※S-400対空ミサイルシステム
http://www.defencetalk.com/russia-s400-air-defense-systems-victory-day-18601/より転載
極東に対空ミサイル ロシア、北への警戒強める
インタファクス通信によると、ロシアのノゴビツィン参謀本部次長は十一日、
最新鋭の対空ミサイル「S400」を極東地域に配備する考えを示した。
モスクワなど大都市を除く地方での同ミサイル配備は初。北朝鮮の二回目の核
実験実施や、新たな弾道ミサイル発射の兆候を見せていることなどを強く警戒
した措置とみられる。
ロシアは、北朝鮮が核保有国となることへの懸念を強めており、十一日に合意
に達した北朝鮮の核実験に対する国連安保理の制裁決議案の協議でも、消極的
対応から強硬姿勢に転換。オバマ米政権との協調を重視するロシア政権の思惑
も背景にあるが、核開発を加速する北朝鮮の脅威が最大の理由だ。
一方で、ロシアは、制裁強化による北朝鮮の暴走も懸念。ロシア外務省筋は同
日、タス通信に「決議は問題解決のために必要だが、北朝鮮が緊張を高める行
動を取らないことを望む」と述べた。
S400は、ロシア版ミサイル防衛(MD)の主力ミサイルとされ、モスクワ
とサンクトペテルブルク近郊にも配備されている。
(東京新聞 2009/6/12)
北朝鮮のミサイルと核開発に対抗する為に、日本はミサイル防衛網
の構築を進めている訳ですが、あれだけ北朝鮮の肩を持っていたロ
シアも冷静に北の核ミサイルに対する対抗手段の構築を進めている
ようです。
ロシアは元々、米国とのABM(弾道弾迎撃ミサイル)条約に基づきモ
スクワを防衛するABMとしてガロッシュ迎撃ミサイルを配備してい
ました。米国でも一時期、ABMが配備されましたが、その後撤去され
ています。一方、ソ連/ロシアではそれを維持し、現在は、ABM-3
(ロシア名はA-135)システムを導入しています。このシステムは、
核弾頭装備のシステムですが、ロシアは、これに加え、通常弾頭で
弾道ミサイル迎撃能力を持つ対空ミサイルS400の生産と配備を行っ
ています。
このS400は、2003年から配備が開始された最新型の対空システムで
近距離から遠距離(400km)まで、地上5mから高度30kmまで、UAVやス
テルス機から弾道ミサイルまでを迎撃対象とする優れものであり、
WikipediaやGlobalsecurityの情報を読む限り、パトリオットを凌
駕する性能を持ってる様に思われます。
記事によれば、現在S400が配備されているのは、モスクワとサンク
トペテルブルグですが、北朝鮮が核ミサイルを配備した時にその目
標となる極東地区にも配備するというものです。
元々ロシアは、現在多数のシステムを保有している対空ミサイルシ
ステムの簡素化を推進しており、その大きな柱となっているのが
S400ですから、極東地区の対空ミサイルもいずれS400に切り替えら
れる予定ではあったろうと思われますが、北朝鮮の核開発の進展に
よって優先順位が変更されたのだと思われます。
S400は大量生産が予定されているので調達コストはかなり低くなる
と思われますが、それにしても、最新の対空システムですから大き
な費用を要する事に間違いありません。ロシアが北朝鮮の事を本当
に信頼できる国と考えているのであれば、その様な費用負担は不要
である筈です。しかし、表面上の北朝鮮の友好国としての顔の下で
ロシアは、最悪の事態を想定し、北朝鮮との関係がいつ険悪化して
も良い様にする対策をとっていると言えると様に思われます。
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