※上はウルムチで観測されたUFO。下はソユーズUロケット。
sorae.jpサイトから転載新疆の住民がUFOを観測 専門家「米国の大陸間弾道ミサイル」
6月30日の夜に新疆の上空を飛んでいった「未確認飛行物体」についての議
論がここ数日、高まっている。新疆の天文学者が4日に述べたところによると、
「未確認飛行物体」の正体は6月30日に米国が発射した大陸間弾道ミサイル
だという。
6月30日午後11時45分頃、烏魯木斉(ウルムチ)市の紅山停留所で空を
指差す人々の姿を見かけた。指が示す方角を見ると、正体不明の光る円形の物
体が後ろに長い扇形の白い光を伴いながらゆっくりと東の方へ飛んで行くのが
見えた。
「未確認飛行物体」は1日、インターネットで大きな論議をよんだ。烏魯木斉
市、克拉瑪依百口泉、阿勒泰市でもこの飛行物体を目撃した人がいる。
伊寧市の李峻さんはこの「未確認飛行物体」の撮影に成功した。李さんによる
と、車で清伊高速を走っている時に、長い光の尾を引く円形の「未確認飛行物
体」を発見、空に留まっていた時間は短かったという。
新疆天文学会の宋華剛秘書長によると、当該物体が「UFO」または未確認飛
行物体である可能性はなく、実際は6月30日に米国が発射した大陸間弾道ミ
サイルで、新疆の一部では空中を飛行するミサイルが肉眼でも観察できたという。
米軍は6月30日にカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地から大陸間
弾道ミサイルを発射し、7000キロ以上離れた目標に命中させている。
このミサイルは現地時間6月30日未明3時40分(北京時間6月30日午後
6時40)に発射され、大気圏外で太平洋を横断し、マーシャル群島付近の的
に命中した。
(朝日新聞 2010/07/06)
中国新疆で見えた謎の飛行物体は「ソユーズUロケット」
6月30日夜、新疆ウイグル自治区ウルムチ市の上空で謎の飛行物体が目撃され
たことで、ネット上で注目され、UFOやアメリカのミサイル実験ではないのか
との意見が多く、マスコミも報道している。
しかし、目撃写真や目撃時間などから分析すると、謎の飛行物体はUFOでも、
大陸間弾道ミサイルでもなく、その日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げら
れたソユーズUロケットである可能性が極めて高い。
プログレス補給船(38P=M-06M)を載せたソユーズUロケットはモスクワ夏時
間6月30日19時35分(北京時間23時35分)にバイコヌール宇宙基地から打ち上
げられ、打ち上げから約9分後にプログレス補給船(38P)を軌道に投入している。
バイコヌール宇宙基地から打ち上げられたロケットは東に向けて飛行するため、
地図からも分かるように、打ち上げの数分後にウルムチ市の上空を通過する。
また、上の写真は謎の飛行物体を目撃した時の写真で、下の写真はロシア連邦
宇宙局が提供しているソユーズUロケットの写真である。両方を比較すると、
非常に似ていることもよく分かる。
(sorae.jp 2010/07/08)
サーチナの記事でさえ、見出しに「謎の飛行物体が!UFO?それ
とも米国のミサイル?-新疆」と疑問符付きで報じたにも関わらず
それを「新疆の住民がUFOを観測 専門家「米国の大陸間弾道ミ
サイル」と断定的に報じてしまって恥をかいたのが朝日新聞です。
通常、朝日の科学関係記事は、結構しっかりとした記事が多いので
すが、「米国のICBM」という言葉で、朝日新聞の外信部の記者は頭
に血が上ってしまって断定的に報道したのかも知れません。朝日新
聞は、日頃から「中国」の発言を真実として報道する事が多いので
「中国」を100%信頼するという社是でもあるのかも知れません。
今回も「中国の専門家」の発言なので断定的に報道したという訳です。
でも、この記者が、若干の科学的な知識、あるいは軍事に関する知
識があり、地球儀を見て、少し考えれば、中国人の「専門家」の意
見が極めて疑わしいものである事が判った筈なのです。
そもそも、米国のカリフォルニアから発射されたICBMが、ウルムチ
の上空を通過した上で、マーシャル群島に着弾する事など通常は、
ありえません。特に米国のICBMは、ミサイルを小型化し、搭載量を
最大にする為、最小エネルギー弾道を飛行するので、カリフォルニ
アからマーシャルを直線的な飛行経路で飛行した筈です。まして、
記事の中で「大気圏外で太平洋を横断し」とまで書いているのです
から、太平洋を横断したミサイルをウルムチで見えるのであれば、
日本でも見えた筈と簡単に推論できる筈なのです。
ちなみに、カリフォルニア州からウルムチ経由で、マーシャルに着
弾したのであれば、約34,000キロを飛行しており、地球の周
囲を四分の三回っているので、部分軌道爆撃システム(FOBS)に相当
しますが、このFOBSはSALT2で配備が禁止されています。
朝日新聞の記者らしく、米国のSALT2条約違反まで発見したのです
から、「中国の専門家」の発言が事実であれば、朝日の記者は、
大手柄を上げた事になった筈です。
でも、残念ながら、「中国の専門家」の発言は事実ではなく、朝日
新聞のもう一つの心の故郷であるロシアの平和的な国際宇宙ステー
ションへの補給任務のロケットであったという訳です。
朝日新聞さん、日頃から、「中国」の記事を無批判に報道している
と、思わぬ恥をかくという良い実例になりましたね。是非、今後は
慎重な報道を心がけて頂きます様お願いします。(笑)
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