2008年12月12日金曜日

ボーイング社が787のスケジュール変更を正式発表




※787のWingboxの破壊試験結果。破断面がプラスティックの様に見
えるのが興味深い。Boeing社サイトから転載


787の生産遅延については、昨日のエントリーで取り上げました
が、今日になって、ボーイング社から正式な発表がありましたので
その内容を紹介します。


787ドリームライナーの初飛行と引渡しスケジュールを延期
―ストライキとファスナー取替え作業のインパクトを反映

エヴァレット、ワシントン、2008年12月11日 
ボーイング 社は、今日、787ドリームライナーの初飛行を2009
年第2四半期、一号機の引渡しを2010年第1四半期とするスケジュ
ール変更を発表した。新しいスケジュールは、最近の機械工のスト
ライキと初期生産機についてのファスナーの取替えの影響を反映し
たものある。

ボーイング社民間機部門の社長兼CEOであるScott Carsonは「我
々の生産チームは構造テスト、システムハードウェアの認証と生産
面で前進した。しかし、予想外の2つの要因による中断のスケジュ
ールに与える影響を調節する必要がある」と、述べた。

9月前半から11月まで民間機部門の生産活動の殆どを停止させたス
トライキ以前には、787は2008年第4四半期後半に初飛行をし、
一号機の引渡しを2009年第3四半期に予定していた。

787プログラム担当副社長のPat Shanahanは、「我々は、初飛行
に備えて何がなされないといけないか、レーザーの様に焦点を合わ
せる必要がある。今までやって来たように、我々はこの状況を克服
できるし、前進する為に何が必要か、我々は明確に理解している。」
と述べている。

また、Shanahanは、「初飛行の準備の中には、エンジニアリング面
での残作業を調整し最終化した上で、システムテストと審査と認証
取得を完了する事が含まれている」と述べている。

ボーイング社はこのスケジュールの遅延が顧客受渡し日に与える個
別の影響を見極めたうえで、顧客毎にスケジュール変更を通知する
予定である。また、同社は、このスケジュール変更がどんな財政的
な影響も与えるかを確定させた上で、それを後日リリースされる更
新された財政ガイダンスや全体的な機体引渡しガイダンスにも取り
込む予定である。


Boeing News Release

Boeing Schedules 787 Dreamliner First Flight for 2Q 2009; First Delivery for 1Q 2010
Schedule change driven by impact of Machinists' strike and fastener replacement work

EVERETT, Wash., Dec. 11, 2008 -- Boeing [NYSE: BA] today announced
an updated schedule for its all-new 787 Dreamliner program that 
moves the commercial jet's first flight into the second quarter of
2009 and first delivery into the first quarter of 2010. The new 
schedule reflects the impact of disruption caused by the recent 
Machinists' strike along with the requirement to replace certain 
fasteners in early production airplanes.

"Our industry team has made progress with structural testing, 
systems hardware qualification, and production, but we must adjust 
our schedule for these two unexpected disruptions," said Boeing 
Commercial Airplanes President and CEO Scott Carson.

Prior to the strike that halted much of the company's commercial 
airplane work from early September into November, the 787 was to 
make its first flight late in the fourth quarter of 2008. First 
delivery was slated for the third quarter of 2009.

"We're laser focused on what needs to be done to prepare for first 
flight," said Pat Shanahan, 787 program vice president. "We will 
overcome this set of circumstances as we have others in the past, 
and we understand clearly what needs to be done moving forward."

Included in the preparations for first flight, Shanahan said, are 
finalizing and incorporating remaining engineering changes and 
completing systems testing, qualifications and certification.

Boeing is evaluating the specific impact of this delay on customer 
delivery dates and will provide customers with updated schedules 
once completed. The company is also determining any financial impact 
from this schedule change and will incorporate that into updated 
financial and overall airplane delivery guidance that will be 
released at a later date.


また、同社はこれに合わせ、民間機部門の管理者の人事異動も合わ
せて発表しました。
787プログラム担当のジェネラル・マネージャ(以下GMと略)であ
ったPat Sharahanは民間機部門全体の生産と開発を担当する事にな
りました。Sharahanは引き続き787プログラムの全体を総括しま
すが担当GMとして、ミサイル防衛部門を率いていたScott Fancerが
指名されました。
また、民間機部門にサプライチェーン管理運営部門が創設され、航
空機営業担当副社長であったRay Connerがこの部門を担当します。

787プログラムは順調とはとても言えない状況ですが、担当GMの
Pat Sharahanは、昇進した事になります。こういう人事異動につい
ては、外からは見えない事が色々あるんだと思います。
Scott Fancherは、火を噴いているプロジェクトの消防士という立
場になります。ある意味で、プログラムの悪い点は全て出ているし、
困難なプロジェクトであると誰もが認めているので、その点では
やり易いかも知れません。これで、787(7エイト7ではなく、
あまり遅れるので7レイト7という声もあります)がリスケ後のス
ケジュール通りに開発されれば、アナリストにはビッグサプライズ
になるかも知れませんが、私はその可能性がそこそこあるかも知れ
ないと感じています。


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