2009年6月8日月曜日

「戦うべき時は戦う覚悟を」との首相発言を初めて聞いた。しかし...。

※街頭演説する麻生首相。読売新聞サイトより転載

「対北、戦うべき時は覚悟を」…麻生首相が演説

麻生首相は7日、東京都議選(7月12日)の立候補予定者の応援で訪れた武
蔵野市のJR吉祥寺駅前で街頭演説し、弾道ミサイルの発射準備を進める北朝
鮮に関し、「戦うべき時は戦わねばならない。その覚悟を持たなければ、国の
安全なんて守れるはずがない」と述べ、制裁強化などで圧力を強める姿勢を強
調した。

また、民主党が海賊対処法案に反対していることについて、「ソマリア沖を通
って日本にものを運んでくる船が海賊に襲われる。守るのが当たり前だ。どう
してこれが反対か理解できない」と批判した。

(2009年6月7日19時31分 読売新聞)

別に勇ましい発言を聞きたい訳ではないのですが、北朝鮮との関係
で、この「戦うべき時は戦う覚悟を」という言葉が日本国内閣総理
大臣の口から出たのを初めて聞いた様に思います。

勇ましいというよりも重い言葉ですね。そういう覚悟が自分にある
かどうかを胸に手を当てて考えると、確かにあるとは言えないとい
うのが私を含む大方の本音でしょうし、為政者が国民に対し簡単に
「覚悟」、「覚悟」と言って欲しくもないとも思います。しかしな
がら、北朝鮮の現状は、そういう覚悟を六十年ぶりに日本国民に求
める程、深刻なのかも知れません。

現状では、北朝鮮は数個の核兵器を保有しているだけで、それを弾
道ミサイルに搭載する事もできないと思われますが、国際社会が北
朝鮮への非難決議もできずに「会議を踊って」いる中で、全力で、
核弾頭の小型化や、弾道ミサイルの改善に力を注いでいる事に間違
いはありません。北朝鮮が日本を射程に収めているノドンにしても
弾頭重量は1トンはあり、通常弾頭であっても1トン爆弾といえば
相応の爆発力は持っています。それが百五十発~二百発場合によっ
ては落ちてくるかも知れないのです。勿論、現在整備中のMDによ
って落とせる部分もありますが、半分は打ち洩らす可能性があります。

以前にも書きましたが、第二次大戦中、ドイツはロンドンに向け
1,308基のV-2号を発射しましたが、その成果は、死者2,754名、負
傷者6,523名でしかありませんでした。MDを掻い潜って日本に着
弾するノドンの数が百発程度とすれば、ロンドンの場合の五分の一
から十分の一程度の損害、即ち、死者300名~600名、負傷者700名
~1500名程度の損害が予想されます。大きな数字ですが、阪神淡路
大震災の被害などとは比べ物にならない数字でしかありません。日
本は十分耐える事が出来ます。

ただ、ここで考えないといけないのは、北朝鮮が日本を攻撃する場
合は、日本を戦争に引き込みたい時でもあるという事です。
例えば、北朝鮮が単独で韓国を攻撃したが、進行がはかばかしくな
く逆に、戦争を拡大する事で、中国を北朝鮮側に参戦させる為に、
日本を攻撃するケースや、あるいは、日本を戦争に引き込む事で、
共同の敵が出来たとして韓国との間で休戦を成立させようとする場
合です。

こういった時には、日本は攻撃をうけ、被害がでながらも反撃を自
制しなければなりません。これには、戦う以上の勇気(自制心)が必
要になります。為政者にとっても死活の決断に迫る事になるでしょう。
従って、政治家には、「戦うべき時は戦う覚悟を」を、しかし「戦
うべきでない時には、戦う事を諦める事を国民に説得する勇気を」
求めたいと思います。


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