※写真は産経新聞サイトより転載
岡田外相 「核の先制不使用」 米に求める方針
岡田克也外相は18日、京都市内で講演し、核保有国が核攻撃を受けた場合の
報復以外には核兵器を使わないと宣言する先制不使用について「大きな方向性
としての先制不使用は否定できない。日米間で議論したい」と述べ、米国に先
制不使用を求めていく考えを示した。外相は「(日本政府が)核の廃絶を強く
言いながら(日本にかかわる米国の)核の先制不使用は言わないのは矛盾がな
いか議論になる」とも指摘した。
先制不使用は核兵器の果たす役割を限定、核軍縮につながるが、日本政府はこ
れまで、米国の日本に対する核の傘に影響するとして消極的だった。
米国が先制不使用を宣言した場合、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載した生物化学
兵器で日本を攻撃しても、米国は核兵器では反撃しないという保証を与えるこ
とになる。今回の外相発言は日米両政府内で波紋を呼びそうだ。【野口武則】
(毎日新聞 2009/10/18)
何故、米国が核の先制不使用を宣言せず、中国が率先して核の先制
不使用を宣言しているのか、岡田外相が全く理解していない事が判
る発言です。
中国は、善意から先制不使用を宣言している訳では全くありません。
寧ろ、その宣言を行っても不利にならないからこそ、そういう宣言
をしているのです。つまり、中国には、強大な地上軍と13億の人
的資源を背景にした朝鮮戦争での人海戦術の実績があります。
朝鮮戦争で、米国は軍事技術面で優位にあったにも係わらず、中国
の人海戦術に打ち破られた経験があります。勿論、細かく見ていく
と、米国と韓国側の戦術的な誤りも指摘できますし、中国側も単に
兵士が多い訳ではなく、米国が太平洋戦争中に訓練した旧国民党軍
の割合が正面戦力に多かった(逆に言えば、質の高い潜在的な反共
部隊を中共は米軍に磨り潰させたと言える)という話もありますが、
全般的な印象として、中国軍の圧倒的な量の優位は多少の質の優位
を相殺する事が出来るというのが教訓として残ったと言えます。
つまり、中国と米国が共に「核の先制不使用」を宣言すると、例え
ば、中国が人海戦術で台湾を解放しようとした場合、米国は、核を
使用できないので手を拱いて見ているしかないという状況が発生し
てしまいます。一方、米国が核のフリーハンドを持っていれば、米
国は中国に対し、核の先制攻撃を示唆する事で、中国の台湾侵攻を
手控えさせる事ができます。実は台湾の現状はその様な上に成り立
っていると言って過言ではありません。
また、それと全く同じ事が、日本にとっても言えるのです。
つまり、米国の核抑止の実態を担保しているのが、核の先制使用権
(核使用のフリーハンド)なのです。
ここまで来ると、岡田外相のナンセンスぶりが良く判ると思います。
つまり、岡田外相は、米国の核先制使用権を縛る事で、日本の安全
保障を危機に陥れようとしている事になる訳です。流石売国民主党。
如何にも善意そのものの様に見せながら日本の存在そのものを危機
に陥れる策を講じていると唸らざるを得ないのです。
ちなみにロシアに関しては、以下の記事を参照して下さい。
これでロシアが通常戦闘での自国の優位に疑問を持っている事が判
ります。
核先制、局地戦でも 露、新軍事ドクトリン方針
ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記は、策定中の新軍事ドクトリンで、
「核兵器の先制使用」の権利を打ち出す方針を明らかにした。北大西洋条約機
構(NATO)の拡大や米軍の大規模軍事演習などを挙げて「軍事的な危険と
脅威は以前のまま残っている」とし、局地的戦闘でも核使用を辞さない可能性
を示唆した。
同書記は14日付の露有力紙イズベスチヤが掲載したインタビュー記事で、
「2020年までの世界の軍事情勢を予測・分析した結果、大規模戦争から局
地的な軍事紛争へと重点を移す方針だ」と述べた。
これに伴い、核使用の条件についても「通常兵器による大規模な攻撃だけでな
く、局地的な戦争を含めて核使用の条件を見直す」との考えを示した。さらに、
「安全保障上、危機的状況に陥れば、核を先制使用する可能性も除外しない」
と述べた。新ドクトリンは年末にはメドべージェフ大統領に提出される見通しだ。
昨年夏のグルジアとの紛争では、ロシア軍機に対してグルジアの地対空ミサイ
ルが予想以上の優れた能力を示した。通常兵器の技術革新の遅れを指摘された
ロシアは、その埋め合わせに核保有国としての優位性を周辺国に誇示し、関係
が好転しつつある米国や欧州に揺さぶりをかける狙いもあるとみられる。
ロシアは2000年に策定した現行ドクトリンでは、「通常兵器による攻撃で
も、大規模な侵攻であれば核を使用する」と述べるにとどめていた。
(産経新聞 2009/10/15)
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