2010年7月6日火曜日

金正日の「構って欲しい」という悲鳴が聞こえる

※Daryl Cagle's Political Cartoonists Indexより転載

新たな核開発を再度強調 北朝鮮の党機関紙

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は5日、米国がニクソン政権時代など
に北朝鮮への核攻撃を検討したことが最近判明した件や、韓国海軍の哨戒艦沈
没によって生じた緊張状況に関連し「わが国は、核抑止力を新たに発展した方
法でさらに必要なだけ強化する当然の権利を有している」と主張する論評を掲
載した。

北朝鮮は6月28日にも外務省報道官が同様の立場を表明したが、「新たに発
展した方法」の内容には言及しなかった。今回の論評も具体的に触れなかった
が、従来のプルトニウム型に加え、高濃縮ウランによる核開発や、ミサイルに
搭載可能な核兵器の小型化などを示唆しているとみられる。(共同)

(産経新聞 2010/07/06)


6月28日引き続き二回連続しての発表です。北朝鮮はどうも、他国
の関心を引く事ができる様な一段レベルアップした核兵器技術を実
現できた様です。

それが、記事にある様な、高濃縮ウランによる核開発なのか、核兵
器の小型化成功なのか、あるいは、水素爆弾の開発成功なのかは、
現時点では判りません。

北朝鮮としては、その新たな核兵器技術で他国を脅かす事によって、
新たな経済援助を引き出すか、あるいは、金正日の後継指導者とさ
れる金ジョンウンの功績にしたくて堪らないのです。
しかし、他国が一向に気にしないものですから、わざわざ二回目の
声明を出したという訳です。

北朝鮮が忘れている事は、横紙破りな、核兵器開発をしても他国は
それを評価しないし、北朝鮮を必要以上に恐れる事もないという事
です。少なくとも、六ヶ国協議に参加している非核兵器国(日本と
韓国)で技術的に核武装が出来ない国はありません。

それに加え、北朝鮮が、核兵器を使用すれば、北朝鮮の現在の体制
は、即時に崩壊する事になります。何故なら、米国は、同盟国を核
攻撃した北朝鮮に核による報復を思いとどまる理由はないからです。
米国の核攻撃をうければ、北朝鮮の現体制は崩壊する事になるのは
確実です。その際、米国の核攻撃後に北朝鮮に進駐するのは、中国
人民解放軍かも知れません。

北朝鮮にとっては、核兵器は極めて政治的な兵器であり、体制存続
の保証となるものです。つまり、北朝鮮の核兵器は、あくまで脅し
の道具としての有効性はあっても、実際には使えない兵器なのです。

北朝鮮が核兵器の爆発力を10倍にした処で、最初に核兵器を保有し
た事と比べれば、諸外国への政治・外交・軍事上のインパクトは小
さいものでしかありません。

それに加え、数個の核爆発実験装置を作る事自体は、それほどの巨
費を要する事はありませんが、核兵器体系を整え実戦兵器として配
備する事には、巨額の費用がかかります。そんな費用は北朝鮮の国
力では、支出不可能なのです。その点から見ても、北朝鮮の核兵器
は、使えない兵器であり「張子の虎」に過ぎないのです。

北朝鮮の外交戦術は、ストリップショーによく例えられますが、そ
の伝で言えば、最初のうちこそ、北朝鮮のチラリズムに幻惑された
観客(六カ国協議参加諸国)もよくよく見れば、舞台の上の踊り子さ
んは、それ程魅力的ではなく、ワンパターンの踊りに幻滅しかけて
いるのが現状である様に思われてなりません。
そして、そういう観客の態度を見て、関心を引きとめようと「もっ
と刺激的なものを見せます」と悲鳴を上げているのが北朝鮮の今回
の声明である様に思えるのです。


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