2008年11月28日金曜日

ミサイル迎撃試験 失敗は成功の元




※Image credit: Raytheon社

海上自衛隊、ミサイル迎撃試験失敗 弾頭に不具合か

防衛省は20日、日本を狙う弾道ミサイルに対処するミサイル防衛(MD)計
画で、海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」が搭載した海上配備型迎撃ミサ
イル(SM3)の発射試験を米ハワイ・カウアイ島沖で実施し、標的の迎撃に
失敗したと発表した。

現地時間19日午後4時21分(日本時間20日午前11時21分)に米軍施
設から標的となる模擬ミサイルを発射。SM3はイージス艦による探知、追尾
を経て3分後に正常に発射されたが、迎撃数秒前に標的を見失った。防衛省は
イージス艦側に問題はなかったとみており、弾頭に何らかの不具合があった可
能性が高い。

SM3の発射試験は昨年12月にイージス艦「こんごう」で成功。今回の訓練
は前回と違い、標的の発射時間を事前にイージス艦に知らせず難易度の高い形
で行った。

(産経新聞 2008/11/20)

勿論、60億円もの税金を使った迎撃試験ですから、成功して欲し
いのは、山々ですが、必ずしも、全てが無題になった訳ではありま
せん。

今回のテストは、実戦に近い条件を想定し、「ちょうかい」に対し
て、いつ発射するかを事前に知らせる事なく標的ミサイルを発射し、
それを「ちょうかい」のイージズシステムで探知し、SM-3ミサ
イルを発射、誘導し、標的ミサイルに直撃させるというシナリオに
なっています。

報道を見る限り、実際の試験では、この内、標的ミサイルの探知、
誘導までは正確に行われており、最終フェーズで標的を識別し誘導
するSM-3に搭載されたセンサーが、標的を見失ったとの事であ
り今回発射したミサイル個体に固有の問題である事が類推されます。

今回は、標的ミサイルにSM-3を一基だけ発射していますが、実
戦においては、ミサイル迎撃を行う場合に一発だけを発射するとい
う事はありません。二~三基のSM-3を同時発射する事になります。
つまり、同時発射したミサイルが二基以上で、その内一基が正常に
動作していれば、迎撃は成功していた事になります。

この点からすれば、発射したSM-3の品質に問題はあったが、そ
れ以外のMDシステム全体は正常に作動したと言えるのです。

今回使われたSM-3は、米国で開発されたBlockIAと呼ば
れるものですが、現在、より高速、大射程のBlockIIAが開
発されており、これには日本の技術も入っています。今回の失敗を
元に、より高度の信頼性を持つミサイルが開発される事を期待した
いと思います。

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