2009年11月30日月曜日

官僚生贄の事業仕分け終了 経常経費削減額7000億円の竜頭蛇尾

事業仕分け終了 74事業に「廃止」判定 1・6兆円超の財政効果

政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の作業グループは27日、平成
22年度予算の概算要求の無駄を削る事業仕分けを終えた。仕分け作業による
財政効果は1兆6千億円超で、独立行政法人の基金や特別会計の剰余金など、
いわゆる「埋蔵金」の国庫返納要求額が多くを占めた。政府は事業仕分けの結
果を踏まえ、過去最大の95兆円台にふくらんだ概算要求から3兆円以上の削
減を目指す。

鳩山首相は27日夕、首相官邸で記者団に対し、「国民に予算というものが見
える形になった」と述べ、全面公開方式で行われた事業仕分けの成果を強調し
た。その上で、「(今後の予算編成では)政治的な判断というものが求められ
る」と強調した。

初の試みとなった仕分け作業には、効率重視のやり方や判定内容への批判がつ
きまとった。だが、予算編成過程を公開とし、既得権益の確保を前提せずに無
駄を省く手法も初めてで、国民の高い関心と支持を集めた。刷新会議は今後、
判定結果を実際にどう予算に反映させるかが課題だ。

仕分け作業の対象となったのは449事業。27日夕段階の集計では74事業
を廃止、19事業の予算計上を見送り、132事業を予算縮減と判定した。

重複事業として、無償資金協力援助(ODA)が3分の1程度、学力テストは
大幅な減額をそれぞれ求めた。事実上凍結と判定された次世代スーパーコンピ
ューターはノーベル賞受賞者らの反発もあり、政府は予算計上の復活を検討中だ。

(産経新聞 2009/11/27)


事業仕分けを本腰でやるのであれば、良かったのですが、こんな結
果では、官僚つるし上げショーにしかなりません。
マニフェストでは、平成25年度で16.8兆円の無駄遣いを削減する事
になっており、それを原資にして、高速道路無料化や子供手当て等
の施策にあてる筈でした。平成22年度は、その走りですから、当然
10兆円近い金額が出てくるというニュアンスを私は持っていました。

それが、事業仕分けが始まるに当たって、いつの間にか目標が、3
兆円になってしまい。終わってみれば、埋蔵金の召し上げ込みで、
1.7兆円。翌年度の計上が期待できない埋蔵金を外した、経常経費
では、たった7000億円しか削減が出来ていません。
そして、その削減の多くが、日本の科学技術の未来を生み出す科学
技術予算だというのでは、竜頭蛇尾、本末転倒もいい所です。

但し、政治ショーとしての事業仕分けは大成功であった様で、碌な
実績もないにも係わらず、本日の日本経済新聞は、鳩山内閣支持率
が68%に達していると報じています。

民主党は、大喜びでしょうが、たった一時間のつるし上げで、碌な
説明も許されず、予算案を無駄と決め付けられた官僚側が、今後、
政府の運営に本当に協力していくのか、面従腹背、政治の足をぴっ
ぱり、より大きな無駄を生み出していくのであれば、事業仕分けは
何の意味もない事になります。

それよりも、寧ろ、従来のシーリングをより強化しつつ、政治家主
導で新規案件の吟味を時間をかけて行うべきであったでしょう。
企業も経費削減を行っていますが、今回の事業仕分けに相当するの
が、経費削減にコンサルタントを入れて行う方法。もう一つは、従
来型の総予算を細かく削減していく方法です。

企業における経験では、コンサルタントはとかく成績をあげようと
ドラスティックな経費削減を単発的に実施しますが、無理が大きく
長期的には必ずしも大きな経費削減に繋がらず、寧ろ、経営者が率
先して、大きな戦略的な経営目標を設定し、全社員が一丸となって
経営効率を改善していくのが正解という結論が出ています。

この後者に相当するのが、必ずしもシーリング方式ではありません
が、全公務員に参加意識を持たせながら巻き込んでいく為には、コ
ンサルタント型では到底不可能であり、それが事業仕分けの地方自
治体での経験則でもあった筈です。その様な事情は判った上で、官
僚を生贄羊に仕立て上げる為に、民主党は事業仕分けを行ったとい
う訳です。

その上、よくよく見れば、民主党の支持母体である労組や日教組関
係の予算、男女共同参画予算という訳も判らない予算は、仕分けせ
ずに、議論もなしに全部通してしまっています。

構造改革のために支持母体である自民党の利権を切りまくった小泉
自民党政権と比べれば、鳩山民主党内閣は、大違いのポピュリズム
政治
と言わざるを得ないのです。


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