※上の写真はH-IIBロケット試験機とH-IIA15号機。毎日新聞サイトより転載
下はH-IIBロケット説明図。JAXAサイトより転載
三菱重工 H2Bロケット初公開 来年度に試験機 名古屋
三菱重工業は26日、09年1月に種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)
から打ち上げる予定のH2Aロケット15号機と、次期国産大型ロケットの
「H2B」を、名古屋航空宇宙システム製作所飛島工場(愛知県飛島村)で報
道陣に公開した。H2Bを公開したのは初めて。
H2Bロケットは、三菱重工業と宇宙航空研究開発機構が開発を進めている。
H2Aより直径が1.2メートル大きく、エンジンを2基搭載しているため、
約2倍の重量を打ち上げる能力があるという。直径5.2メートル、全長56
メートル。09年度中に試験機を打ち上げた後、国際宇宙ステーションへの輸
送手段として補給機などを乗せて打ち上げることが計画されている。
一方、H2A15号機は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)
や、雷観測衛星など小型衛星7基を搭載して、09年1月21日午後0時54
分に打ち上げられる予定。今月29日に同工場から船で種子島に輸送され、打
ち上げに備えて種子島宇宙センターで組み立てられる。いぶきは、地球温暖化
の原因とされる二酸化炭素やメタンなどの濃度分布や、地域ごとの吸収・排出
量を観測し、温暖化防止に向けた取り組みに貢献することを目指す。
【米川直己】
(毎日新聞 2008/11/27)
記事にもある通り、H-IIBは、国際宇宙ステーション(ISS)への補給
機であるHTVを打ち上げる為に計画されたロケットです。
一番の違いは、一段目で、H-IIAがLE-7Aエンジンを一基使用するの
に対し、H-IIBは二基使用します。同じエンジンを並列に束ねる事
をクラスター化と言い、米国やロシアでは、長い伝統がありますし、
日本でも、補助固体ロケットを複数同時に点火していますので、必
ずしもクラスター化の経験が無い訳ではありませんが、液体燃料エ
ンジンをクラスター化するのは始めてです。
メインエンジンを並列に装備する上での、エンジン同士の干渉を防
ぐ事と、消費する燃料の増加から、一段目の直径は、5.2mとH-IIA
に比べて、1.2m大きくなりました。直径が大きくなった事で、
H-IIAに比べ、1.7倍の燃料を確保しています。
二段目は、H-IIAで装備しているLE-5Aエンジンと略同じ、LE-5Bエ
ンジンを装備しています。
これにより、H-IIBは、静止軌道(GTO)に8tの、また、地球低軌道
(LEO)には16.5tの衛星を打ち上げる事ができます。
H-IIAは、最もペイロードの大きい構成にしても、地球低軌道(LEO)
へ12tしか打ち上げる事ができませんでしたので、HTVをISSに届け
る為には、H-IIBの開発が必須となっていました。
HTVはISSへの補給を行いますが、与圧部と非与圧部からできていま
す。与圧部は、空気が充填してありますので、生き物が、乗ってい
ても問題ありません。その生き物は人間であっても良いのです。
ただ、HTVは、ISSへの補給が終わった後は、ISSからの廃棄物を載
せ大気中で燃やす事になっていますので、別の方法で地球に帰還す
る以外帰り道はありません。
勿論、H-IIBは有人宇宙船を打ち上げるだけの安全率は取ってあり
ませんので、HTVに人間を乗せて打ち上げる訳にはいきませんが、
それでも、H-IIBの信頼性向上と非常脱出ロケット、再突入カプセ
ルを開発する事で、有人宇宙船が、そこそこの開発コストで実現す
る事も事実です。
いつになるかは判りませんが、昨今の米国の状況を見ていると、以
外に早い段階で、H-IIBを使った有人宇宙船が国際宇宙ステーショ
ンへの足として実現する可能性がある様に思います。予算枠に厳し
い制約がある日本では、必ずしもそれが、日本の宇宙開発にとって、
プラスとばかり言えないのですが、私の目の黒い内に、日の丸有人
宇宙船の発射を是非、見てみたいと思います。
H-IIBロケット
HTV
新たな展開を迎える日本の宇宙輸送
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