2008年11月28日金曜日

中国当局者が空母建造を確認!




【社説】中国の空母、政府の対策はなにか

中国の空母建造説が事実と確認された。中国国防部外事弁公室の銭利華主任が
17日付の英フィナンシャルタイムズ紙とのインタビューで、「中国が空母を
建造しても世界は驚いてはいけない。中国は空母を建造する権利がある」と明
らかにしたのだ。空母建造説を中国政府高官が確認したのは初めてという点で
衝撃的だ。中国は2010年までに4万8000トン級の非原子力空母を建造
し、さらに9万3000トン級の原子力空母を2020年までに建造する計画
だとされる。すでに空母用操縦士50人を訓練させているとの説もある。 

銭主任は、「問題は空母の保有ではなく、空母で何をするかだ」とし、「中国
は空母を建造しても、沿岸防衛に使用するだろう」と強調した。沿岸防衛が目
的ならば滑走路を作ればよく、あえて莫大なコストをかけて動く空軍基地を作
る必要はない。全世界に国益がまたがり世界戦略が必要な国の‘戦力投射’装
置が空母であるということだ。 

空母を持っていたり建造中の国は、11隻を保有する米国をはじめ、ロシア・
英国・フランス・スペイン・イタリア・インドの7カ国だ。中国の空母建造は
予定された手順だが、米国に匹敵する大国として浮上している中国の空母建造
は単純に軍事大国化以上の意味を持つ。戦略的利害関係者としての中国の地位
変更を意味する。 

北東アジアの秩序にも大きな波紋が予想される。日本列島から沖縄・台湾・フ
ィリピンへと続く日米海上防衛ラインが危険にさらされ、韓半島にも深刻な影
響を及ぼしかねない。エネルギー・資源と商品輸送を全面的に海路に依存する
韓国としては、安保の次元を超え生存の問題でもある。だからといって軍備増
強で対応するには限界がある。結局米国と緊密な同盟関係を維持しながら長期
的には北東アジア版の欧州安全保障協力機構(OSCE)のような多国間安保
体制に進むしかないだろう。政府がまともな問題意識と対策を持っているのか
心配になる。   

(中央日報 2008/11/19)

中国の空母建造については、かなり昔から噂が流れており、旧ソ連
空母購入による技術吸収が図られていると見込まれていましたが、
今回は中国の当局者が空母建造を認めた点が注目されています。

上記の記事で触れられているFinancial Times紙の記事とは、以下の
ものであると思われます。

日本の新聞は例によって報道していませんが、韓国の中央日報は社
説で取り上げています。韓国は自国が海軍力を増強中なので、中国
の海軍力増強にも関心が深いのかも知れません。上記の社説でも、
空母保有国の数に間違いがあります(ブラジル・タイの二ヶ国も空
母を保有しています)が、大意は間違っていない様に思われます。

中国の国力は、ここ数年で急速に向上しており、一般的には、その
海上国際交易ルートを守る為にも、海軍力増強は不可避であると思
われます。中国の場合はこれに加え、台湾独立の阻止。即ち、台湾
との紛争発生時に来寇すると想定される米空母戦闘団に対抗する為
にも、空母を保有する必要があります。更に将来的には、中国が国
家防衛上に確保すべきだと考えている西太平洋を管制する為にも、
空母が必要とされています。

今回のFinancial Timesとのインタビューでは、建造される空母の
具体的な姿については明らかにされていませんが、単なる国威発揚
の為の建造でないならば、建造数は一隻に留まる事はなく、3~4
隻が1セットとして整備されるものと考えられます。あと、数年で
最初の空母が姿を現します。その時になって日本の為政者が慌てふ
ためく姿は見たくないですね。

なお、Financial Times記事の概要は以下の通りです。

・「中国が空母を建造しても世界は驚いてはいけない。中国は空母
を建造しても、沿岸防衛に使用するだろう」と中国国防部外事弁公
室の銭利華主任は述べた。
・米国防総省は、今年、中国は空母建造に関する研究を活発に実施
しており、2010年までに最初の空母を建造配備するだろうと述べて
いる。また、Jane’s Defence Weekly紙は、先月、人民解放軍が50
人のパイロットを固定翼空母艦載機の要員として訓練していると報
じている。
・銭利華主任は、中国が空母建造を決定したのかどうかについては
コメント避けたが、彼が語った事は、これまでで最も率直に中国が
空母を建造する全ての権利があるを述べたものである。
・銭利華主任は「大国の海軍には、一隻以上の空母を保有したいと
いう夢がある。」と述べると共に、「問題は空母の保有ではなく、
空母で何をするかだ」とし、米国と異なり、中国は、「空母を戦略
目的で使用するのではなく、空母を建造しても、沿岸防衛に使用す
るだろう」と強調した。
・しかしながら、人民解放軍海軍が、ブルーウォーターネイビーに
なる事を懸念するアジアでは、その約束を保証付きのものと考える
人はいない。中国空母が効果を発揮すれば、台湾が関係する全ての
紛争で、台湾の空海軍に対抗する中国本土側戦力を強化する事に疑
いがない。


China hints at aircraft carrier project

By Mure Dickie and Martin Dickson in Beijing
Published: November 16 2008 23:32 | Last updated: November 16 2008 23:32

The world should not be surprised if China builds an aircraft carrier 
but Beijing would use such a vessel only for offshore defence, a senior 
official of the Chinese Ministry of National Defence has told the 
Financial Times.

The comments from Major General Qian Lihua, director of the ministry’s 
Foreign Affairs Office, come amid heated speculation within China and 
abroad that the increasingly potent naval arm of the People’s Liberation 
Army has decided to develop and deploy its first aircraft carrier. 
Traditionally, a carrier would accompany and protect a battle group of 
smaller ships.

The Pentagon said this year that China was actively engaged in aircraft 
carrier research and would be able to start building one by the end of 
this decade, while Jane’s Defence Weekly reported last month that the 
PLA was training 50 students to become naval pilots capable of operating 
fixed-wing aircraft from such a ship.

Maj Gen Qian declined to comment directly on whether China had decided 
to build a carrier, but in the defence ministry’s most forthright 
statement yet on the issue he made clear that China had every right to 
do so.

“The navy of any great power?.?.?.?has the dream to have one or more 
aircraft carriers,” he said in the interview, which aides said was the 
first arranged by the defence ministry on its own premises. 
“The question is not whether you have an aircraft carrier, but what 
you do with your aircraft carrier.”

Though he did not mention the US by name, Maj Gen Qian pointedly 
contrasted the function of a possible Chinese vessel with the way the 
US Navy uses its 11 carriers. “Navies of great powers with more than 
10 aircraft carrier battle groups with strategic military objectives 
have a different purpose from countries with only one or two carriers 
used for offshore defence,” he said. “Even if one day we have an 
aircraft carrier, unlike another country, we will not use it to pursue 
global deployment or global reach.”

That pledge is unlikely to reassure those in the region concerned about 
the PLA navy’s emergence as a blue-water force. An effective Chinese 
carrier could have serious implications for any conflict involving Taiwan 
by strengthening the mainland’s ability to counter the island’s air 
force and control its sea-lanes.

Beijing claims sovereignty over Taiwan and threatens military action 
against the island if it tries to further formalise its current de facto 
independence. Taiwanese separatism was the “biggest threat” China 
currently faced, Maj Gen Qian said.

Admiral Timothy Keating, head of US Pacific Command, said in Beijing 
last year that Chinese development of a carrier should not be the cause 
of any unnecessary tension, and that the US would even be willing to 
lend a helping hand.


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