終わった。科学技術衛星も丸ご
と失った。最初の打ち上げではフェアリング(人工衛星保護カバー)の一つが
分離せず、衛星を軌道に乗せられなかった。最初の打ち上げよりも惨めな結果だ。
「羅老」開発には1・2回目の打ち上げを含めて計5025億ウォン(約400
億円)の費用がかかった。衛星は136億ウォン。

「羅老」の空中爆発原因はまだ確認されていない。しかしいくつかの可能性が
推定できる。通信が途絶えた137秒経過時点の状況は、1段目のロケットが
火を噴きながら上がっている時で、昨年の失敗の原因だったフェアリング分離
段階の78秒も前だ。1段目のロケットには液体酸素と燃料のケロシン(灯油)
を適切に噴き出す噴射口とその量を調節するバルブがあり、関連配管が複雑に
設置されている。発射の瞬間からすべて燃焼するまでエンジンノズルからは瞬
間的に大量の液体酸素とケロシンが噴射される。

140トンの「羅老」を宇宙空間まで送らなければならないうえ、秒速8キロ
の超高速に達する必要があるからだ。この燃料バルブが燃料噴射量調節に失敗
し、問題が生じた可能性がある。

もう一つはエンジン配管に問題が発生して燃料が漏れた可能性だ。漏れた燃料
に火がつき、エンジン内部が過熱され、爆発したということだ。「羅老」の飛
行経路が当初設計されたものより空気の密度が高い低高度をたどり、飛行体内
外部を損傷させた可能性があるというのが専門家らの分析だ。

1段目のロケットはロシアから輸入された。この1段目と国内で開発した2段
目を連結して「羅老」が作られた。まだ空中爆発の原因は把握されていないが、
こうした事故をもたらす兆候はあった。まず1段目のロケットは十分な試験が
行われていない。完全に開発が終わって本格的にロケット市場に投入されたの
ではない。ロシアのロケット製作会社クルニチェフは「アンガラ」という新し
いロケットを開発しているところだ。そのロケットエンジンは推進力が大きく、
「羅老」ではその力を弱めた。このため「羅老」打ち上げはロシア側からすれ
ば、事実上、開発中である「アンガラ」エンジンの飛行試験格ということになる。
「アンガラ」のエンジンはまだ燃焼試験と安定化作業をしている段階だ。

匿名を求めたロケット専門家は「ロケットを開発するには少なくとも3-4回
のエンジン燃焼試験と飛行試験を行うのが常識」と述べた。「羅老」はこうし
た手順の相当部分を省略したまま衛星を搭載した。開発中のロケットの飛行試
験には費用がかかる実際の衛星よりも、衛星の模型を搭載する。こうした過程
をたどらない場合、惨憺たる結果をもたらす場合が多い。

(中央日報 2010/06/11)


前回、2009年8月、最初の打ち上げに失敗し捲土重来を期した羅老
号でしたが、二号機も打ち上げ失敗という事になりました。
前回は衛星フェアリングの分離失敗によるものでしたが、今回は、
ロシア製の第一段の不具合によるものの様に見えます。

失敗原因については未だ調査中ですが、爆発が発生した際のビデオ
映像では、それまでは、一段目の噴射炎が見えていた処に、小爆発
が生じ、白煙が広がり、その後、発射炎は消え(?)進路が90度近く
右に傾き落下していった様子が写っています。

小爆発が発生したのは、発射後137秒後で、最大推力を発生し、
高度も、約90~100kmに達していたと思われます。大爆発を起こし
ていない処から見て、エンジンに燃料と酸化剤を送るターボポンプ
周りの配管が振動で外れ、そこから燃料か酸化剤が洩れて小爆発を
起こした上、燃焼を維持できずに、推力を失った様に見えます。

なお、テレメトリーデータは爆発時点で途切れていますので、小爆
発ではあっても、ロケットのアビオニクスを破壊する程度の爆発規
模であった事が分かります。

羅老号の打ち上げについては、ロシアのクルニチェフ社が開発中の
アンガラロケットの一段目に使用するURM(Universal Rocket
Modules)の推力を若干低下させたデチューンモデルを使用しています。
このアンガラロケットは、まだロシア国内でも打ち上げの実績はな
く、エンジン試験が行われて以外は、羅老号一段目として打ち上げ
が唯一の飛行実験であると言えます。エンジンそのものはエネルギ
アやゼニット他で実績のあるRD-170の系列エンジンですし、ロシア
の次世代ロケットとしては本命と言える機体ですが、単体としての
実績は十分とは言い難いものです。

ただ、これは、不完全なエンジンを選択した韓国の選択の誤りとい
うより最新の技術を使う時に必然的に発生するリスクであるとも言
えます。但し、ロシアのロケットを使用する決定を行った際には、
韓国側は同エンジンの技術導入を期待し、最新技術を採用したので
すが、実際にはロシアはURMのロケット技術を行う意思はなく、
結局、ロシアのロケット開発を有償で支援しただけに終わったとい
う評価もありえます。(美人局の様に、韓国は技術移転の下心をロ
シアに利用されたと言えなくもありません。)

とはいえ韓国は、ロシアとの契約の中で、ロシア側の責任で打ち上
げが失敗した際には、追加で打ち上げる義務があるという条項を入
れている様です。ロシア側からすれば、追加打ち上げ費用も馬鹿に
なりませんが、韓国がロシアに支払った打ち上げ費用2億ドルは、
HーIIAであっても、二基打ち上げが十分可能な金額であり、URM
の信頼性向上の為にも、ここは、追加打ち上げを行っておくべきで
あろうと思われます。

新しいURMの製造と新しい科学衛星の製造には、数ヶ月を要しま
す。韓国は、今まで安易な方法でロケット開発技術の導入を企画し
てきました。しかし、実際には人工衛星打ち上げロケットの熟成に
近道はありません。あらゆる技術開発と同様、開発の失敗と、その
原因追求は開発ノウハウそのものと言えます。韓国は、ロシアの事
故原因追求に協力する事で、ロケット開発のノウハウ蓄積を図るべ
きであろうと思われるのです。


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2010年6月10日木曜日

日本版GPS衛星の名残 準天頂衛星打ち上げへ






※CGは、JAXA Webサイトから転載

準天頂衛星 1号機 8月2日に種子島から打ち上げへ

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、全地球測位システム(GPS)の
精度向上を目指す準天頂衛星1号機(愛称・みちびき)を8月2日午後10時
54分から同11時54分の間に、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2A
ロケット18号機で打ち上げると発表した。

準天頂衛星は、カーナビなどの位置情報を送信している米国のGPS衛星を補
い、国内での測位を高精度化するための技術実証が目的。米衛星に代わる「日
本版GPS」構築を目指し、官民共同で3基打ち上げる計画だったが、06年
に産業界が撤退、残る2基の開発のめどは立っていない。前原誠司・宇宙開発
担当相の私的諮問会議は10年4月「利用者の強い要望がない限り不要」との
提言をまとめている。

(毎日新聞 2010/06/09)


今やカーナビを始めいたる処で使われているGPS衛星ですが、元々
は、米国国防総省が始めたプロジェクトである事をご存知の方も多
いと思います。例えば、船や飛行機が外部からの情報に基づき自分
が地球上のどの位置にいるかを知る事ができれば、目標位置との比
較を出す事ができ、その差に基づいて飛行経路を修正でき、確実な
航法を期待できる様になります。

実際、初期のミサイルは、GPSの様な外部情報を得られなかったの
でINS(慣性航法システム)を装備し、自分で自己位置を推定して飛
ぶ方式を採用していました。(それ以外にも、デジタル地形マップ
との対比で自己の位置を推定する精密誘導航法などもあります。)

それに比べ、地球を公転する複数の衛星から電波を受信し、その受
信電波から地球上の位置を計算で確定できるGPSは、ミサイルのみ
ならず、飛行機、船、自動車、人といった自分の位置と航法を必要
とする全ての移動物体にとって、夢の航法ツールと言えます。

ただ、元々、米国が自国の軍隊用に開発した測位システムですから
戦時においては、GPS電波の精度の変更やGPS電波の発信停止と言っ
た運用上の制限が出る事が予想されます。米国との関係での疎密は
ありますが、自立的な軍事力を建設しているロシアは独自のグロノ
ス測位システムを保有しており、欧州は、ガリレオ計画を推進中で、
中国もこのガリレオ計画に相乗りする事を予定しています。

今回、打ち上げが決まった準天頂衛星は、日本独自の測位システム
の夢の跡とも言えるものです。

GPSシステムは、高度20000kmの軌道を公転する30個の衛星ネットワ
ークからなっています。この内、三個からの電波を受信できれば、
位置が決定できます。しかし、実際には、衛星に搭載している電波
時計の誤差等もあって4個の衛星電波を受信する事で、正確に自己
位置を計算しています。

しかし、衛星の軌道によっては見通し角度の影響で衛星の電波を受
信しづらい事もあり精度上の問題が出る事もあり、位置決定に時間
を要する事もあります。

当初は独自の測位システムとして構想された準天頂衛星システムで
すが、少ない個数の衛星で測位システムを構成できるという特徴が
あります。その上、GPSの補完であれば、僅か三個あれば十分実用
的な価値出てきます。

準天頂衛星はその名前の通り、日本から見て天頂付近にある時間が
長い軌道を使いますので、GPS衛星からの電波が受信しにくい場所、
例えば、ビルの谷間でも衛星からの電波を受信しやすいという特徴
があります。遠地点の高度は、41000kmと通常のGPS衛星に比べ、二
倍近く遠くなりますので、その分、衛星を大きくして衛星から発信
する電波を強くしてあります。

今回の衛星は、準天頂衛星の最初の一個ですが、それに続く二個の
衛星については、一個目の運用状況を見ながら決定する事になって
います。当初は、官民で第三セクターを作り利用者から利用料金を
取る様なスキームでしたが、米国のGPS衛星の提供サービスが改善
された事もあって、スキームそのものが見直し対象になっています。

ただし、GPS衛星更新計画が必ずしも上手くいっていない事が、
2009年5月にGAO(米国会計監査院)により明らかにされ、場合によっ
ては、数個の衛星が2010年以降、運用できなくなるかも知れないと
報じられました。実際には、更新計画は、その後、改善され、GPS
サービスが停止する様な事態が発生する事はなさそうです。しかし、
衛星サービスは、幾分かの不確実性を必ず含んでおり、サービス停
止を防ぐ為には、一定の冗長度が必ず必要となります。その点、比
較的少ない衛星で、一定のバックアップシステムを構成出来る準天
頂システムは、GPSを補完するという理由だけでも打ち上げる価値
があると思うのです。


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2010年6月9日水曜日

韓国哨戒艦撃沈事件 戦争を恐怖した世論に負けた李明博政権


対北政策にブレーキ? 韓国地方選、与党敗北


【ソウル=黒田勝弘】2日に行われた韓国の統一地方選挙は、事前の予想に反
し野党が大躍進し与党の実質的敗北となった。野党の勝利は李明博政権に対す
る世論の批判を意味しており、李政権にとっては韓国哨戒艦撃沈事件をめぐる
北朝鮮に対する強硬姿勢など、今後の対北政策でブレーキをかけざるをえない
情勢となった。

地方選とはいえ今回の選挙戦は韓国艦撃沈事件が大きな争点になった。与党ハ
ンナラ党は「北の脅威」を強調し安保重視を訴えた。これに対し野党民主党は
南北対決の危険性を強調し、政権・与党の対北政策を批判した。
結果は「戦争か平和か」を訴えた“平和志向”の民主党が、終盤段階で北朝鮮
に融和的な考えの若い世代の支持を集め、票を伸ばした。政権・与党にとって
は「北の脅威」の強調が裏目に出たかたちだ。

選挙結果は、焦点のソウルなど主な知事・市長16人のうち、ハンナラ党が6
人、民主党7人、自由先進党1人、無所属2人で野党が大勢を占めた。与党は
首都圏でソウル市長と京畿道知事が再選を果たし辛うじて面目を保った。
今回の選挙は「北風」と「盧風」の対決といわれた。保守与党のハンナラ党は
哨戒艦事件という「北風」を利用したのに対し、革新野党の民主党は盧武鉉前
政権の主要メンバーが再起を目指して多数出馬。今も盧武鉉ファンが多い若い
世代に期待をかけた。

結果的には宋永吉・仁川市長、金斗官・慶尚南道知事、李光宰・江原道知事、
安煕正・忠清南道知事をはじめ学生運動出身者など盧武鉉系の若手が相次いで
当選。ソウル市長選でも女性の韓明淑・元首相がハンナラ党の呉世勲市長をわ
ずかな差まで追いつめた。

親北・左派系の「盧風」が、保守派が期待した「北風」を押し返したかたちだ。
これは若い世代を中心に多くの国民がもはや、「北の脅威」にはそれほど動か
されないという韓国の政治状況をあらためて示したものだ。

選挙結果を受け、5年任期の3年目の李政権はハンナラ党とともに体勢立て直
しを迫られている。今後、2012年の次期大統領選を目指した動きも出始め
る。与野党とも“次期政権戦略”を構想することになるが、親北・革新系の政
権奪還に向けた勢力復活に拍車がかかるのか、それとも防戦の反北・保守系が
巻き返しに成功するのか、韓国政局は新たな流動期に入った。

(産経新聞 2010/06/03)


事実上、今回の韓国哨戒艦沈没事件は終了しました。韓国の世論は
北朝鮮との対決姿勢は臨まない事が明確になりました。今後、李明
博政権は、直接的な報復行為は控え、国連での北朝鮮非難決議を出
す事だけに努力を傾注する事になります。但し、ロシアと中国が北
朝鮮を名指しした非難決議を避ける動きを示している処から、また、
韓国自体が対決を望んでいない事からも、安保理議長声明レベルの
対応になる確率がますます高くなってきたと言えるでしょう。

今回の統一地方選で判った事は、進歩派十年支配で、若い世代を中
心に容共派が増加した事と、今現在の豊かさを戦争によって奪われ
たくないと考える層が増加した事です。これが今回、保守派有利の
情勢の中で、戦争の危険を訴えた民主党が勝利した理由になってい
ます。

これは、拉致疑惑を北朝鮮が認めた事で世論が急速に硬化した日本
とは全く逆である事に注目したいと思います。日本では拉致事件に
よって左翼の嘘が暴かれてしまいましたが、韓国では逆に、哨戒艦
を撃沈したのが北朝鮮であるという事実は、多くに国民にとって北
との戦争を招く「不都合な真実」となり、保守が排除される原因に
なってしまったという訳です。これは国難に当たって、最悪の選択
をする朝鮮民族の悪風かもしれません。

従来型の解釈(大韓航空機爆破事件当時の議論)であれば、韓国人は、
首都ソウルを北の長距離砲の射程内に収められているが故に戦争に
対する危険に過敏に反応しているという解釈する処ですが、私は、
そうではなく、朝鮮戦争終了後の50年の平和と繁栄、取り分け、
民主化運動で成立した金泳三政権以降の、左派思想が影響した教育
の浸透により、韓国民の北朝鮮に対する精神的な去勢が行われた結
果であると考えます。その代わりに与えられたのは、自国中心の歪
曲史観と反日思想であり、韓国人の左翼進歩派政権が仮想敵国を積
極的に北朝鮮から日本に転換した事もそれを支える事になったと考
えます。

北朝鮮からすれば、多少の経済制裁さえ我慢すれば対韓政策でいく
らでも強硬な政策を取っても、韓国からの軍事的、政治的な報復は
ないと期待できる事になります。また、韓国内の親北朝鮮勢力によ
る政治的デマゴーグが極めて有効に機能する事が確認できた事にな
ります。軍艦を撃沈され46名が死んだところで、例え、証拠があ
っても、韓国国民は、その責任を北朝鮮に対して問う事がない。あ
るいは、北朝鮮に対して責任を問おうとする政治家を排除する事が
可能な訳ですから、北朝鮮は対韓工作をフリーハンドを得た様なも
のと言えます。これらを若き将軍金ジョンウンの卓越した指導力の
結果として神格化する事も可能なのかも知れません。これで、韓国
国民はひと時の魂の平安を得たのかも知れませんが、北朝鮮人民の
苦難の行軍は、まだまだ終わり無く継続する事になります。


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2010年6月8日火曜日

「はやぶさ」の豪州上空着陸想定域への再突入が確実に

※図表は、JAXA Webサイトから転載

小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)のTCM-3、
地球外縁部からWPAへの誘導目標変更完了について


日本時間2010年6月5日13時44分にTCM-3が正常に実施されたことを確認しまし
た。この運用により、地球外縁部から豪州WPA内着陸想定地域への誘導目標変
更が完了しました。

探査機の状態は良好です。

※TCM:Trajectory Correction Maneuver(軌道補正マヌーバ)
※WPA:Woomera Prohibited Area(ウーメラ実験場(立入禁止区域))

(JAXA 2010/06/05)


いよいよ、6月13日の「はやぶさ」の帰還まで、あと一週間を切り
ました。

2005年11月。「はやぶさ」は小惑星イトカワに着陸し、そのサンプ
ルを収集しました。その後のトラブルで、帰還計画は大幅な変更を
余儀なくされましたが、「はやぶさ」は、数々の困難を克服し、地
球帰還への旅を続けてきました。「はやぶさ」の目的は、小惑星の
サンプルを地球に持ち帰る事で、太陽系天体と地球を無人探査機が
往復するのに必要な技術を実証する事にあります。これからが将に
「はやぶさ」の正念場なのです。

過去二ヶ月の間、「はやぶさ」は、TCM-0からTCM-3までの4回の軌
道補正マニューバーをイオンエンジンを使用して完璧にこなしてき
ました。

この4回の軌道補正で、最初は、大まかに地球軌道を捉えているだ
けだった「はやぶさ」は、地球を西から東に掠めるコースを取る様
に、その軌道を修正しています。TCM-3が終わった現在では、目標
は地球外縁からさらにウーメラ実験場上空へ突入する様にピンポイ
ントの正確さで誘導されています。しかし、400万キロの彼方か
らでは、広大なウーメラ実験場も点にしか見えません。突入四日前
に行われるTCM-4では、ウーメラの更に内部に精密誘導する為の軌
道修正が行われます。

不安の要素は、まだまだあります。酷使されているイオンエンジン
には、TCM-4をやり抜いて貰わないといけません。ただ一個残って
いるリアクションホイールにも、あと僅かですが、頑張って貰わな
いといけません。突入の三時間前に行われる帰還カプセルの分離は
正確なタイミングで行われないといけません。そして、それ以上に
帰還カプセルそのものが、惑星間航行速度から大気圏内で急速に減
速する事による高熱に耐え、さらにパラシュートを放出し開傘まで
機能して貰わないといけないのです。これらの作業に、やり直しは
ありません。ただ一回しかないタイミングで実施されなければなら
ないのです。

満身創痍の「はやぶさ」がミッションを500%達成する為には、残っ
たステージで全ての部品が正しく動かなくてはなりません。
「はやぶさ」の現状からすれば、それには今まで以上の奇跡が必要
なのかも知れません。ただ一度だけのチャンスに全てが上手く動か
ないといけない事が連続する一週間です。
一つ一つの作業とその結果に手に汗握りながら、「はやぶさ」の無
事の帰還を見守りたいと思います。

2010/06/09追記
TCM-4は無事完了し、あとは、再突入三時間前の帰還カプセル分離
を待つばかりとなりました。イオンエンジンは無事運用を終了しました。


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2010年6月7日月曜日

シャトル後継ロケット初打ち上げに成功!


※写真はSpaceX社のWebページから転載

米民間企業の商業ロケット、初の打ち上げ試験に成功

6月6日13時18分配信
米民間企業スペースX社は4日、米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から
商業ロケット「ファルコン9」の打ち上げ試験を実施し、搭載した宇宙船模型
を地球周回軌道に乗せることに成功したと発表した。

今回の成功で、国際宇宙ステーション(ISS)への飛行士や物資の輸送に、今
後商業ロケットが使用される可能性が出てきた。

同社はインターネット決済サービス「ペイパル」の創設者、イーロン・マスク
氏が設立。マスク氏によると今回の試験では、予定していた高度250キロの地
球周回軌道へほぼ完璧に、「ドラゴン」と呼ばれる宇宙船模型のカプセルを投
入できたという。カプセルは1年間、同軌道を周回したあと、大気圏で燃え尽
きる予定。

オバマ政権は先に発表した宇宙政策で、ISSへの輸送を民間企業に委託するこ
とにより、NASAが予算枠内で火星軌道到達などの大規模な宇宙探査に一層の力
を注ぐことを可能にするとの計画を明らかにしていた。今回の打ち上げ実験は
その一環とされる。民間企業の商業ロケットがコスト面や効率面で有利かどう
かを確認する意味もあり、注目を集めていた。

米航空宇宙局(NASA)はまもなくスペースシャトル後継機開発を打ち切る見通
しで、今後はISSへの輸送を民間企業に委託する意向を示している。

マスク氏によると、一連の打ち上げ試験がすべて成功すれば、同社は来年にも
物資輸送用の宇宙船の運行を開始したい意向だ。またNASAから契約が得られた
場合、3年以内に同社の商業ロケットでISSへの人員輸送を開始することが可能
だという。

(CNN.co.jp 2010/06/06)


シャトルの打ち上げを見慣れた人から見れば、今回の打ち上げは如
何にも貧弱に見えますが、これが本当のシャトル後継ロケットです。
正確に言えば、今回打ち上げられたSpaceX社のFalcon9ロケットと
ドラゴン宇宙機の他に、オービタルサイエンス社のトーラスIIロケ
ットとシグナス宇宙機がシャトルが行っていたISSへの輸送業務を
担う事になっています。

オバマ大統領は、ブッシュ大統領時代に策定されたコンステレーシ
ョン計画と、それに基づいて開発されていたアレスIとアレスVロケ
ットの開発を停止させていますので、シャトルが退役した後、その
輸送業務を担うのは、COTS(商業軌道輸送)サービスのみという事に
なります。

さて、今回打ち上げられたFalcon9ロケットですが、二段式のロケ
ットで、初段にケロシン・液体酸素を燃料とするマーリン・エンジ
ンを9基束ね、二段に同じくケロシン・液体酸素を燃料とするマー
リン・バキュームエンジンを搭載しています。静止トランスファ軌
道への打ち上げ能力は約4500kgで、日本のH-IIAロケット(H2A202型)
に匹敵するサイズです。H-IIAロケットが高さ53m、直径4mであるの
に対し、Falcon9は、各々54mと3.6mで打ち上げ能力も含め良く似て
います。

但し、Falcon9は、商業打ち上げビジネス用に開発された事で、非
常に安価なロケットとして製造でき運用される様に設計されていま
す。比推力の高い、液酸液水エンジンを使わず、実績のあるケロシ
ン、液酸エンジンを9本束ねたクラスタ設計によりエンジンの大量
生産とそれによる質の安定が期待できます。また、打ち上げ要員を
最小化した運用設計を採用する事で、運用費用を抑える事が可能に
なっています。H-IIAもH-IIを廉価にした設計でしたが、Falcon9は
レベルの異なる合理的な設計がなされているのです。その結果、打
ち上げコストは、30億円強で、H-IIAに比べ三分の一と非常に安価
となっています。その上、最初から有人打ち上げ機への発展が考慮
されています。ちなみに、今回の打ち上げでも、有人カプセルのモ
ックアップを含むドラゴン宇宙機を搭載して打ち上げられているの
です。

NASAはCOTS契約に当たって、トン当たりの輸送コストが従来のシャ
トルでの輸送と比べ、ほぼ同程度となる価格設定をしています。
それだけ見れば、NASAは、民間商業打ち上げサービスのメリットを
享受していない様にも見えますが、そうではありません。民間商業
打ち上げサービスは、そのコストで、打ち上げロケット、打ち上げ
施設、宇宙機、ISS側のランデブードッキングインフラといった一
切を賄わなければなりません。その点を考えれば、それでも最初の
COTS契約を結んだSpaceX社やオービタル社のベンチャースピリット
が判る様に思えるのです。宇宙利用を進める為には、輸送手段が安
価である必要があります。宇宙への往還を安価に行える様になる事
で利用範囲は広がります。今回の打ち上げは、その貧弱な外観とは
裏腹に、宇宙への安価なアクセス手段の提供という実質を齎すもの
として将にエポックメーキングな出来事であると思われるのです。


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2010年6月4日金曜日

無人宇宙実験システム衛星の最新版打ち上げ成功!

※CGは、SERVIS2パンフレットから転載

実証衛星2号機、打ち上げ成功=市販電子機器をテスト-経産省系団体、ロシアで

経済産業省の外郭団体「無人宇宙実験システム研究開発機構」の実証衛星
(SERVIS)2号機が2日午前10時59分(日本時間)、ロシアのプレ
セツク宇宙基地から「ロコット」ロケットで打ち上げられた。約1時間40分
後に目標軌道に投入され、打ち上げは成功した。同2号機は、安く高性能な自
動車用コンピューターや電池などを衛星にも使えるか試す。高価な宇宙専用部
品の代わりに使えれば、国産衛星の性能アップとコストダウンが期待できる。

2号機は、本体が大小の箱2個で構成され、重さ740キロ。太陽電池パドル
を開くと、幅は10.2メートル。地球を南北に周回する高度約1200キロ
の円軌道で1年間運用される。10種類の試験装置を搭載し、宇宙の強い放射
線による誤作動や劣化の程度を調査。2011年度中に部品の選定評価・設計
の第2次指針をまとめる。

(時事通信 2010/06/02)


無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)は、通産省の外郭団
体で、過去にも様々な無人宇宙実験用衛星の打ち上げを行っています。
特筆すべきは、USEFの打ち上げた衛星で過去一つも完全な失敗
がなかった事です。

一番最初に打ち上げたEXPRESS(自立帰還型無人宇宙実験システム)
こそ、予定した軌道投入が行えず、一時的に行方不明になりました
が、これも後日ガーナで回収でき再突入に関するデータ収集を行う
事が出来ました。

また、その次に打ち上げたSFU(宇宙実験・観測フリーフライヤー)
は、打ち上げ8ヶ月後にスペースシャトルで回収され、現在では、
国立科学博物館に展示されています。

それに続く、USER(次世代型無人宇宙実験システム)は、宇宙機
とカプセル部に分かれており、宇宙実験の結果製造された、超電導
材料をカプセル部を再突入させる事で、地上で回収する事に成功し
ています。

このUSERに続く、無人実験衛星がSERVISです。それまで
は、日本のロケットで打ち上げられていましたが、この衛星からは
ロシアのロコットで打ち上げられています。SERVISは、既に
一号機が2003年から2年間運用されており、民生部品・技術を適用
した実験機器を宇宙機システムに搭載し宇宙実証を行っています。

一号機で実証された機器は以下の通りです。
・ ベーン式推薬タンクシステム(VTS)
・ 統合航法センサシステム(INU)
・ 統合電力制御装置(PCDS)
・ 次世代パドル駆動装置(APDM)
・ 無調整化TTCトランスポンダ(ATTC)
・ オンボードコンピュータ(OBC)
・ スターセンサ統合型衛星制御装置(SIS)
・ リチウムイオンバッテリシステム(LIB)
・ 光ファイバジャイロ慣性基準装置(FOIRU)

今回打ち上げられた二号機で実証が行われる機器は次の通りです。
・ リチウムイオン電池実験装置(LIBA)
・ データマネージメント装置(ADMS)
・ 自律フォールトトレラント計算機(CRAFT)
・ リモートターミナル実験装置(PPRTU)
・ 高性能データ圧縮装置(HPDC)
・ 先進測位実験装置(APE) 
・ 先進衛星構体実験装置(ASM) 
・ 磁気軸受ホイール実験装置(MBW)

SERVIS二号機は、今後一年間運用される予定になっており、
これに次いで次世代のASNARO(先進的宇宙システム)が、2011
年度に打ち上げられる予定になっています。このシステムは、次世
代小型高性能衛星のプロトタイプとして、400kg級衛星の衛星バス
を民生品を活用して標準品として製造すると共に、地上解像度0.5m
の地球観測機能をアプリケーションとして搭載する事になっていま
す。

ただ、個人的には、この展開については疑問があります。宇宙利用
可能な民生品の宇宙実証から、それを使った小型衛星の標準衛星バ
スというのは、実用的と言えるのかも知れません。しかし、それ以
前のUSERの宇宙での材料製造技術と回収技術の確立を前提とす
れば、随分と変わった方向にUSEFは変化したと評さざるを得ま
せん。

確かにUSEFの推進してきた無人宇宙実験システムは、数々の成
果を上げており、宇宙を活用する実用的なアプリケーションである
とは言えますし、経済産業省がそれを推進すると理由もあると思わ
れますが、JAXAが推進しているISS宇宙実験室「きぼう」で
の実験との重複関係がある事は、誰が見ても否めない事実であると
思います。

更に踏み込んで言えば、USEFの機能そのものも、JAXAと重
複している事は明らかです。小型高性能衛星の標準衛星バスの確立
など、JAXAの仕事そのものと言って良い様に思われます。

組織も重複、実験設備も重複、成果の面では個別には各々十分とは
言いつつも、世界の宇宙産業にメイド・イン・ジャパンの一分野を
確立する様な芽が出たかと言えば、今の処は残念ながら、ないとし
か言えません。

宇宙関係予算の統一的運用を考えるとUSEFが、民主党の仕分け
に何故残る事ができたのか、素朴な疑問を感じざるを得ないのです。


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2010年6月3日木曜日

鳩山辞任で自民党の参院選敗北が決定?小泉総裁再登板を!


※図は溜池通信からの引用

菅氏を岡田氏・前原氏が支持、樽床氏も出馬表明

鳩山首相の退陣表明を受けた民主党代表選は、4日の投開票に向けて、党内各
グループが準備を本格化させた。

菅直人副総理・財務相(63)は3日夕にも立候補表明の記者会見を行う方針
で、前原国土交通相や岡田外相、野田佳彦財務副大臣が相次いで菅氏支持を表
明し、菅氏への支持が広がっている。

中堅・若手の支持を受ける樽床伸二衆院環境委員長(50)も同日昼、出馬す
る意向を表明した。

新代表は4日午後0時30分ごろ、選出される予定だ。新代表は4日中に衆参
両院で首相指名を受け、同夜、新内閣を発足させる方向だ。同党は、7日に衆
参両院で新首相の所信表明演説を行いたい考えだ。

菅氏は3日午前、国会内で岡田外相に会い、代表選での支援を要請した。

岡田氏は菅氏との会談後、記者団に「権力の二重構造は好ましくないことと、
政治とカネの問題で民主党らしさを取り戻す必要があると伝え、条件が満たさ
れると理解し、菅氏を支持する」と述べた。党運営から小沢幹事長の影響力を
排除するよう求めたものとみられる。

菅氏はこの後、羽田元首相らに面会した。菅氏は小沢氏にも協力を求めること
を検討しているが、岡田氏や枝野行政刷新相ら菅氏支持の有力議員が「小沢氏
の影響力排除」を求めており、小沢氏への対応が焦点となる。

前原グループと野田グループも3日、それぞれ都内で会合を開き、菅氏を支持
する方針を決めた。

一方、樽床氏は3日昼、国会内で開いた会合で出馬する考えを表明し、「日本
の明日を切り開く先頭に立たせていただきたい」と語った。樽床氏周辺は、立
候補に必要な推薦人20人の確保のめどはついたとしている。

樽床氏は衆院大阪12区選出で当選5回。松下政経塾出身で、日本新党、新進
党などを経て民主党入りした。小沢氏に近い中堅議員らの支持を受けている。
樽床氏を支持する議員が小沢氏に「グループ横断の形でやっていきたい」と伝
えたのに対し、小沢氏は「本人の意思なら、やる必要がある」と語ったという。

党内最大勢力である小沢グループ(約150人)は、独自候補を擁立しない方
針だが、「フレッシュな顔が望ましい」との声がある一方、菅氏を推すべきだ
との意見も出ている。

民主党代表選は4日午前9時から立候補の届け出を受け付け、同11時から国
会内で両院議員総会を開き、党所属国会議員423人(衆院307人、参院
116人)による投票で新代表を選出する。

(読売新聞 2010/06/03)


次期首相は、今の情勢であれば、管菅直人副総理・財務相になりそ
うな形勢です。鳩山首相が退任して溜飲を下げた野党自民党ですが、
内閣支持率と与党支持率の変化を見ると、新内閣発足で、二倍以上
ジャンプしているのが見て取れます。(移動平均になっていますの
で、大きな変化でも三週間後に変化量が最大になります。)

自民党内閣の時は、発足して間無しに新内閣への攻撃が開始されま
したが、民主党内閣には前回は100日ルールで政権批判を控えま
した。今回も同様の扱いになると100日間、新政権は、マスコミ
の批判から無縁という事になります。今から100日間の間という
と8月一杯という事になります。その期間に次期参議院議員選挙が
すっぽりと入ってしまいます。その間、支持率が維持されるという
のは民主党にとっては大きなアドバンテージです。つまり、新政権
はマスコミの批判を受ける事なく、参議院議員選挙を戦える事にな
ってしまいます。過去の支持率推移で見ても、新政権発足後2ヶ月
程度は支持率が高止まりする新政権効果が明らかに見て取れます。

現時点でこそ、自民党は民主党を上回る支持率を得ていますが、過
去の例で見ると、政権交代で与党支持率は約倍程度に上昇します。
5/27調査の報道2001の世論調査では、自民党支持率18.0%に対し、
民主党12.6%と与野党が逆転していましたが、この新政権効果で、
民主党が倍になれば、民主党は25%近くを確保する事になります。
この推測が正しければ、この7月の参議院議員選挙で、民主党が勝
利する確率は極めて高いと言わざるを得ないのです。鳩山首相と民
主党は非常に良いタイミングで新政権へのバトンタッチを行う事が
できたと言えます。

非常に残念な事は、ここ数ヶ月の民主党の失政に対し、自民党はな
んらのイニシアチブを持つ事ができませんでした。今回の鳩山辞任
も自民党と力で成し遂げたのではなく、全く民主党政権の自滅であ
ったと言えます。谷垣自民党総裁の存在感はなきに等しい状況であ
り、国民の耳目を集める事もまた全くありませんでした。

自民党は地道に活動してきたのかも知れませんが、その存在が報道
される事も殆どなかったと言えます。政権党であれば、黙っていて
もマスコミが取材してくれたでしょうが、野党に転落した後は、耳
目を集める事でもなければ、マスコミが取材する事もなく、その活
動が国民の目に止まる事もないという事です。

今回の選挙で、民主党が大勝利すれば、現在の二院制の下では、次
回の衆議院選挙で如何に自民党が勝利しようが、今後6年に亘り、
参議院の反対によって不安定な政権運営を余儀なくされる事になり
ます。

そうならない為にも、自民党は、小泉元首相の総裁復帰も含めた、
国民の耳目を集める改革を行う必要があると考えるのです。


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2010年6月2日水曜日

ガザ支援船団を急襲したイスラエルの虚虚実実

イスラエル軍、ガザ支援船団急襲

イスラエル軍は31日早朝、パレスチナ自治区ガザ地区への封鎖を突破し、支
援物資を届けようとした親パレスチナの国際支援団体の船団を急襲し、イスラ
エルのテレビ局によると、イスラエル兵が船を制圧する際に船上で衝突となり、
船団側の活動家19人が死亡、36人が負傷した。一方、軍報道官は死亡者は
10人だと発表した。イスラエル軍は拿捕(だほ)の過程で支援活動家から銃
や刃物で攻撃を受けたと主張しているが、イスラエルに対する国際的な非難が
高まっている。

フランス通信(AFP)などによると、6隻からなる船団にはパレスチナ支援
の活動家約700人が乗船、建築資材や医薬品など約1万トンの支援物資を積
んで、5月30日にキプロスを出港した。船団は各国のパレスチナ支援団体に
より組織されていたが、船団側によると、死亡した活動家の多くはトルコ人だ
ったという。

イスラエル政府は支援船から銃が発見されたと発表し、「船団はそもそも人道
支援が目的ではなく、テロ行為による挑発を狙っていた」(政府報道官)と非
難した。イスラエル軍は、イスラエル兵10人が負傷したとしている。

多数が犠牲となったトルコでは31日、イスタンブールで数千人規模の抗議デ
モが発生。AFPによると、アルンチ副首相はトルコ政府が国連安全保障理事
会に緊急会合の開催を要請したと発表するとともに、予定されていたイスラエ
ルとの3つの軍事演習を中止することを明らかにした。

非アラブのトルコは1996年、イスラエルと軍事協定を結ぶなど、中東では
数少ないイスラエルの友好国。今回の事件で、すでに温度差の広がりつつある
両国関係が決定的に悪化するとの懸念が強まっている。

2002年に政権の座についたイスラム系の公正発展党(AKP)はアラブや
イランとの関係を重視しつつ、シリアとイスラエルの間接和平交渉の仲介を務
めるなど、中東和平の橋渡し役の立場も模索していた。しかし、エルドアン首
相は08年末に始まったイスラエル軍のガザ大規模攻撃を激しく非難し、両国
の関係は急速に冷却化。イランの核問題でも、トルコは独自の仲介を行うなど
イスラエルとの溝が広がっていた。

一方、国際社会にも非難の声が広がっており、欧州連合(EU)のアシュトン
外交安全保障上級代表は「事件の徹底的な調査」とガザの即時封鎖解除を要求、
クシュネル仏外相が「いかなる状況でも(イスラエル軍による)このような暴
力は正当化できない」と非難した。アラブ連盟は6月1日、カイロで緊急会合
を開く。

イスラエルは、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスが07年6月にガザ
地区を武力制圧して以来、「武器の流入阻止」などを理由にガザの境界管理を
強化。このため、ガザ住民の生活は困窮し、長らく「人道危機」が指摘され、
欧州各国からは封鎖緩和を求める声が出ていた。だが、イスラエルは「ガザに
人道危機はない」(リーベルマン外相)と主張してきた。

(産経新聞 2010/05/31)


ガザ支援船襲撃 封鎖政策の矛盾浮き彫りに

イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区に向かっていた国際支援船団を公海
上で急襲し多数の死傷者を出した事件は、ガザ封鎖によりイスラム原理主義組
織ハマスを弱体化させるとのイスラエルの狙いとは裏腹に、多くの矛盾点を浮
き彫りにする結果となった。国連安全保障理事会の議長声明に「封鎖解除」を
求める文言を盛り込むことは見送られたものの、封鎖政策の有効性を疑問視す
る声はイスラエル国内からも出ている。

1日付イスラエル有力紙イディオト・アハロノトは1面で「罠(わな)」と大
見出しを掲げ、支援船団に乗り込んだイスラエル兵が活動家たちの仕組んだ挑
発に引っかかったとの見方を示した。同国のメディアは「活動家たちから先に
攻撃を受け、やむを得ず発砲したイスラエル兵に責任はない」という点ではほ
ぼ一致している。

しかし、長期にわたるガザ封鎖の効果については、さまざまな議論が出始めて
おり、有力紙ハアレツは「イスラエルは、4年間におよぶ封鎖で苦しむガザに
向かう船を攻撃し、ハマスはロケット弾を1発も撃つことなく圧倒的な勝利を
収めた」とし、「封鎖政策が逆にイスラエルの国際的な立場を著しく損ねてい
る」と指摘した。

安保理議長声明では見送られたものの、今回は欧州連合(EU)も5月31日、
事件の徹底糾明だけでなく、ガザ封鎖の即時解除を求める声明を発表。欧州各
国もアラブ・イスラム諸国と足並みをそろえつつある。

イスラエルは、ハマスがガザ地区を武力制圧した2007年6月以降、境界封
鎖を強化したが、強硬姿勢を取る以外に無策なハマスへの住民の失望から、ハ
マスへの支持は低下する傾向にあったとも指摘される。

しかし、イスラエルが強硬策を取るたびに、ハマスは支持を回復。イスラエル
との和平交渉を進めようとする穏健派のアッバス自治政府議長らの立場は弱ま
り、和平プロセスが停滞するというジレンマも抱えている。

一方、治安上の理由からガザ地区への封鎖措置を取るエジプトのムバラク大統
領は1日、人道物資などを搬入するためエジプト側境界のラファ検問所を開放
するよう命じた。ガザ封鎖に対する非難の矛先がエジプトに向かうのを回避す
る狙いがあるとみられる。

イスラエル軍は5月31日、支援船団側の死亡者は9人だったと発表した。負
傷者は合わせて十数人にのぼったとしている。イスラエル政府によると、拿捕
された船団6隻の乗船者は計679人。うち強制送還に応じたのは約50人だ
けで、ほかは拘束される見込みだという。

国際支援団はさらに、ガザを目指す支援船を向かわせると表明。これに対し、
イスラエル軍は徹底阻止するとの姿勢を明確にしており、ガザ封鎖をめぐる駆
け引きは長期化しそうだ。

(産経新聞 2010/06/02)


今日は鳩山首相の辞任を取り扱う方が多いと思いますので、軽くオ
ヘソの穴がスライスしている私は、こちらの記事を扱います。

まず、ガザ地区です。ヨルダン川西岸とならぶパレスチナ自治政府
の足場の一つですが、実際には、2007年6月以降、イスラム原理主
義を信奉する過激派ハマスの支配下にあります。ハマスがガザ地区
からイスラエルに向け大量のロケット弾を発射し、イスラエルの反
撃を招いたのは、覚えてらっしゃる方も多いと思います。

ハマスは、イランやシリアの影響下にあるので、イスラム圏でも、
それを快しとしない国にとっては、ガザ地区は、鬼っことも言える
存在となっています。

実際、ガザ地区は、イスラエルとエジプトが、境界を管理していま
すが、エジプトは、ハマスに対して必ずしも、融和的ではなく、ガ
ザ地区の国境封鎖をイスラエルと共に実施している程です。
とはいえ、エジプトは表向きは封鎖に協力しているものの、エジプ
ト~ガザ国境の地下には何本もトンネルが設置されており、ガザの
生活物資は、このトンネルから大量にガザに流入しています。

しかし、そうであっても、イスラエルにとって、ガザ地区がハマス
支配が強化されるよりも、イスラム穏健派の影響下にある事が望まし
い訳です。

今回の国際支援団体の船団にしても、イスラエルがガザの海域封鎖
を行っているのは、判った上で、やっています。乗船しているのは
イランの息のかかった、トルコ人活動家で、この処、イスラエルと
隙間風が吹いているイスラム穏健派のトルコをイスラエルと対決させ
るという意図があったと思われます。つまり、船団が阻止されるの
は予想の範囲であり、意図通りの結果あったと言えます。もし、イ
スラエルが船団を阻止しなければ、ガザ地区のハマスが欲しがって
いる物資が手に入る訳ですし、それによってハマスの統治能力が強
化されますので、損はありません。

イスラエルは、イスラエルで、支援船団が組織されている事は、事
前に掴んでいます。ハマスの意図も当然見切った上で船団阻止に出
ています。また、船団阻止に出る事は、バックチャネルでエジプト
にも伝わっていた事はほぼ確実であろうと思われます。
そうでなければ、ガザ~エジプト国境が、こうタイミング良く、開
放される事はなかった筈です。イスラエルにとっては、例え、武器
が、エジプト側から搬入されても、エジプトのガザに対する影響力
が強化された方が、望ましかったと言えます。

ガザ支援船団は、その公表された意図以外にも、多くの隠された意
図や思惑の下に送り出された、それ自体が、仕掛け爆弾の様な存在
です。イスラエルとしては、その様な仕掛け爆弾を送り込まれる事
事態が失敗ですが、それを逆手にとって状況を如何に利用できるか
思考実験を重ねたものと思われます。その結果としての、強硬阻止
は、イスラエルの国家存続意思の表れとしか形容が見つかりません。
イスラエルから見れば、今回辞任する事になったルーピー首相の戯
言「日本は日本人だけのものじゃない」など甘いの一言で片付けら
れてしまいそうです。


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2010年5月28日金曜日

自分の領土問題認識があやふやなのに、国民の国防意識の無さを嘆く首相とは....

尖閣は「未解決問題」? 首相また落第答弁

27日の全国知事会議では、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)
移設問題で協力を求める鳩山由紀夫首相と知事らの議論がまったくかみ合わな
い場面が目立った。
特に首相は、尖閣諸島の領有権問題をはじめ沖縄県が置かれた安全保障環境や
その歴史に関する“落第答弁”を連発。安保政策に関する首相の不勉強が、普
天間問題迷走の主因といえそうだ。

尖閣諸島をめぐり日中間で衝突が起こった際、日米安全保障条約が発動される
かどうか-。知事会議の席上、東京都の石原慎太郎知事がこんな質問をすると、
首相は次のように答えた。

 「(米国に)確かめる必要がある」

だが、この問題は麻生前政権時代にすでに決着済みの話だ。麻生太郎首相や河
村建夫官房長官が国会答弁や記者会見で、「安保条約は適用される」との米公
式見解を確認したことを明らかにしている。

首相はこうも述べた。「(米国は尖閣諸島の)帰属問題に関しては、日本と中
国の当事者同士でしっかりと議論して、結論を見いだしてもらいたいというこ
とだと理解している」

未解決の問題として、これから中国と話し合うかのような発言だが、政府見解
は「解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない」というもの。首相自ら中
国側につけいるすきを見せた格好だ。

また、昭和47年の日本復帰から今年5月15日で38年がたった沖縄県につ
いて、首相は「復帰後27年」と述べた。単純な言い間違いであってほしいが…。

このほか、神奈川県の松沢成文知事から「首相の(防衛)方針が全く見えない」
と指摘されると、首相は「米軍のプレゼンス(存在)を今大きく減らすことが
許される状況ではない」と述べ、最近になって「学べば学ぶにつれ」分かって
きたという「抑止力」論を展開。

ただ、首相は26日夜、平時は米軍は日本に駐留せず有事に駆けつければいい
とする持論「常時駐留なき安保」について記者団に問われ、「封印している」
と述べ、撤回はしない考えを改めて強調している。首相の「抑止力」に関する
本当の認識は不明だ。

知事会の麻生渡会長は会議終了後の記者会見で「(首相は)途中、何を言って
いるのかと思った。そもそも、どんな種類の訓練がどういう事情で必要か分か
らない」と困惑の表情を浮かべた。

(産経新聞 2010/05/27)


「国民は国を守る発想持つべき」 鳩山首相

鳩山由紀夫首相は26日夜、日本の安全保障に関し「この国はこの国の人々で
守るという、すべての国にとって当たり前の発想が今の日本にはない」と危機
感を示した。同時に「それが自然かどうかという発想は国民一人一人が持ち続
けるべきではないか」と指摘した。

記者団が米軍普天間飛行場移設問題に絡めて「(常時)駐留なき安保という考
え方は変わったのか」と質問したのに対し、「その考え方はいま封印している」
とした上で根底の考え方として言及した。官邸で記者団の質問に答えた。

(共同通信 2010/05/26)


普天間移転問題では、解決策として辺野古周辺しかない事に気がつ
いた点で漸く合格点に近づいた鳩山首相ですが、今度は、領土問題
に関して知識が無い事を暴露してしまいました。相手が文句を言え
ば未解決の領土問題になるのでは、その内、対馬も領土問題になっ
てしまうのかも知れません。

日本の立場は、記事にもある通りですが、尖閣諸島の領有権問題に
関しては、中国は尖閣諸島が米国の施政権下にある時には一切、問
題にした事はありませんでしたが、日中平和条約締結交渉中に突然
問題にしてきました。そして、この中国の領有権主張が、尖閣諸島
に海底資源の存在する可能性が明らかになった事と関連していると
いう事は周知の事実になっています。しかしこの日本国内閣総理大
臣殿は、それもご存知無い様です。私には漢字の読み間違いよりも
余程大きな首相の資質に関わる問題だと思いますが、産経新聞以外
のマスゴミは、報道の価値がないと思ったのでしょうか、それとも、
重大な国家機密を漏洩する事を恐れたのでしょうか。

週刊誌によれば、鳩山首相は、北方領土問題の解決も目指している
そうですが、普天間の海兵隊が抑止力の一翼を担っている事を最近
になって理解した首相は領土問題についても、これから勉強するの
かも知れません。ついでですから、北方領土問題で祖父の鳩山一郎
がどんな失敗をしたかについても学んで欲しいものだと思います。

もっとも、鳩山首相の場合、勉強したとしても、どうも一夜漬けの
ものらしく、理解が不十分である様子です。普天間の海兵隊が抑止
力として重要であれば、自分の年来の主張である「駐留なき安保」
は成立しないという矛盾にはどうも気がついていない様です。それ
とも首相お得意の金星辺りのオペレーションリサーチでは、矛盾し
ないのかも知れませんが...。

また、そういう認識の甘さは横において、「この国はこの国の人々
で守るという、すべての国にとって当たり前の発想が今の日本には
ない」という危機感は立派なもんだと思います。しかし、凡人には
その発想は「日本は日本人のものではない」という過去の発言と矛
盾する様にも聞こえてしまうのです。あるいは、日本に住む外国人
に国防の義務を担ってもらい日本人はそれを見習えという首相の高
度な政治的判断なのでしょうか。それとも、「日本は日本人だけの
ものではないけれど、日本を守るのは日本人だけ」なのでしょうか。
いずれにせよ非常に興味深い認識であると思います。ただ、問題な
のは、これが政治学上の問題というより心理学上あるいは、精神病
理上の問題なのかもしれないという事です。

我々は、この首相の下で、これからもやっていけるのかどうか、
7月の参議院議員選挙で明らかにする必要があると思うのです。


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2010年5月27日木曜日

手作り衛星は元々難しい。失敗を恐れずチャレンジを

金星探査機「あかつき」:相乗りの衛星3個所在不明

21日に鹿児島県種子島から金星探査機「あかつき」とともに打ち上げられた
相乗り小型衛星4個のうち、鹿児島大の「KSAT」など3個が所在不明にな
っていることが26日、宇宙開発委員会への連絡で分かった。不明なのはKSAT
のほか、全国22の大学と高専が参加した「UNITEC-1(しんえん)」、
早稲田大の「WASEDASAT2」の2個。残る創価大の「Negai☆」
は電波が受信できている。

(毎日新聞 2010/05/21)

今回、金星探査機「あかつき」、小型ソーラー電力セイル実証機
「イカロス」と同時に打ち上げられたピギーパック(相乗り)衛星は、
4個ありますが、その内、創価大の製作した「Negai☆」を除
く三個が地上局との交信が出来ず、行方不明になっています。

この内、大学、高専連合の「UNITEC-1」は、5月21日に
は、交信できていましたが、22日午前3時以降は、交信できてい
ない状況です。同じく、鹿児島大学の「KSAT」も21日に一旦
交信できていましたが、その後は、交信出来ていません。早稲田大
の「WASEDASAT2」に至っては、打ち上げ以降は、交信が
できない状況が続いています。

創価大学の「Negai☆」については、27日まで連続で受信さ
れていますが、一回当りの交信時間は数分から十数分となっています。
「KSAT」や「WASEDASAT2」についても、軌道はほぼ
同じですから、交信チャンスは、ほぼ同じであると考えられます。

それに対して、「UNITEC-1」は金星への軌道を飛行してい
ますので、交信チャンスは一日一回になります。先行する「あかつ
き」の運用報告を見ていますと、既に、地球からの距離は、200
万キロ以上になっています。

ピギーパック衛星が行方不明になりがちなのは、衛星がそもそも小
さいので、衛星が発信できる電波の強度が低い事があげられます。
また、受信局側も、例えば「あかつき」の場合、直径64mのパラ
ボラアンテナを持つ臼田宇宙空間観測所や同じく直径30mと20
mのパラボラアンテナを持つ内之浦宇宙空間観測所で交信を行って
います。

それに比べ、例えば、今回、UNITEC-1用に、大学、高専連
合が準備できたのは、九州大学に設置した2.4mのパラボラアン
テナでしかありません。2.4mと30mのパラボラアンテナでの
受信できる電波の強度は、156倍もの違いがあります。従って、
受信そのものが大変という事になります。

また、地球低軌道を周回する場合は、上記の交信、受信出力の問題
の他、一度の交信チャンスに交信できる時間が短いという難点があ
ります。例えば、「Negai☆」は一日に地球を16回周回しま
す。これは地球一周に1.5時間しかかからない事です。その分、
日本から見て、衛星は、見えたと思うとあっという間に見えなくな
ってしまう事を意味します。

今回、唯一継続して交信に成功している創価大の場合、大学内のみ
ならず、石垣島や八丈島にも通信局を設置し、交信可能時間を長く
している事が成功につながっている様に思われます。

もともとピーギーパック衛星のさきがけとなった缶サット(Cansat)
は、コーラ缶の大きさの「超小型衛星模型の設計・製作・運用を学
生自身が行うことで衛星開発に必要な知識と技術を獲得する事」を
目的としていました。打ち上げも模型ロケットを使用し、軌道に乗
せるなど夢物語でした。それが、キューブサットに発展し、実際に
軌道に乗せる処まで、発展して来た訳です。元々、衛星の設計、製
作、打ち上げ、運用を学生に経験させる事によって、宇宙技術の基
盤をより広いものにする事が目的である訳ですから、成功するかし
ないかは、二の次と言って良いとすら言えます。

今回交信に失敗したチームも成果に良否に拘らず、是非再度の打ち
上げに挑戦して欲しいものだと思います。

以前に、ピギーパック衛星の失敗を取り上げて、打ち上げ失敗と報
道した新聞社がありましたが、「あかつき」打ち上げにとっては、
ピギーパック衛星は、「おもり」の位置付けしかありません。マス
コミも、ピギーパック衛星の失敗を大きく取り上げすぎない様にし
て欲しいものだと思います。


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2010年5月26日水曜日

韓国哨戒艦撃沈事件 北朝鮮の戦闘態勢は、どこまで本物か?

金総書記が戦闘態勢指示 米韓合同演習で牽制へ

北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈事件をめぐって、韓国の脱北者団体「NK知識人
連帯」は、金正日(キムジヨンイル)総書記(69)が全軍や人民保安省に万
全の戦闘態勢に入るよう指示したとの情報を明らかにした。一方、米国防総省
は24日、北朝鮮の潜水艦探知や海上封鎖を目的とする米韓両軍の軍事演習を
近く実施する方針を明らかにした。バラク・オバマ米大統領(48)はこの日、
北朝鮮政策の見直しを関係省庁に指示、金融制裁の強化やテロ支援国への再指
定など、独自の制裁措置発動について検討する方針を示した。

■「宣戦布告に当たる」

国防総省が韓国軍と合同で実施すると表明したのは、対潜水艦軍事演習と、大
量破壊兵器拡散防止構想(PSI)に基づく海上封鎖訓練。韓国が昨年5月、
PSIへの全面参加を表明した際、北朝鮮は「宣戦布告に当たる」と反発して
おり、緊張が一段と高まりそうだ。

米韓両軍の連携をめぐっては、ホワイトハウスが24日未明、オバマ大統領が
北朝鮮の攻撃に備え、韓国軍との協調を米軍に指示したことなどを柱とする声
明を発表した。

国防総省のブライアン・ホイットマン報道官はロイター通信に対し、2012
年に米国から韓国への移管が予定されている朝鮮半島有事の際の作戦指揮権に
ついて、「まだ決定事項ではない」などと述べ、北朝鮮を牽制(けんせい)した。

米国政府は2008年10月に北朝鮮のテロ支援国指定を解除したが、「テロ
対策に協力不十分な国家」の指定は継続し、北朝鮮企業との商取引を禁じるな
どの経済制裁を続けている。

■主敵の概念復活

オバマ政権は国務省や財務省などに、北朝鮮の企業や個人に対する現行制裁の
実効性を洗い直し、さらなる金融制裁の強化に向けた制裁リストの追加を検討
する方針とみられる。

オバマ政権は、韓国政府が表明した国連安全保障理事会への問題提起を全面的
に支援しながら、北朝鮮を揺さぶる効果的な対抗策を模索していく意向だ。

一方、北朝鮮と韓国の南北軍事実務会談の北朝鮮代表は25日、韓国海軍の艦
艇などが黄海の南北境界水域で北朝鮮水域を侵犯する挑発行為を続けていると
主張、「侵犯行為が続くなら、われわれの領海を守るための軍事的措置が実行
される」との通知文を韓国側に送付した。

また、韓国の聯合ニュースはこの日、韓国政府が北朝鮮を国防上の「主敵」と
する概念を復活させる方針を固めたと報じた。政府当局者の話として伝えた。

韓国政府は1995年から国防白書で「北韓(北朝鮮)は主敵」と表現してき
たが、対北朝鮮「包容政策」を取った盧武鉉(ノムヒヨン)前政権時代、公表
する文書で「主敵」と明記するのは避けることにし、2005年に刊行された
04年版の国防白書から「主敵」の記述を削除していた。

(産経新聞 2010/05/26)


韓国の李明博政権の制裁発表に対し、北朝鮮は、南北関係の断絶を
宣言するなどエスカレーションを始めました。

北朝鮮の交渉戦術は、いつもそうですが、自分から緊張関係を高め
る行為を行い、その立場を変更させる為に譲歩を求めるというもの
です。これが上手くいくと、自分の立場を聊かも損ねる事なく相手
側の譲歩を引き出せます。

これが一番成功した例としては、ブッシュ政権のテロ支援国指定解
除があげられると思います。米国が北朝鮮に手玉に取られた一例で
すが、それが外交上の大失敗と米国のオバマ政権の反省材料になっ
ているのですから、短期的な成功事例ではあっても、長期的な成功
事例とは言えないのかも知れません。

さて、例の如く、北朝鮮は、韓国との関係を断絶した上で、上の記
事によれば、戦闘態勢に入る様、金正日が指示を出した様ですが、
どこまで本当なのでしょか。

軍事用語では戦争準備に入る事を動員(Mobilization)と言います。
動員によって軍隊は平時編制から軍時編制に移行します。欠員は召
集され、武器庫は開かれて武器弾薬が配布され、いつでも戦争に移
れる様に準備します。この兵員の召集と軍需物資の配布は、大変な
量の輸送需要を発生させますので国内の交通機関は、全て軍用に利
用される様になります。

北朝鮮は、もともと、動員を行わなくても、完全に兵員が充足され
ていると言われていましたが、実際には、農繁期の応援や施設の建
設に転用されており、実際の動員が行われれば、大量の人員や物資
の移動が発生する上、この移動コストは唯でさえ弱体化している北
朝鮮の経済的な苦境を倍化させる事は確実です。

今回の戦闘態勢の指示が本物かどうかは、北朝鮮の交通機関の動き
を観察するだけで明らかになる筈であり、そういう事実があれば、
即座に報道対象になると考えられます。

私は、北朝鮮の強硬な反応は外交的なポーズ(ブラフ)であると考え
ていますが、そう言い切れない一面もあります。それは、北朝鮮が
南北の関係断絶は、開城工業団地にも及ぶと言った点です。
北朝鮮は、開城工業団地から毎年40億円に相当する外貨収入を得
ていると言いますから、これを失う事は、非常に痛手になる筈です。
李明博政権も、インパクトの大きさから、これを制裁の通商関係断
絶の対象から外した程なのです。

その様な犠牲を払っても、金正日が強攻策をとってきたのは、今回
の一連の動きに政治的に重要な事項が絡んでいると考えられます。
例えば、金正日、金ジョンウンの権力継承に関係があるのかも知れ
ません。

その意味で、金正日がどこまでエスカレーションを計画しているの
か、単に軍事面のみならず、人的、物的な移動を含む各種の情報を
総合して冷静に判断したいものだと思います。

2010/5/26追記
北朝鮮の発表した開城工業団地関連の措置は、「南北経済協力協議事務所の凍
結・閉鎖および南側関係者の全員追放」で、開城工業団地の閉鎖ではありませ
んでした。やはり北朝鮮はへたれてますね。


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2010年5月25日火曜日

韓国哨戒艦撃沈事件 北は韓国側の宣伝放送再開に報復するか?

軍、北「拡声器照準撃破」→金泰栄長官「自衛権発動」

金泰栄(キム・テヨン)国防省長官は24日、国防部が対北心理戦を再開する
と発表したことについて、北朝鮮軍が拡声器などを照準撃破射撃するとして挑
発した場合、自衛権を発動して直ちに対応するという立場を明らかにした。

国防部はこの日2004年6月15日に中断した対北FM放送である「自由の
声」を6年ぶりに再開した。また25日から対北チラシを風船につけ、北朝鮮
地域に放す予定だ。

北朝鮮人民軍前線中部地区司令官はこれに対し「拡声器のような心理戦の手段
を新たに設置する場合、それをつぶすための直接照準撃破射撃が開始される」
と脅やかした。

(中央日報 2010/05/25)



いつもながら大口を叩く北朝鮮ですが、韓国が今回の事件の報復の
一環として行う、国境地区での拡声器による宣伝放送の再開に対し
拡声器を照準射撃し撃破すると脅しをかけています。

北朝鮮のいつもの手ですが、韓国の出方に脅しをかけて、韓国の対
応策を縛ろうという訳です。ただ、このタイミングで、韓国側が報
復を控える事は政治的にできません。統一地方選挙が近いので、こ
こで報復(注)を延期したり緩和する事は、李明博大統領が漸く打ち
出した対北強行政策が腰砕けである事を示す事になり、世論の離反
を招いてしまいます。

(注)韓国は哨戒艦沈没に関して、以下の7項目の制裁を
行うとしています。
・開城工業団地を除く南北経済協力事業と北朝鮮との交
流を全面的に中断する
・北朝鮮の攻撃への自衛権の発動
・北朝鮮への心理戦を再開
・北朝鮮商船の韓国海域の航行禁止
・韓米の対潜水艦演習
・PSI演習の強化
・国連安保理での協議

一方、野党民主党は、今回の哨戒艦撃沈事件に関して、事件発生以
来、終始、北朝鮮を非難する事を避け、事件発生の責任を李明博政
権の対北政策の誤りを指摘するだけでした。ここへ来て、民軍調査
委員会の結果を受けて、漸く、対北非難の声を上げる様になりまし
たが韓国国民の目からみれば民主党のへたれぶりは全く容認できな
いと言う事になります。

李明博政権とすれば、ここは強攻策をちらつかせていれば、北朝鮮
からの攻撃があっても、民主党との比較で黙っていても、選挙戦の
勝利が得られ、政権基盤を強化できるのですから、弱腰の対応を取
る理由は全くないと言えます。

それでは、北朝鮮は、拡声器に対する報復を行わないのでしょうか?
もし、拡声器に対する照準射撃を行わなければ、今度は、北朝鮮が
実際には、弱腰である事を認める事になってしまい、韓国が、安心
して制裁実施を行える様になってしまいます。そうなっては、折角
細心の注意をはらって実施した哨戒艦撃沈が、薮蛇の結果を招く事
になります。

北朝鮮側は、金正日の威信を守る為にも、弱みを見せられません。
幸い、韓国側のリアクションは予想可能です。攻撃を受けたとして
も、北朝鮮以上にやり返す事は控えるであろう事が予想できます。
つまり、韓国が北側に対して砲撃を返すとしても同程度であると期
待できます。北側からすれば、その程度であれば、国内の体制引き
締めにも有効である上、中国への言い訳や援助の引き出し用に使え
ると考えるかも知れません。現時点に限って言えば、南北双方とも
に砲撃を交換する程度の限定したエスカレーションは好ましいとす
ら言えます。

その様な観点からすれば、今後、南北朝鮮の間で、限定的な砲火の
交換が行われる可能性が大いにあると考えるべきであり、その様な
事態が発生しても、我が国としては、右往左往する事なく、冷静に
対処すべきであろうと思われるのです。


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2010年5月24日月曜日

民主党政権の生煮え政策 つけは、結局、税金に!

鳩山首相「辺野古付近にお願いせざるを得ない」普天間飛行場代替地で

鳩山由紀夫首相は23日午前、沖縄県の仲井真弘多知事と会談し、米軍普天間
飛行場(同県宜野湾市)移設問題について「国内および日米の間で協議を重ね
た結果、普天間飛行場の代替地そのものは沖縄県内に、より具体的に申し上げ
れば、名護市辺野古付近にお願いせざるを得ないという結論に至った」と述べた。

(産経新聞 2010/05/24)

自民党が10年以上の時間をかけ地元対策を行い、地元民、市、県、
米軍の合意を取って進めていた普天間基地移設を、党利党略から、
蹴飛ばし「最低でも県外」と地元の期待を高めるだけ高めた後、や
はり駄目でしたと言えば、非難されるのは当たり前です。

民主党の政策には、本当にこういった実効の伴わない生煮え政策が
多く、所要費用の割に、効果が疑問なものが多い様に思われてなり
ません。

多国籍のアフガニスタン支援策として年間数十億円の負担でインド
洋で行っていたテロ対策の給油活動を停止し、その代わりに5000
億円もかけてアフガニスタンの民政支援を行う事になりましたが、
汗をかかずに金で解決するのかと現地での評判が悪い事は、ご承知
の通りです。子ども手当も、外国にいる外国人の子供にもお金を出
すなど、効果の割には、巨額の費用を要する悪政以外の何者でもあ
りません。税金ではなく、赤字国債で賄われているので、判らない
だけで、いずれその返済は増税で賄われなければならないのです。

今回の普天間問題でも、恐らくは、自民党案通りに進めていたもの
に比べると時間もお金も余計にかかる事は確実です。自民党案に反
対していたのは、知事一人だけでした。埋め立ての認可さえでれば
埋め立てが開始できる状態でした。名護市の市長も地元も了解して
いたのです。当然、地元振興費として費用はかかりますが、それも
既に決着していたのです。

それに対し、民主党と鳩山首相が、基地県外移転の期待度をあげて
しまった為に、元の案に戻す為だけに、巨額の費用を要する事にな
ります。辺野古の地元は今でも移転賛成が多い様ですが、名護市の
市長は反対派に変わっています。反対派の市長を納得させるには、
誠意の他は、お金しかありません。

地元の気持ちをお金で買うのかという議論もありますが、成田空港
の例を見ても判りますが、日本の現在の体制では強権など振るう事
は不可能です。そうであれば、国が意思貫徹の為に使えるものは、
継続的な説得とその誠意の裏づけとしてのお金しかないのです。

沖縄で、今まで想定していた以上の資金を更に費やして、地元の説
得を行わないといけません。埋め立て工事も、コストがかかる方法
で施工する事で地元の企業に資金を回さないといけません。沖縄の
負担を減らす為に、訓練の一部を本土で実施する場合も、実施する
場所の自治体に資金援助を行う事で誠意を見せないといけません。
政策の実行を真面目に非効率に行うという奇妙な光景が沖縄で具現
化する事になります。これが太田中将の希望した沖縄への「ご高配」
なのでしょうか?ごね得以外の何者でもない、沖縄の倫理を破壊す
る愚劣な政策としか思えないのです。

更に、こういう事ばかりやっていれば、お金はいくらあっても足り
ない事は明白です。自民党内閣は、リーマンショック後の特殊な一
時期の対応として、巨額の財政赤字を許容しましたが、民主党内閣
は、選挙の票を得る為に、巨額のばら撒きを継続的に実施するつも
りです。この手の政策は戸別所得補償制度の創設や温暖化ガス対策
などでますます拡大する見込みです。民主党があと3年政権を担っ
た後で、何が残るのか、それが国民が政府から資金を引き出す事や
あるいは首相に倣って脱税にのみ、汲々とする荒涼とした景色で無
い事を祈るのみです。


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2010年5月21日金曜日

祝 H2A F-17金星探査機「あかつき」打ち上げ成功!

※写真は、読売新聞Webサイトから転載。

金星探査機「あかつき」を打ち上げ

「H2A」17号機が21日午前6時58分、鹿児島県の宇宙航空研究開発機
構(JAXA)種子島宇宙センターから打ち上げられた。約27分後、あかつ
きを分離し、予定軌道への投入に成功した。

あかつきは約半年間の飛行を経て、今年12月に金星へ到着。金星上空を1周
約30時間で周回し、約2年間にわたり大気の観測などを行う。

打ち上げは当初、18日の予定だったが、天候不良で3日延期された。あかつ
きの開発費は約146億円、H2Aの打ち上げ費(打ち上げ延期による追加分
を除く)は約98億円。

あかつきは赤外線や紫外線などで異なる高度を観測する5台のカメラを搭載。
金星全体を覆う硫酸の雲や秒速約100メートルで吹き荒れる暴風などを調べ、
謎に包まれた大気のメカニズムを解明する。

日本が惑星探査機を打ち上げたのは平成10年の火星探査機「のぞみ」以来2
度目。のぞみは打ち上げ後の不具合などが原因で火星周回軌道への投入に失敗
した。

17号機はあかつきのほか、小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」など
計5基の小型衛星を搭載した。イカロスは宇宙空間で“帆”に相当する約14
メートル四方の樹脂膜を展開。太陽光が持つ微弱な圧力を受けて飛行する“宇
宙ヨット”で、成功すれば世界初の飛行技術になる。

H2Aの打ち上げは今回で11回連続の成功。信頼性を一段と高め、商業衛星
打ち上げビジネスの新規受注に向けて前進した。

(産経新聞 2010/05/21)


H2Aの17回目の打ち上げが成功しました。H2Aとしては連続
11回。H2Bも含めれば連続12回の打ち上げ成功になります。
今更、表題に「祝」と書くのは、JAXAや三菱重工の関係者に失
礼かも知れませんが、ロケットの発射は、いつまでたってもハラハ
ラドキドキです。

さて、今回打ち上げられたのは、金星気象観測衛星とも言える金星
探査機の「あかつき」です。
「あかつき」は、元々はH2Aではなく、一回り以上も小さい打ち
上げロケットであるM-Vによって打ち上げる予定であったので、
打ち上げ重量が500kgしかありません。本体とSRB-A2本の
H2Aとしては最小構成である202構成でも、打ち上げ重量に余
裕があるので、主衛星の「あかつき」以外に、副衛星とも言える重
量310kgの小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」の他、
ピギーパック衛星を4機搭載しています。この内3機は、地球軌道
に留まりますが、一機は、金星軌道まで飛行する事になります。

「あかつき」と「IKAROS」については、各々、エントリーを
書いています。

「金星大気の謎を探る「あかつき」」
http://ysaki777.iza.ne.jp/blog/entry/1290781/

「金星探査機「あかつき」、宇宙帆船「イカロス」打ち上げ日決まる」
http://ysaki777.iza.ne.jp/blog/entry/1493369/

今回は、金星軌道まで飛行するピギーパック衛星を取り上げます。
この金星に向かって打ち出されるピギーパック衛星は、世界初の大
学開発の深宇宙衛星でUNITEC-1という名前です。(打ち上
げ後、「しんえん」という愛称がつきました。)
衛星のサイズは、縦横高さが各々40cmの立方体で、重量は21kg。
通常のピギーパック衛星の10倍以上の規模となっています。

搭載しているのは、全国22の大学宇宙工学コンソーシアム所属の
大学・高専からコンペで選ばれた6校(東京理科大学、北海道工業
大学、高知工科大学、東北大学、電気通信大学、慶応義塾大学)が
各々製作したUOBC(電力,体積,重量,ミッション内容等の制
約のついたコンピュータ)で、金星への旅で、その生き残り競争を
行おうというものです。

ピギーパック衛星にとっては地球軌道ですら、生き残る上では、な
かなか厳しい環境ですが、地球軌道を離れた深宇宙環境は、更に条
件が厳しくなります。

サクセスレベルは、まず、ミニマムサクセスとして衛星を共同で開
発し,打ち上げ,そして電波の受信に成功することになっています。
フルサクセスは予定された通信可能期間、UOBCの試験結果を受
信・解読できることです。エクストラサクセスは、フルサクセスの
期間より更に二ヶ月以上、UOBCの試験結果または放射線カウン
タのデータを受信・解読できること となっています。

大学や高専、一般企業が、キューブサットと呼ばれる超小型衛星を
打ち上げる事は、珍しくなくなってきましたが、今回は、初の金星
軌道への旅になります。まずは、生き残り競争が成立する為の条件
であるミニマムサクセスが達成される事を祈りたいと思います。

UNITEC-1ウェブサイト
http://www.unisec.jp/unitec-1/ja/top.html

UNITEC-1運用フォーラム
http://arvireo35b.sakura.ne.jp/forumunitec1/index.php


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