筑紫哲也さん死去
1989年にスタートした「筑紫哲也ニュース23」でメーンキャスターを
18年余り務め、テレビジャーナリズムの確立に大きな貢献をした筑紫哲也さ
んが7日午後、肺ガンのため亡くなりました。73歳でした。
筑紫哲也さんは早稲田大学を卒業後、朝日新聞社に入社。政治部記者、ワシン
トン特派員などを歴任し、89年10月から「筑紫哲也ニュース23」のメー
ンキャスターに就任しました。
新聞記者として培ってきた鋭いニュース感覚と独特のコラム「多事争論」で、
多くの視聴者の信頼をえました。
アメリカのクリントン前大統領をはじめとする各国のリーダーとの「市民対話」
を実現したほか、映画・音楽など文化活動の発掘・紹介など、これまでのニュ
ース番組にはないテレビならではの可能性に挑戦しました。
肺ガンのため今年3月でメーンキャスターを退きましたが、5月には「その活
動実績がわが国のテレビジャーナリズムの活動に多大な貢献をした」として、
今年度の日本記者クラブ賞を受賞しました。
その後も闘病生活を続けていましたが、7日午後、肺ガンのため亡くなりまし
た。(07日19:32)
(TBS News i 2008/11/8)
◎サムアップ
●原理と戦い、不正義を憎んだ男でした。
●取材は列にならんで順番待ちする紳士であり、
徒歩で車を使わないエコ派であったそうです。
●「反面教師」という言葉を、我々に深く浸透させた。
生粋の日本人に、我が国(日本)を思う気持ちを改めて起こさせた
功績は大きい。
●喫煙の危険性を、我々に改めて認識させた。
一般人の肺がんによる死去では、身内レベルにとどまるが、彼は一
応全国区の為、その危険性の啓蒙に一役買った。
◎サムダウン
●ロハスでサラ金経営者を賞賛
2005年のニュース23年末特別番組で、わざわざ北海道にサラ金プロ
ミスの神内会長を取材して神内が運営する神内ファームをスローフ
ード、スローライフ、ロハスの代表として紹介していた。
当時マスコミがようやく重い腰をあげてサラ金の違法な取り立てや
高金利貸付、利用者に生命保険をかけて貸し剥がしで自殺に追い込
むとか問題になってたのに拘らず、それらに一切触れず神内達を
「人生の勝ち組」とまで持ち上げていた。
●阪神大震災
「一番の印象は…なんか、温泉町に来たような感じがします…」
「まったく消防活動はやってる気配がないねー、これは」
「人間の姿ってのは、全然見えないっすねぇ」
「ああー、ここもまた、燃え…燃えてる真っ最中。燃えさかってると。
ここも消火活動の形跡ないですねー」
・地震発生2日目、長田区蓮池小学校に非難したある被災者は、News23
のカメラに向かって、「お前ら!帰れ!米軍早く使え!遅すぎるん
じゃ!」と怒声を浴びせた。当日のNews23は全く伝えていなかった
が、米軍の空母とヘリコプターの支援を断ったのは、筑紫お気に入
りの村山首相なのである。村山様にとって都合の悪いニュースは報
じない、当初からそういう姿勢だった。
・同じく2日目、さすがに煙草なしで被災地を徘徊、遺骨収集のため
に焼け跡を掘り出していた三人の男性に接近。
ぶしつけな筑紫に対し、男性のひとりが丁重に「すみません、映さ
ないで」と再三お願いしたにもかかわらず、カメラを回し続け、
「言いたいことがあったら言ってくれますか」とたたみかけた。
ようやくVTRを止めて、場面はスタジオに戻ったのだが、筑紫はなん
と、「被災者のイライラも、頂点に達しているようです」と報じた。
●福岡一家殺害事件
03年に発生した中国人による凶悪事件。裏付けもないのに「事件の
背後に殺害を依頼した日本人黒幕が」いたと報じた。結局12月26日
に福岡県警が「犯行は中国人3人によるもの」と断定したが、番組
はひとことも報道せず。
●中国報道
00年10月、来日中だった中国の朱鎔基首相を番組に招いて、初のテ
レビ市民対話を放送。「日本はこれまですべての正式な文書の中で、
中国の人に謝罪したことはありません」と報道。日中国交回復以来
度々謝罪している点を無視したものだった。
●映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」
「この映画は、中国による『自治権拡大』を描いた……」
「中国の行為を悪と決め付けるのは難がある」。
中国のチベット侵略を 「 中 国 の 自 治 権 拡 大 」
と報じた。
<略>
その日番組では、「セブン・イヤーズ・イン・チベット」(ジャッ
ク・アリー監督)なる映画の紹介をしていた。これは、現在もサヨ
クの好意的黙認の下に進められている、中国政府によるチベット
侵略を糾弾した映画である。映画のラストの字幕、
「チベットでは、中国の侵略により百万人以上の住民が殺され、六
千以上の僧院が壊された」
という悲壮な一文が、全てを語っている。「南京大虐殺30万人説」
など裸足で逃げ出してしまうほどの暴虐な、現在進行形の非人道的
侵略行為、それこそが、この映画が観客に訴えている事なのである。
ところが、番組冒頭部分のナレーションは、何とこう紹介したのである。
「この映画は、中国による「自治権拡大」を描いた… 」
…私は言葉を失った。いや、正常な精神の持ち主であれば、誰でも
言葉を失うであろう。かつて、「侵略・進出書き換え事件」をでっ
ち上げてまで、怒りをあらわにして見せた男のやる事が、これなの
だ。彼等は中国による「侵略」を、「自治権拡大」などという、一
生において複数回聞くことが無いであろう奇天烈な人造語をでっち
上げてまで、擁護しようとしたのである。
<略>
筑紫の真骨頂は、インタビューの後に現われた。ピットの前では愛
想笑いを振りまいて迎合していた筑紫は、ピットがいなくなった途
端、こう言い放った。
「中国の行為を悪と決め付けるのは難がある」
本気でそう思っているのなら、なぜピットに論争を挑まなかったのか?
●坂本弁護士一家殺人事件
96年、オウム真理教による坂本弁護士一家殺人事件に絡んで発覚し
た、TBSビデオ問題。TBSが「オウム信者にビデオを見せた事実はな
い」と全面否定したその日、筑紫は「真相は見せた見せないという
水掛け論に、最後は終わらざるをえないのだろうと思います」と発
言した。結局、オウム側が供述したため、TBSは嘘を認め、3月25日
に社長自ら陳謝。その晩に「TBSは死んだ」と第三者の如く報道。
青木直人BLOG 筑紫哲也と竹内好
筑紫氏がオウム事件の際『TBSは死んだ』と発言したこともよく
知られている。が、彼はだからといって、ニュース23を降板する
ことはなかったし、年間数億円という契約料も手にし続けた。
贖罪は彼に『名誉』と膨大な冨をもたらしたのである。
●拉致被害者帰国のニュース
「もし、拉致された人、そして亡くなった人たちに何かの過失があ
るとすれば、それは、「日本人」に生まれたということでしょう。」
と報道。
●健康増進法、ナチスドイツ的と非難
調査結果を元に、日本循環器学会がJRに駅構内新幹線内の禁煙措置
を求めたというニュースについて、「分煙化運動はファッショ的で
気持ち悪い。喫煙者にも人権はある」と批判、禁煙・分煙運動に対
し戦前日本的・ナチスドイツ的であるとのレッテルを貼り、健康増
進法の趣旨を非難した。
●特攻隊
「特攻隊は自爆テロリスト」と発言。
●大韓航空機撃墜事件
ソ連空軍機により撃墜された大韓航空機撃墜事件(ジャンボ機 日
本人乗客28名全員死亡)ニュース23放送のときの筑紫キャスターが
話していたびっくりするコメントです。
「ソ連は嘘を付いていない。ただ、対応がまずかっただけである。
アメリカは防空レーダーで捕捉した飛行経路のズレを大韓航空機に
連絡すべきであった」
「アメリカから連絡があればソ連軍の民間航空機撃墜は防止できた
であろう」
民間機を撃墜したソ連軍を擁護して、アメリカが撃墜犯のような報
道をしていた。
●週刊金曜日の拉致関連報道について
筑紫が編集委員やってた週刊金曜日は、平壌で曽我ひとみさんの家
族にインタビューし、11/15号に記事を掲載した。
「お母さん(ひとみさん)は10日で帰るはずだったのにまだ帰ってこ
ない、日本政府は約束を破った、お母さんを早く帰してほしい。」
という内容のものだ。
曽我ひとみさんは11/14に訪れた「週刊金曜日」の記者に記事を見
せられて動揺し、当日の予定を全てキャンセルした。「家族会」や
「救う会」は「週刊金曜日」を北朝鮮の政治宣伝に加担していると
して厳しく批判した。
このインタビュー記事について、「週刊金曜日」編集長の岡田幹治
氏は「読者のみなさんの多くは、北朝鮮側に思惑があることを知っ
たうえで記事を読んでくださるに違いない」と説明した。
「週刊金曜日」の編集委員をつとめている筑紫哲也氏は、11/14の
テレビ番組で、利敵行為と言われようとも事実を伝えるのがジャー
ナリストの仕事だ、と論じた。
●玄海灘事件報道
(パナマ船籍の韓国貨物船が、日本漁船を当て逃げし多数の死者が
発生した事件)
ニュース23は、加害者に関わるパナマ以外の国名情報を全て隠蔽
した。他の報道機関は、韓国との関連を報道していた。
ニュース23が大々的に報じたえひめ丸事件とは好対照を見せた事
もあり、韓国に不利な事実を隠蔽したとの批判が出た。
●韓国の竹島占拠について
竹島が占領されたのは靖国の問題と報道。
佐古「別に煽ってるわけじゃないですよね」
筑紫「あのね煽らないのがいいのは当たり前ですけども、元々こう
いう風に日韓がとんがってしまったのは、靖国問題がやっぱ
りきっかけですよね。えーまーそういってもその、水面下の
で協議と言うんですけども冷静な対応がこうなってくると出
来るのかどうかですね、えー本当に」
佐 「冷静に」
筑 「いきたいですね、ええ」
●慰安婦問題
2007年3月8日、筑紫哲也は、「ニュース23」の「多事争論」
で慰安婦問題に関して次のように述べた。
(一部抜粋)
「慰安婦問題でニュースで報じられているようなことが
続いておりますけれども、仮に、
軍の強制が直接であったか間接であったか、
あるいは狭義の、あるいは広義の強制があったかという、
そういう議論をいくらしても、慰安所があって、
慰安婦というものが存在したということは消えません。
こういう事をくどくどと説明して、
どれほどの意味があるんだろうかと思います。 」
●部落解放同盟擁護
2006年にTBSの系列局のMBSが奈良市環境清美部収集課職員が病気を
理由に5年間で8日しか出勤していなかった問題をスクープ。
TBSにテープを全国放送するよう依頼したがこの職員が部落解放同
盟の関係者であることを理由に筑紫側が拒否。
交渉の末、テープは放送されたが、該当者が部落解放同盟の関係者
であることは一切伏せられた。
●息子の処遇について
田原も、みのも、自分の息子娘をテレビ局に情実採用させて、政界
の二世議員を叩いていることを思えば、可愛いものかも知れないけ
れど、やっぱりあれはどうかと思う。ああいう所は、彼も所詮凡人
だったなと思います。
●「筑紫哲也妄言の研究」 別冊宝島
宝島社 ISBN 4-7966-3848-2 2003/02/06
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