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BALLISTIC MISSILES(弾道ミサイル)
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作戦可能な弾道ミサイルは、サイロや潜水艦や陸上を移動する発射台に配備さ
れている。移動式のミサイルは、隠すことができ、それにより生存性を大幅に
高める事ができるので、多くの国で好まれている。
多くの短距離弾道ミサイルでは、弾頭が爆発するまで、ミサイルの形状は発射
時のままである。長距離弾道ミサイルでは、弾頭は分離された再突入体に含ま
れる。いくつかの長距離弾道ミサイルは、MIRV(複数個別誘導再突入体)を装備
しており、ミサイル一基につき10個程度の再突入体(RV)が備えられている。再
突入体は、地球の大気圏に、ICBMの場合、一秒間に4~5マイルという非常な
高速で再突入する。
弾道ミサイルでは、固体燃料または液体燃料がロケットの推進システムとして
用いられる。近代的なミサイルシステムは、補給面での要請と運用の単純化の
為に、固体燃料が使用される傾向にある。しかしながら、いくつかの第三世界
諸国では、液体燃料技術を入手するのがより容易である事から、新しい液体燃
料ミサイルの開発が続けられている。
多段式ミサイルは、各々独立した推進システムが各段階にあるので、長距離作
戦に対して適している。
ICBMは通常、二ないし三段式で、目標に対し搭載物を推進する為に、強力な液
体燃料エンジンや固体燃料モーターを装備しており、ポスト・ブースト・ビー
クルには、もっと小さな推進システムが装備されている。ポスト・ブースト・
ビークルは単弾頭ミサイルの場合には再突入体の命中精度を改善し、MIRVを搭
載しているミサイルの場合には、再突入体が別々の目標に命中する様に、各々
異なった軌道を取る為に発射されるのに用いられる。いくつかのMIRVミサイル
は、一つのミサイルで1000マイル以上離れた目標を攻撃する事ができる。
高度の慣性誘導システムを備えた弾道ミサイルは、6000マイルを飛行した後で
目標の200~300フィート以内に再突入体を運搬する能力がある。多くのミサイ
ルで、衛星航法誘導の活用によって正確性が飛躍的に改善された。また、ミサ
イルには、非常に高い正確性を達成する為の終末センサーを持つ機動再突入体
(MaRV)を使用する事ができる。
より近代的な誘導技術が拡散したので、各国は、ミサイル戦力の正確性と致死
性を改善する事ができる。しかしながら、大きな都市を直撃する程度の正確性
をもつミサイルであっても、大量破壊兵器を装備した場合には大量の犠牲者を
負担させる事ができる。
多くの弾道ミサイルは再突入体に弾道ミサイル防御システムをくぐり抜けさせ
る事を目的にした侵入補助機能を装備している。侵入補助機能とは、ミサイル
や再突入体を探知、追跡するセンサーを欺瞞したり、無効化する事を目的とし
た装置である。侵入補助機能は、弾道ミサイルを開発したり運用したりしてい
る国々で重要性を増している。
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SRBM 短距離弾道ミサイル
射程 1,000 km以内 (621 mi)
MRBM 準中距離弾道ミサイル
射程 1,000-3,000 km (621-1,864 mi)
IRBM 中距離弾道ミサイル
射程 3,000-5,500 km (1,864-3,418 mi)
ICBM 大陸間弾道ミサイル
射程 5,500 km以上 (3,418 mi)
SLBM 潜水艦発射弾道ミサイル
射程に関わらず潜水艦から発射される弾道ミサイルは全て
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SHORT-RANGE BALLISTIC MISSILES(短距離弾道ミサイル)
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何ヶ国かは、現在でもSRBM(短距離弾道ミサイル)システムを生産するか開発す
るかしているが、他の多くの国では、ミサイル製造メーカーからミサイルやミ
サイル技術を購入している。新しいSRBMシステムが数ヶ国で開発されている。
中国は、台湾に近接する地域で近代的な固体燃料推進のSRBMの大きな戦力を展
開している。
ロシアのSCUD Bとも呼ばれているSS-1c Mod 1は、他のいかなる種類の誘導ミ
サイルよりも多くの国に輸出されており、広い用途で使用可能な適合性の高い
兵器であると認められている。
例えば、イラクのSCUDミサイルは1991年の湾岸戦争で使用されたが、射程距離
を二倍にする様に改造された。北朝鮮は独自のタイプのSCUD BやSCUD Bの射程
を延長させたSCUD Cを生産している。
SCUDは、もともと戦術戦場支援兵器として設計されたが、多くの国は、SCUDや
他のSRBMシステムを都市に対して使用される戦略兵器とみなしている。イラク
は、イラン・イラク戦争と1991年の湾岸戦争に戦略兵器として、射程距離延長
型のSCUDミサイルを使用した。他の国は、SCUDの正確性を大幅に向上させて、
価値の高い軍事目標や都市に対して利用するために改造した。最近の紛争では、
ミサイル防衛能力について関心が集まっており、ミサイル防衛能力の開発に対
する継続的な誘因を提供している。そして、それは、弾道ミサイル開発者には
ミサイル防衛対抗策を追求する動機を与える事になっている。一部のSRBM開発
者はすでにミサイル弾頭を機動させる様な対抗策を開発し始めており、対抗策
の開発継続が期待されている。
■性能
ミサイル名 推進剤 発射機 最大射程(マイル)
ロシア
SCUD B 液体 道路移動 185
(SS-1c Mod 1)
SS-1c Mod 2 液体 道路移動 150+
SS-21 Mod 2 固体 道路移動 43
SS-21 Mod 3 固体 道路移動 75
SS-26 固体 道路移動 185+
Iskander-E 固体 道路移動 170+
中国
CSS-6 Mod 1 固体 道路移動 370
CSS-6 Mod 2 固体 道路移動 550+
CSS-6 Mod 3 固体 道路移動 450+
CSS-7 Mod 1 固体 道路移動 185
CSS-7 Mod 2 固体 道路移動 370
CSS-8 第一段:固体 道路移動 93
第二段:液体
B611 固体 道路移動 93
北朝鮮
SCUD B 液体 道路移動 185
SCUD C 液体 道路移動 310
Toksa 固体 道路移動 75
ER SCUD 固体 道路移動 435-625
インド
Prithvi I 液体 道路移動 93
Prithvi II 液体 道路移動 155
Dhanush 液体 艦載 250
Agni I 固体 道路移動 435
パキスタン
Hatf-1 固体 道路移動 50
Shaheen I 固体 道路移動 280+
Ghaznavi 固体 道路移動 250
イラン
Fateh-110 固体 道路移動 120+
Shahab I 液体 道路移動 185
Shahab II 液体 道路移動 310
CSS-8 固体/液体 道路移動 93
シリア
SCUD D 液体 道路移動 435
Note: 全ての射程距離は概算
■ランチャー数と戦闘序列
国名
ミサイルシステム ランチャー数*
ベラルース
SS-21s/SCUDs 100基以下
カザフスタン
SS-21s/SCUDs 50基以下
シリア
SS-21s/SCUDS 100基以下
中国
CSS-6/CCS-7 200基以上
リビア
SCUDs 100基以下
トルクメニスタン
SCUDs 25基以下
エジプト
SCUDs/SS-1 25基以下
北朝鮮
Toksa/SCUDs 100基以下
ウクライナ
SS-21s/SCUDs 200基以下
インド
Prithvi-I/II 50基以下
Agni I 25基以下
パキスタン
Ghaznavi/Shaheen-1 50基以下
ベトナム
SCUD-Bs 25基以下
イラン
CSS-8/Fateh-110/SCUDs 100基以下
ロシア
SCUDs/SS-21/SS-26) 200基以下
イエメン
SRBMs(SCUD/SS-21s) 25基以下
*ミサイル保有数はランチャー数よりもはるかに多い。
これは、ミサイル発射後ランチャーが再利用される
事による。
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MEDIUM-RANGE & INTERMEDIATE-RANGE BALLISTIC MISSILES
(準中距離弾道ミサイルと中距離弾道ミサイル)
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新しいMRBM(準中距離弾道ミサイル)やIRBM(中距離弾道ミサイル)システムは、
中国、北朝鮮、イラン、インドとパキスタンで開発されている。これら戦略的
なシステムであり、そして、ほとんどは非通常弾頭を装備している。イラン以
外のこれらの国は、全て、核実験を行っている。ロシアも合衆国も1988年に効
力を発生した中距離核戦力(INF)条約によって禁止されているのでMRBMもIRBM
も生産したり、保持していない。中国は、非常に活発にMRBMの開発を行ってい
る。中国の長期的、且つ広範囲の戦力変革では、戦力展開能力を向上させてお
り、中国の弾道ミサイルは、台湾が関係するどの様な将来の対立においても、
外国の軍隊の紛争地域へのアクセスを拒否する中国の努力で鍵となる役割を担
っている。中国は、地域の核抑止力のために、現在、核装備のCSS-2、CSS-5
Mod 1、CSS-5 Mod 2を配備ている。中国は、より長射程で精密な攻撃を行うた
めの、新しい通常弾頭のMRBMも調達している。これらのシステムは、補給拠点
や地域的な飛行場や港湾を含む軍事基地を脅かすか、または攻撃する事を目的
としている様に思われる。特筆すべきは、中国はCSS-5の派生型を基にした
対艦弾道ミサイル(ASBM)を開発している事である。
北朝鮮には野心的な弾道ミサイル開発計画があり、ミサイル技術をイランとパ
キスタンを含む他の国に輸出している。北朝鮮は、核兵器を保有している事を
みずから認めている。北朝鮮のテポドン1は1998年8月に衛星を軌道に乗せる
試みに使われた。小さな第三段が衛星を軌道に乗せる事に失敗したが、二段式
のブースターは明らかにうまく作動した。テポドン1は、長射程ミサイル開発
のために必要な技術を北朝鮮が持っている事を示している。北朝鮮は、開発中
のIRBMを持っている。このシステムは、他の国に輸出されるに違いない。
イランには広範囲なミサイル開発計画があって、ロシア、中国と北朝鮮の機関
からの援助を受けている。イランのShahab 3 MRBMは、北朝鮮のノドンミサイル
を基にしている。イランは、その射程と有効性を拡張するために、Shahab 3を
改良した。イランは、2004年にShahab 3の改良版をテストしたと主張している。
それに続くイランの当局の声明では、改良されたShahab 3の最大射程は1,250
マイルであり、イランにはShahab 3ミサイルを大量生産する能力があることを
示唆している。2008年には、イランは2,000km射程の二段式固体推進MRBMの発
射テストを二回実施している。2008年後半と2009年前半には、多段式宇宙打上
ロケットSafirを発射したが、それは長射程弾道ミサイル技術のたたき台とし
ても用いる事ができるものだった。そして2009年のテストでは、衛星を軌道に
乗せる事に成功した。Safirは弾道ミサイルとして使われるならば、恐らくIRBM
としての射程を達成することができるだろう。
インドは、その弾道ミサイルを開発し、改善し続けている。インド当局は、固
体燃料推進のアグニII MRBMが配備準備ができたと述べている。新しい固体燃
料推進のアグニIII IRBMは、2006年以降三回、飛行テストを実施されている。
インドのミサイル開発者は、射程3,000~3,700マイルのICBMを製造する能力が
あると述べている。
パキスタンは、ミサイルの実射試験を含む実地訓練を通じて、陸軍戦略軍コマ
ンドと個々の戦略ミサイルグループの即応性と能力の改善を続けている。
パキスタンは2004年以降六回その固体燃料推進のシャヒーン2 MRBMをテスト
しており、このミサイルシステムは、恐らく、すぐに配備されると思われる。
■性能
ミサイル名 段数 推進剤 発射機 最大射程(マイル) ランチャー数*
中国
CSS-2 1 液体 移動可能 1,900 5基~10基
(限定的な移動性)
CSS-5 Mod 1 2 固体 道路移動 1,100+ 50基以下
CSS-5 Mod 2 2 固体 道路移動 1,100+ 50基以下
CSS-5 通常型 2 固体 移動式 1,100 30基以下
CSS-5 ASBM 2 固体 移動式 900+ 配備未完了
サウジアラビア (中国製造**)
CSS-2** 1 液体 移動可能 1,750 50基以下
(限定的な移動性)
北朝鮮
No Dong 1 液体 道路移動 800 50基以下
IRBM 1 液体 移動式 2,000+ 50基以下
インド
Agni II 2 固体 線路移動 1,250+ 10基以下
Agni III 2 固体 線路移動 2,000+ 配備未完了
パキスタン
Ghauri 1 液体 道路移動 800 50基以下
Shaheen II 2 固体 道路移動 1,250+ 不明
イラン
Shahab 3 1 液体 道路移動 800 50基以下
(全派生型込)
Shahab 3派生型 1 液体 道路移動 1,200+
新型MRBM 2 固体 道路移動 1,200+ 配備未完了
IRBM/ICBM 不明 不明 不明 不明 不明
Note: 射程距離は全て概算
* ランチャー一基に数機のミサイルが利用可能と思われる。
** 輸出用のCSS-2は通常弾頭装備
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http://space.geocities.jp/ash1saki/
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