※写真上は雲海を抜けて上昇するH-2A
画像下は、陸域観測衛星3号機(ALOS3)。光学3号と同程度の性能を有する。H2Aロケット成功 情報収集衛星を追加投入
望遠カメラで地上を撮影する国の情報収集衛星を載せた大型国産ロケット「H
2A」16号機が28日午前10時21分、鹿児島県・種子島の宇宙航空研究
開発機構種子島宇宙センターから、小雨がぱらつくなか打ち上げられた。
H2Aは目的の軌道に衛星を投入、打ち上げは成功した。軌道投入された情報
収集衛星は、実証目的のものを除いて5基目。H2Aは10回連続、15回目
の打ち上げ成功となった。
情報収集衛星は、98年の北朝鮮によるミサイル「テポドン」発射を機に、国
が導入した事実上の偵察衛星。望遠カメラを備えた光学衛星と電波で地上の様
子を調べるレーダー衛星が1基ずつペアを組み、計4基を運用することで、地
上のどの地点でも一日1回は監視できる態勢になる。
2003年3月にH2Aの5号機で各1基を同時に打ち上げたが、同11月に
2基を積んだ6号機が打ち上げ失敗。約3年後の07年2月にようやく4基体
制となったが、その1カ月後の3月にはレーダー衛星1基が故障し、運用がで
きなくなっている。今回打ち上げたのは光学衛星。11年度に3基目のレーダ
ー衛星を打ち上げるまでは情報収集は不完全な状態が続く。
今回の衛星の開発・製造費は約490億円。大きさや外観、監視能力は、安全
保障上の理由から公表されていないが、地上にあるものを見分ける能力は約1
メートルから約0.6メートルに向上したと見られる。
(朝日新聞 2009/11/28)
いつもながら、朝日新聞の空撮写真の迫力は素晴らしく、思わず、
「王立宇宙軍」のYoutube動画を再生してしまいました。朝日新聞の
サイトには動画もアップされているので、こちらも一見の価値が
あると思います。
H-IIAの打上げも、この処、一段と安定度が高まっている様に思い
ます。今回も、小雨のばらつく中でしたが予定発射時間から4分遅れ
という略予定通りのジャスト・イン・タイムで打上げが行われてい
ます。
前回の打上げで、重量感のあるH-IIBがゆっくりと打ち上がったの
と異なり、今回のH-IIAは202コンフィギュレーションで、ペイロー
ドもIGS(情報収集衛星)だけなので軽やかに上がっていったとい
う感じがしました。(あくまで感じですが...。)
さて、IGS打上げについては、通常の打上げでは公表されている
飛行計画や管制計画が、全く公表されず、打上げの同時中継もなく、
また、軌道要素や地表解像度も伝聞でしか伝わってこないので、本
当にイライラさせられます。H-IIAの唯一の失敗が、光学二号とレ
ーダー二号を載せていた6号機であった事も、発注者である内閣衛
星情報センターをナーバスにしているのかも知れません。
また、冷戦時代は、こういう事を各国ともに秘密にしていたと言う
事情もあります。偵察衛星が上空に来る時だけ、軍事関係の作業や
活動を中止したり、逆に活発な様子を見せたりと色々な欺瞞工作が
可能になってしまうという理由によるものです。
ただ、スパイ防止法もない日本で、どの程度、軌道要素や、衛星の
解像度に関する秘密が保たれるか疑問であり、逆に公にする事で、
批判を受け、衛星の質が改善したり、欠点の改善指摘を期待する事
もできます。
元々、日本の情報収集衛星は、北朝鮮に対するある種のデモンスト
レーションなのですから、むやみに秘密にする意味がなく、やって
いる分析等も、将来の情報分析活動の基礎固め程度のものですから、
公開しても、問題なさそうな所は、いっそ公開してしまっても良い
のかも知れません。
今回打ち上げられた光学三号機の解像度すら、既に商業地球観測衛
星で実現しているレベルなのですから、例えば半年前のデータを秘
匿しておく必要はなく、公開しても問題が生じる訳もないと思われ
ます。そうする事で、内閣情報センターとは異なったアプローチで
日本国内や北朝鮮や、その他の国の動きを観察するプロの分析者が
民間に出てくる可能性があります。また、分析者の裾野が広がる事
で、より多くの発見が期待できると思われるのです。これは、google
earthのデータを分析している民間団体が多くある事からも容易に
想像できる事です。
寧ろ秘密は、データそのものよりも日本政府が何を継続的に撮影し
ているのか、何を分析しているのかにあると思われます。こういう
点については、流石に何も情報は出てきません。しかし、報道によ
れば北朝鮮は公安情報も入手しているそうですから、そういう情報
も流れているのかも知れません。(意図的に流している可能性すらあ
ります。)
なお、この光学3号機に相当する日本の光学地球観測衛星(ALOS3)
を2014年度に、打ち上げる事が計画されています。分解能は、0.8m
ですから、0.6mの光学3号より若干低いですが、ALOSの分解能
が2.5mであった事と比較すれば、大きな改善です。ちなみにレーダ
ー衛星もALOS2として2013年度に打ち上げが予定されており、
こちらも解像度がALOSの10mから3mに改善します。
こう考えると、次々世代ALOS4,5では、情報収集衛星との分
解能の差がなくなり、IGSとALOSは運用所管の違いしかなく
なる可能性があるのではないかと考えます。データ共有の観点から、
例えば、日本国内に関する光学3号のデータ、あるいは2007年に打
ち上げられた光学3号実証衛星のデータ公開がALOS3データと
の比較する為に、逆に求められるのではないかと考える所です。
環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/
var gaJsHost = (("https:" == document.location.protocol) ? "https://ssl." : "http://www.");
document.write(unescape("%3Cscript src='" + gaJsHost + "google-analytics.com/ga.js' type='text/javascript'%3E%3C/script%3E"));
try {
var pageTracker = _gat._getTracker("UA-6610190-1");
pageTracker._trackPageview();
} catch(err) {}
0 件のコメント:
コメントを投稿