2009年6月1日月曜日

中国が787クラスの旅客機の開発を開始?

※写真は開発中の中国国産のリージョナルジェットARJ21

中国初の国産中型旅客機、14年にも試験飛行

【上海=河崎真澄】中国が国家プロジェクトとして上海で独自開発に着手した
初の国産中型旅客機「C919」は、早ければ2014年末にも試験飛行が行
われ、16年から国内の航空会社向けに供給が始まる見通しとなった。上海紙、
解放日報などが伝えた。この「C919」は座席数が最大190人の中型機で、
航続距離は最長で5500キロ程度を予定している。開発費用は総額約2000
億元(約2兆8000億円)という。

型名「C919」の由来は「C」がまず「China」からだが、欧州エアバ
ス、米ボーイングの頭文字と合わせ「ABCが肩を並べる」意味ももつ。さら
に数字の最初の「9」は中国語の発音が同じ「久」を表し、「永久に存在する」
ことを目指す。「19」は190人乗りを示しており、将来は290人乗りの
「C929」機の開発も計画している。

開発と生産を担当する中国商用飛機では、今後3年間で「C919」本体や国
産ジェットエンジンの開発に300億元(約4200億円)、本社や工場の建
設に300億元をそれぞれ投入し、従業員も現在の4000人から生産開始時
には3万人まで増やす計画だ。

(産経新聞 2009/6/01)


今までどんな報道がされているか調べてみると同じレベルの報道が
3月9日にRecord Chinaで、出ていました。
流石に今回の報道では、生産計画は少し詳しくなっていますが、ま
ず同程度と言って良いと思います。

実際に中国独自で787クラスの採算に乗る旅客機が作れるかどうか
ですが、生産開始予定が2016年であるとすれば、売れる機体を作る
のは、なかなか厳しいのではないかと思われます。

その一つの理由は、2016年頃には、ボーイング787の生産が佳境に入
っており、更に、その対抗馬であるA350XWBも生産に入っている筈と
言う点が上げられます。既に市場を押さえられているという点で、
ボーイング、エアバスに後発の中国が、正面から張り合う事になる
のは、如何に安価な機体にしても、流石に苦しいのではないかいう
事です。(勿論、中国国内で使う上では、問題にはなりません。)

機体サイズは、787(223席~296席)やA350XWB(270席~350席)に比べ
C919は、やや小さいのですが、シリーズの中にC929という290人乗
りまである処を見ると、737ではなく、787の競合機と考えるべきか
と思います。

C919の利点ですが、採用するエンジンについては、ロールスロイス
製にせよ、GE製にせよ、既に、787やA350で実績のある新型エンジ
ンが使用できるという事が上げられます。また、機体の設計や製造
についても、787と同様の新素材や合理的なアプローチが取れる上、
787が陥った陥穽を避ける事ができるという後発メリットがあります。

また、機体価格は、中国の人件費を反映してかなり低いでしょうか
ら、737-900並みの値段で、787が買えるという事で、ローコスト航
空会社を中心に興味を示す所も出てくるのではないかと思われます。

今でこそ、原油高騰とその後のリーマンショックで世界的に経済が
縮小傾向にあり。これを反映して航空輸送量も減少していますが、
この機体の製造が始まる2016年には、世界経済も回復し、航空輸送
能力の拡大が業界の命題になっているかも知れません。それを冷徹
に見越した上での開発であれば、一見、ボーイングとエアバスの寡
占体制に切り込む中国航空機製造業界の大きな賭けに見えますが、
実は冷静な計算の結果と言えるのかもしれません。


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