オバマ政権が示す対北政策の「4大原則」
「この文章は非常に慎重に作成されたもので、米国政府のトップにある人たち
の承認を得たものです。読み上げます」
本紙と米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が共同で主催したフォーラムで、オ
バマ米政権が2日、対北朝鮮政策の原則を発表した。最近2回目の核実験を強行
するなど、数々の挑発行為を繰り広げている北朝鮮に対する政策の原則を明ら
かにしたものだ。最近シンガポールで行われたアジア安全保障会議でゲーツ国
防長官が発表した七つの文章からなる発言が、オバマ政権における今回の対北
朝鮮政策の基本になっているという。フォーラムに出席した米政府高官が明ら
かにした。
その内容によると、オバマ政権が定めた韓半島(朝鮮半島)政策の4大原則は、
(1)韓半島(朝鮮半島)の完全かつ検証可能な形での非核化という米国の目
標に変わりはない(2)北朝鮮を核保有国として絶対に認めない(3)核兵器や
核関連物質がほかの国や非国家団体の手に割った際には、米国と同盟国にとっ
て甚大な脅威となるため、このような行為にはそれに相応した結果が伴うよう
になる(4)米国は同盟国を守るために献身する、という内容だ。「同盟国の
防衛に献身すること」を明確にしたのは、最近韓国で起こっている核主権論に
対し、先手を打つという次元で出たものだという。この日フォーラムに出席し
た人物が語った。
オバマ政権がゲーツ国防長官の発言を本紙とCSISのフォーラムで改めて示した
のは、北朝鮮に対して明確なメッセージを送るためのものだ、とワシントンの
外交筋が説明した。この外交筋は「米政府関係者が政府のトップについて言及
しながらこれらの原則を読み上げたのは、オバマ大統領の意向が反映されたも
のでもあるからだ。今後米国による北朝鮮への対応は、これらの内容を基本と
してここから外れることはないだろう」と述べた。
一方、最近北朝鮮が2回目の核実験を行って以降、韓国では2012年4月に予定さ
れている戦時作戦統制権の韓国への移管を延期すべきという声が、本格的に力
を得始めている。これについて米国防省のデレク・ミッチェル東アジア太平洋
担当首席副次官補は、「北朝鮮が核実験を行ったからといって、韓米両国が非
常に驚いてこれまでの合意内容を急いで変更するような姿は見せたくない。戦
時作戦統制権の移管時期を延期することなどについて再検討する計画はない」
と明言した。しかし盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権とブッシュ前政権の間でこ
の問題が話し合われていた当時、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)
アジア担当局長として実務に当たっていたビクター・チャ氏(ジョージタウン
大学教授)は、「戦時作戦統制権の移管は本来条件付きの合意だった。北朝鮮
の核実験で韓半島をとりまく安全保障環境が急激に変わりつつあるため、もう
一度考え直すこともできる、という話がワシントンでも出ている」と話した。
◆米国が発表した対北朝鮮政策の4大原則
(1)韓半島の完全な非核化は米国の不変の目標
(2)北朝鮮を核兵器保有国として絶対に認めない
(3)北朝鮮による核兵器・核関連物質の移転は容認しない
(4)米国は東アジアの同盟国防衛に最善を尽くす
ワシントン=特別取材班
(朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2009/06/04)
この記事では、オバマ政権の明示的な対北朝鮮政策を四原則として
示していますが、一番重要な五つ目の原則が、記述されていません。
私は、オバマ政権には武力による北朝鮮の体制変更を行わず、
対話と交渉で問題を解決するという原則があると考えています。
昨日(6/4)、米国の一部国会議員によるテロ支援国再指定の要求に
対して、オバマ政権は「北朝鮮はテロ支援国の定義に当てはまらな
い」として再指定を拒否したと報じられましたが、これも第五原則
に沿った対応であると考えます。
では、何故、今対話を始めないのかですが、それは北朝鮮、米国共
に交渉材料をテーブルの上に並べている最中であるからと考えます。
また、オバマ政権にとっては、優先順位の高い問題がある事が挙げ
られます。
北朝鮮とすれば、米国による体制保証、「核保有国」としての認知
と大規模な経済援助の獲得が要求事項ですが、その要求を行う上で、
韓国との軍事的対立のエスカレーションや、日本や米国向けのミサ
イル発射といった交渉材料の呈示がまだ行えていません。
交渉を始める時には、カードが出来るだけ多い方が良い訳ですが、
現時点では長距離ミサイル実験は失敗の結果しか出ていない為、米
国は、北朝鮮のミサイルを脅威として捉えていません。従って、交
渉のカードとしても認知度が低いと言えます。北朝鮮としては、ミ
サイル開発を放棄する代償として(実際に開発を放棄するかどうか
は別として)、可能な限り高い値段をつけたい筈であり、その為に
は実験を成功させる必要があります。それには、まだ、多少の時間
を要するという訳です。
これは、韓国との軍事面でのエスカレーションについても同様です。
韓国との緊張状態が高ければ高い程、緊張緩和を米国との交渉材料
に使えます。「休戦条約に拘束されない」という発言は「新しい休
戦状態を作るには代償が必要」と言い換える事が出来ます。
米国にとっても状況は同じです。国連安全保障理事会で、北朝鮮に
対するできるだけ厳しい制裁実施を加盟国に要請する決議に合意を
取り付ける必要があります。それに対して、北朝鮮は中ロを通じて
制裁をできるだけ緩和し、決議の交渉材料としての有効性を損ねる
為の働きかけを行っていると言えます。
それに加え米国にとっては、現在戦っている中東における対テロ戦
争を如何に終息させるかの方がより優先度の高い案件であると言え
ます。昨日行われたオバマ大統領のカイロ演説も似たような対イス
ラム対応原則の表明でしたが、大統領本人がカイロまで出かけて行
って行った演説と、ワシントンのフォーラムでの政府関係者の発表
とでは影響度も反響もまるで違います。実際には、核拡散という観
点から見た重要度で両者の違いはそれ程大きくないという評価もあ
りえるのですが、オバマ政権にとっての優先順位付けには大きな差
異があると言えます。
では、オバマ政権がこの第五原則を明示しない理由はなんでしょう
か。それは、明示したとたんに、オバマ政権は、人権外交を放棄し
たと言われかねないからだと思います。更に、この第五原則を認め
る事自体が、北朝鮮との交渉カードになるとも言えます。
しかしながら、この第五原則が存在する事は、私の様な国際問題に
対する素人の目から見ても明らかなのですから、北朝鮮からも交渉
の前提与件になっていると考えるべきです。
大方の日本国民には残念な事ですが、オバマ政権の期間中に、米国
代表と北朝鮮代表がにこやかに握手する場面を見せられる様に思わ
れます。
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