2010年5月25日火曜日

韓国哨戒艦撃沈事件 北は韓国側の宣伝放送再開に報復するか?

軍、北「拡声器照準撃破」→金泰栄長官「自衛権発動」

金泰栄(キム・テヨン)国防省長官は24日、国防部が対北心理戦を再開する
と発表したことについて、北朝鮮軍が拡声器などを照準撃破射撃するとして挑
発した場合、自衛権を発動して直ちに対応するという立場を明らかにした。

国防部はこの日2004年6月15日に中断した対北FM放送である「自由の
声」を6年ぶりに再開した。また25日から対北チラシを風船につけ、北朝鮮
地域に放す予定だ。

北朝鮮人民軍前線中部地区司令官はこれに対し「拡声器のような心理戦の手段
を新たに設置する場合、それをつぶすための直接照準撃破射撃が開始される」
と脅やかした。

(中央日報 2010/05/25)



いつもながら大口を叩く北朝鮮ですが、韓国が今回の事件の報復の
一環として行う、国境地区での拡声器による宣伝放送の再開に対し
拡声器を照準射撃し撃破すると脅しをかけています。

北朝鮮のいつもの手ですが、韓国の出方に脅しをかけて、韓国の対
応策を縛ろうという訳です。ただ、このタイミングで、韓国側が報
復を控える事は政治的にできません。統一地方選挙が近いので、こ
こで報復(注)を延期したり緩和する事は、李明博大統領が漸く打ち
出した対北強行政策が腰砕けである事を示す事になり、世論の離反
を招いてしまいます。

(注)韓国は哨戒艦沈没に関して、以下の7項目の制裁を
行うとしています。
・開城工業団地を除く南北経済協力事業と北朝鮮との交
流を全面的に中断する
・北朝鮮の攻撃への自衛権の発動
・北朝鮮への心理戦を再開
・北朝鮮商船の韓国海域の航行禁止
・韓米の対潜水艦演習
・PSI演習の強化
・国連安保理での協議

一方、野党民主党は、今回の哨戒艦撃沈事件に関して、事件発生以
来、終始、北朝鮮を非難する事を避け、事件発生の責任を李明博政
権の対北政策の誤りを指摘するだけでした。ここへ来て、民軍調査
委員会の結果を受けて、漸く、対北非難の声を上げる様になりまし
たが韓国国民の目からみれば民主党のへたれぶりは全く容認できな
いと言う事になります。

李明博政権とすれば、ここは強攻策をちらつかせていれば、北朝鮮
からの攻撃があっても、民主党との比較で黙っていても、選挙戦の
勝利が得られ、政権基盤を強化できるのですから、弱腰の対応を取
る理由は全くないと言えます。

それでは、北朝鮮は、拡声器に対する報復を行わないのでしょうか?
もし、拡声器に対する照準射撃を行わなければ、今度は、北朝鮮が
実際には、弱腰である事を認める事になってしまい、韓国が、安心
して制裁実施を行える様になってしまいます。そうなっては、折角
細心の注意をはらって実施した哨戒艦撃沈が、薮蛇の結果を招く事
になります。

北朝鮮側は、金正日の威信を守る為にも、弱みを見せられません。
幸い、韓国側のリアクションは予想可能です。攻撃を受けたとして
も、北朝鮮以上にやり返す事は控えるであろう事が予想できます。
つまり、韓国が北側に対して砲撃を返すとしても同程度であると期
待できます。北側からすれば、その程度であれば、国内の体制引き
締めにも有効である上、中国への言い訳や援助の引き出し用に使え
ると考えるかも知れません。現時点に限って言えば、南北双方とも
に砲撃を交換する程度の限定したエスカレーションは好ましいとす
ら言えます。

その様な観点からすれば、今後、南北朝鮮の間で、限定的な砲火の
交換が行われる可能性が大いにあると考えるべきであり、その様な
事態が発生しても、我が国としては、右往左往する事なく、冷静に
対処すべきであろうと思われるのです。


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