脅威」の新版が発表されましたので、ご紹介します。
弾道ミサイル及び巡航ミサイルについての動向が非常に完結に、且つ、素人に
も判り易く説明してあると思います。英語も平易で写真や図も豊富ですので、
原本にもあたられる事をお勧めします。
http://www.fas.org/irp/threat/missile/naic/NASIC2009.pdf
国立航空宇宙情報センター(NASIC)
ライト・パターソン空軍基地
NASIC-1031-0985-09
BALLISTIC AND CRUISE MISSILE THREAT
弾道ミサイル及び巡航ミサイルの脅威
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TABLE OF CONTENTS(目次)
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Key Findings(主要な発見)
Threat History(脅威の歴史)
Warheads and Targets(弾道と目標)
Ballistic Missiles(弾道ミサイル)
Short-Range Ballistic Missiles(短距離弾道ミサイル)
Medium-Range andIntermediate-Range Ballistic Missiles(中距離及び準中距離弾道ミサイル)
Intercontinental Ballistic Missiles(大陸間弾道弾)
Submarine-Launched Ballistic Missiles(潜水艦発射弾道ミサイル)
Land-Attack Cruise Missiles(陸上攻撃巡航ミサイル)
Summary(要約)
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Key Findings(主要な発見)
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多くの国で、弾道ミサイルや巡航ミサイルシステムは費用対効果の高い兵器で
あり、国力のシンボルであるとみなされている。それに加えて、それらは合衆
国の空軍力に対して非対称な脅威を与えている。
多くの弾道ミサイルや巡航ミサイルシステムは大量破壊兵器を装備している。
北朝鮮は、ICBM(大陸間弾道弾)として開発された場合には、核弾頭を装備し米
国に到達可能なTD-2(テポドン2)の開発を継続している。また、中距離弾道弾
(IRBM)と、新しい固体燃料短距離弾道ミサイルも開発されている。
イランは、Shahab 3(シャハブ3)準中距離弾道ミサイル(MRBM)を改造し、射
程距離と有効性を拡張し、より射程距離の長いミサイル開発に向けた技術と能
力を高めている。2008年には、イランは二段式固体燃料MRBMの発射実験を行っ
た。2008年後半から2009年前半にかけ、イランは長距離弾道ミサイル技術のた
たき台として用いることができる多段式人工衛星打上ロケット(SLV)を発射
した。十分な外国からの援助が得られれば、イランは、2015年までには合衆国
に到達するICBMを開発し、テストすることができると思われる。
中国は、世界で最も活発で多様な弾道ミサイル開発計画を保有している。
中国は攻撃用ミサイルの開発とテストを行っており、新たなミサイル部隊を編
成し、特定のミサイルシステムの質的改善を図っており、また、弾道ミサイル
防衛網への対抗手段を開発している。
中国の弾道ミサイルは、ミサイルの数とタイプの両面で拡大している。
CSS-10 Mod 1(DF-31)とCSS-10 Mod 2(DF-31A)の両ICBMが追加されると共
に、台湾周辺で新しい戦域ミサイルの配備が続いている。
新しいJL-2潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も、開発中となっている。
将来のICBMは、恐らく、MIRV(複数個別誘導再突入体)を装備するものが含まれ、
合衆国に到達できる核弾頭の数は、15年以内に100個を上回るものに拡大する
に違いない。
インドとパキスタンは、新しい短距離と長距離の弾道ミサイルを開発し続けて
いる。パキスタンは2004年以降6回に亘って固体燃料のShaheen 2(シャヒーン2)
MRBMをテストした。そして、インドは2006年以降3回、新しい固体燃料推進の
Agni III(アグニ3)IRBMをテストした。インドによれば、固体燃料のAgni II
(アグニ2)MRBMの配備準備が完了している。
ロシアは、引き続き2000個を上回る核弾頭を合衆国に到達可能なミサイルに配
備している。ロシアの戦略ロケット軍は、軍備管理による制限と資源の不足に
より数的には縮小しているものの、新しいICBMとSLBMシステムの開発が進めら
れており、ロシアは合衆国外では、最大の戦略弾道ミサイル戦力を保有してい
る。
陸上攻撃巡航ミサイルは (LACMs)は、軍事作戦に大きな脅威を与えることがで
きる非常に効果的な兵器システムである。
少なく共、10年以内に海外の九ヶ国がLACMの生産に携わる事になると予想さ
れ、多くのミサイルが輸出可能になると見込まれている。
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THREAT HISTORY(脅威の歴史)
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合衆国とその領域に関してと同様に、弾道ミサイル及び巡航ミサイルは、海外
における米国と同盟国の軍隊に対しても、重大な脅威となる。
有人の航空機での攻撃が非現実的であるか、あまりに高くつくような恐るべき
防空システムを保有する敵に対しても効果的に使用することができるので、ミ
サイルは多くの国にとって魅力的である。
それに加え、ミサイルは、抑止や強制の道具としても使うことができる。ミサ
イルは、有人の航空機に対して、保守や訓練、補給に関する要求でも有利さを
持つ。少数の使用であってもミサイルは、破壊的でありえる。何故なら、ミサ
イルは化学兵器、生物兵器、核兵器を弾頭に装備する事ができるからである。
弾道ミサイルと巡航ミサイルの脅威はミサイル技術の拡散により継続的に増加
している。20ヶ国以上が弾道ミサイルシステムを保有しており、ミサイルは、
合衆国の軍隊が関与する将来の紛争でも脅威となる。
弾道ミサイルは過去25年の間、イラン・イラク戦争、アフガニスタン内戦、
イエメン内戦、1991年と2003年のペルシア湾紛争、チチェンとグルジアでのロ
シアの軍事行動と言ったいくつかの紛争で使われている。
LACMは、拡散が広まっているとは言えないが、今後10年で、20ヶ国が保有す
る事になると思われる。
合衆国空軍は、他の軍とも共同で、弾道ミサイルと巡航ミサイルの脅威に対し
抑止や、必要に応じて、活発な抑制を通して対処する役割を持っている。
この脅威の抑制には、発射前や飛行中のミサイルシステムへの攻撃や、支援イ
ンフラへの攻撃が含まれる。この文書には、現存及び計画中の主要な海外の弾
道ミサイル及び巡航ミサイルの情報が含まれている。
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誘導された巡航ミサイルと弾道ミサイルは、第二次大戦中にV-1号巡航ミサ
イル及びV-2号弾道ミサイルとしてドイツによって、英国及び北部ヨーロッ
パを目標とする攻撃に初めて用いられた。これらのミサイルは不正確だったが、
その使用により数万人もの連合国側の犠牲者が出た。
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WARHEADS AND TARGETS(弾頭と目標)
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弾道ミサイル及び巡航ミサイルは、通常弾頭あるいは非通常弾頭を装備する事
ができる。通常弾頭は(例えばTNTの様な)化学爆薬で満たされており、爆薬と
結果として生じる金属ケースの破片の爆発を致死のメカニズムとしている。
非通常弾頭には、大量破壊兵器(核・生物・化学兵器)が含まれると共に、致死
性ではない弾頭、比較的新しい種類の兵器で人を殺傷するよりも武器を使用不
能とするよう設計されたものが同様に含まれている。
通常弾頭と、生物、化学兵器は、単一の弾頭、あるいは、子弾頭(広い地域に
散らばる様、高度をとって発射される複数の小さな小型爆弾)として成形され
ている。
通常弾頭は、特定の種類の目標のために最適化することができる。例えば、子
弾頭は飛行場の滑走路にクレーターを作ったり、装甲車両を破壊するのに用い
られる。貫通弾頭は、比較的少量の爆薬をぶ厚い金属ケースに覆った形で使わ
れるが、バンカーといった強化構造物を貫通する事ができ、内部を破壊する。
多くの長距離弾道ミサイルや、いくつかのタイプのLACMは、核弾頭を装備する。
これらの弾頭の殆どは、第二次大戦中に使用された原子爆弾と比べ、数十倍か
ら数百倍の爆発力を持っている。化学兵器と生物兵器は、多くの第三世界諸国
にとって魅力的であろう。何故なら、核兵器に比べ容易に製造する事ができる
為である。化学兵器と生物兵器戦争のプログラムを持つ多くの国は、弾道ミサ
イル及び巡航ミサイルを保有している。これらの兵器を都市部や軍事基地の集
中した地域に使用する場合は正確性はあまり重要ではない。
化学・生物兵器は、大量の犠牲者を作り出し、民間人をパニックと混乱に誘導
し、軍事作戦の遂行能力を深刻に低下させることができる。
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BALLISTIC MISSILES(弾道ミサイル)
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作戦可能な弾道ミサイルは、サイロや潜水艦や陸上を移動する発射台に配備さ
れている。移動式のミサイルは、隠すことができ、それにより生存性を大幅に
高める事ができるので、多くの国で好まれている。
多くの短距離弾道ミサイルでは、弾頭が爆発するまで、ミサイルの形状はその
ままである。長距離弾道ミサイルでは、弾頭は分離された再突入体に含まれる。
いくつかの長距離弾道ミサイルは、MIRV(複数個別誘導再突入体)を装備してお
り、ミサイル一基につき10個程度の再突入体(RV)が備えられている。再突入体
は、地球の大気圏に、ICBMの場合、一秒間に4~5マイルという非常な高速で
再突入する。
弾道ミサイルは、固体燃料または液体燃料がロケットの推進システムとして用
いられる。近代的なミサイルシステムは、補給面での要請と運用の単純の為に、
固体燃料が使用される傾向にある。しかしながら、いくつかの第三世界諸国で
は、液体燃料技術を入手するのがより容易である事から、新しい液体燃料ミサ
イルの開発が続けられている。
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