2009年6月19日金曜日

米臨検への対応で明らかになる?北朝鮮は撃つ撃つ詐欺か?

※写真はロイターサイトより転載

ミサイル積載か 米軍、北朝鮮船舶「カンナム」を追跡 過去に兵器拡散活動

米海軍がミサイルや核関連物質を搭載した疑いのある北朝鮮船舶を追跡してい
ることが18日、明らかになった。米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議
長は18日の記者会見で、「(北朝鮮への追加制裁を決めた)国連安全保障理
事会決議を積極的に実行するつもりだ」と述べ、具体的言及は避けたが、追跡
していることを事実上認めた。

北朝鮮による武器輸出の全面禁止や貨物検査などを盛り込んだ12日の制裁決
議採択後、大量破壊兵器を積んだ疑いがある北朝鮮船舶の初めての動きだけに、
寄港先となる国の対応が注目される。

FOXテレビなどによると、船の名称は「カンナム」。行き先は明らかになっ
ていないが、17日に北朝鮮の港を出航し、シンガポール方向に向けて航行中。
過去にも北朝鮮の大量破壊兵器の拡散活動に使われてきた船舶だという。
2006年10月、香港海事局は北朝鮮の貨物船「カンナム1号」と姉妹船で
ある「カンナム5号」を安全設備に不備が見つかったとして、出港を認めない
強制措置を取った。「カンナム1号」は07年5月にミャンマーに入港したこ
とが確認されている。北朝鮮とミャンマーは同年4月、国交を回復しており、
北朝鮮からの武器輸出の可能性が指摘されていた。
米軍が今回追跡している船舶が「カンナム1号」かどうかは不明だ。
マレン議長は北朝鮮の船舶が米軍による検査を拒否した場合の対応について、
安保理決議で強制的な乗船は認められていないため、最寄りの港に向かうよう
指示し、寄港地の国が船舶検査を実施することになると説明した。

(産経新聞 2009/6/18)


さて、いよいよ北朝鮮の決意が試されるシチュエーションが近づい
てきました。「カンナム」の目的地は、現時点では判りません。ミ
ャンマーである可能性が強いと言いますが、中東方面かも知れませ
ん。それに対し、米海軍は、記事にもある通り、「カンナム」に近
寄って、船舶検査の為、最寄の港湾へ向かう様に指示する事になり
ます。

実は、この船舶検査や臨検は、北朝鮮が一番嫌がっている事の一つ
です。北朝鮮が韓国のPSI参加に対して「PSI参加が武力衝突と全面
戦争へとつながるのは時間の問題だ」とまで、論評したのもPSIが
臨検を含むものであった事によるものと考えられてきました。

北朝鮮は、6月13日の安保理決議に対する外務省声明の中で、
「米国とその追従勢力が封鎖を試みた場合、戦争行為と見なし、断
固軍事的に対応する。」と言明しており、臨検もそれに含まれると
していました。今回、米海軍が、船舶検査を試みた場合、それを北
朝鮮が臨検と見なすかどうかが問題になります。

米軍の行動に対応した反応を北朝鮮がどの様な形で見せるのかで、
北朝鮮のエスカレーションに関してどの程度の決意をしているのか
その程度が推測できるのではないかと思われるのです。

今まで、北朝鮮は、声明や発表の上では、激烈な言葉を頻発させて
いますが、実際の行動では、意外に慎重に振舞っています。例えば、
6/18に、日本海で、北朝鮮艦船が、NLLに接近しましたが、韓国軍
の警告を受けて引き返しています。元々北朝鮮はNLLを認めていま
せんから、国連決議以降もっと大胆に行動しても良さそうなもので
す。また、短距離ミサイルの発射に関して、国際ルールに沿った航
行情報を出していると言う報道もあります。そういう具合で事実と
しては、色々とブラフは行っているものの決定的な行動は避けてい
る様に見えるのです。

その一方で、報道によれば、北朝鮮は、現在、テポドン2号2基、
ノドン一基の計三基のミサイルの発射準備を進めているという報道
があります。

北朝鮮がエスカレーションを避けるのであれば、米海軍の行動に対
して、攻撃的な声明を行うだけで、実際の行動は避ける筈です。
それに対し、対決する決意があるのであれば、より積極的な行動を
とってくると思われます。

最初に述べた様に、北朝鮮の船舶が輸送しているものは、武器以外
にも、核開発関連物質や、ニセドル札、麻薬、覚醒剤、ニセ煙草と
言った表ざたになった場合、北朝鮮の評価や面子を失わせる様なも
のが含まれているのは、まず間違いありません。

その様な点からも、ここ数日の北朝鮮の反応に当分目が離せないと
思われるのです。


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