2009年10月21日水曜日

First and Last? Ares I-X stood on the launch pad. 最初で最後?アレスIロケット発射台に立つ

※写真はNASAサイトから転載

NASAの新ロケット発射台に立つ

NASAの新ロケットが、来週の試験飛行のために10/20に、39-B発射台に到着し
た。NASAは最終的には月に飛行士を運ぶ事になるこのロケットの為に発射台の
改修を行ったが、この発射台にシャトル以外のロケットが立つのは34年ぶりの
事になる。

しかし、ホワイトハウスはこの計画を廃棄するかもしれない。オバマ大統領に、
宇宙探査計画に関する選択肢を提供する航空宇宙専門家委員会は、今週、その
最終報告の提出を予定している。

自由の女神より高い アレスIロケット実験機(アレスI-X)は、一晩中かかって
格納庫からパッドまで移動した。4マイルの旅に、7時間以上かかった。
実験機は、10/27に発射されるが、第一段ロケットが打上げの最初の段階で、
どのように挙動するかについて示すために、2.5分の弾道飛行を行う。
NASAはこの打上げに445百万ドル(400億円)を費やす。

327フィートの例外的に細長いロケット、アレスI-Xは、おそらく2015年までに、
宇宙飛行士を軌道に運び込むように見える。しかし、その多くはモックアップ
(原寸模型)であり、人や実際のペイロードを搭載している訳ではない。
対照的にシャトルの高さは184フィートである。また、1960年代後期~70年代
初期に人類を月へ運んだサターンVロケットの高さは、記録的な363フィートだ
った。

シャトル・プログラム・マネージャのジョン・シャノンは、たとえスペース・
シャトル アトランティスが1.5マイルしか離れいない他の発射台上にあって
も、アレスI-Xの発射は十分安全であると語った。もしロケットが発射時に爆
発してもアトランティスの発射台は爆発衝撃圏の少し外側に留まっている。
また、アレスIの第一段には動作検証済みの技術が使われていると彼は語った。
それにはスペース・シャトルを推進しているのと同じのタイプの固体燃料が使
われている。

第一段ブースターは大西洋にパラシュートで降下して、分析のために回収され
る。ロケットの残り部分であるおもりで実物と同じ重さにされた原寸模型は、
回収されないので、そのまま海面に激突する。
ロケットには、何百ものセンサーが装備される。

「私の個人的な意見では、試験飛行に関してさえ、我々が本当にI-Xに問題があ
りそうだと思っているのなら、我々は発射する準備ができていないということ
だ。」と、シャノンは先週末に語った。

一方、アトランティスは、国際宇宙ステーションへの補給任務の為、11/16に
打ち上げられる予定となっている。月曜日に、NASAは、アレスI-Xの発射の可
能性を向上させるために、4日間、シャトルの発射を延期した。ケネディ宇宙
センターの同じチームが、両方の発射を取り扱っている。

「我々が、次にどこへいくのか、次のステップは何なのか、また、シャトルが
近い将来に停止される事になっても、それが終わりではなく始まりである事を
見る事ができるのは素晴らしい事だ」とアトランティス指揮官のチャールズ・
ハボウはシャトル発射台で語った。

あと六回のシャトルの飛行が残っており、そのすべてが宇宙ステーション向け
のもので、来年末までには完了させられなければならない。

(Asociated Press 2009/10/20)


結構良い記事ですね。記者の宇宙開発に対する思い入れが少し匂っ
て来る様な文章であると思います。

今回、打ち上げられるのは、アレスI-Xと名付けられた実験機です。
一段目こそ搭載される電子機器も含め本物ですが、固体燃料も本来
の5セクションに対し4セクションしか詰められておらず、また、
二段目より上は、第二段もオリオン・カプセルも、非常脱出システ
ムもみんなシミュレータと言う名前の実寸模型です。(但し、空力
データを取る為に実物と同じ形状、重さにされています。)

第一段は、シャトルの固体ロケットブースターと同様に回収されま
すが、ブースターの全体の大きさが固体燃料1セクション分大きく
なっているので、その分、回収方法も改修されています。また、第
一段のロケットモーターには推力方向制御が行われます。

今回の実験の目的は、この見た目にもアンバランスなロケットの第
一段が打上げ時にどの様に挙動するかを検証する事にあります。
打上げ時の最初の2分間の為のテスト飛行と言えるのかも知れません。

NASAの資料では、少し細かく以下のデータ取得を目的にあげています。
①ロール及び機体全体の制御
②第一段の切り離し
③機体全体の統合性、組立と発射時の運用
④機体の空力、熱的、物理的特性
⑤第一段再突入と回収時の挙動

一見、如何にも出来上がった様に見えるアレスIですが、アレスI-X
はあくまで実験機にすぎません。計画通りに進んだとしても、2015
年のオリオン1打上げまで、これからまだまだ開発が続きます。
今回のテスト打上げは、そのマイルストーンの一つにすぎないので
す。

それに加え、記事にもありますが、オバマ政権になって始められて
いるNASA探査計画の見直し作業があります。その中でアレスIは、
COTS(民間商業有人打上げ)によって代替される事になっており、開
発が中断される可能性が高くなっているのです。

その意味では、今回の打上げは、アレスIの最初で最後の打上げの
機会になるかもしれないという点で、若干の寂しさを禁じえないの
です。

それにしても、シャトルとアレスIが隣の発射台にならんでいるのは
壮観でしょうね。是非、見てみたいと思います。


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