2009年10月6日火曜日

Chinese New Weapon's Delayed Mass Production 実は量産スピードが鈍い中国製新兵器

※写真は99式戦車。Wikipediaより転載

<軍事パレード>「眠れる獅子ついに目覚める」などと、各国メディアが大々的に報道―香港

2009年10月1日、中国は建国60周年を祝う国慶節を迎えた。この日、北京市の
天安門広場では盛大な祝賀行事が行われ、世界各国のメディアがこのもようを
大々的に報じた。香港紙・中国評論新聞が伝えた。

ロシア紙・モスコフスキー・コムソモーレツは「アジアの眠れる獅子が目を覚
ました」と報道。大規模な祝賀行事は「超大国としての威信を示すのが目的」
と評した。AP通信は「民族復興を示すとともに、中華民族としての誇りを国民
に抱かせることができた」と報道。大多数の海外メディアは軍事パレードや閲
兵式を「壮観」「精彩」「注目の的」などと形容した。

シンガポール華字紙・聯合早報は「今年の市民パレードには指導者4人の肖像
画が新たに加わり、政治的スローガンも増加した」と伝えた。ロイター通信は
ウェブサイト上で国慶節の様子を生中継、CNNもこれに追随した。ドイツの国
際メディア研究所のフォルト教授は中国メディアの取材に対し「今や世界は中
国の時代に突入した」とコメント。AFP通信は「中国は建国60周年関連の映画
やテレビドラマ、舞台を続々と制作するなど、ハリウッドスタイルで祝ってい
る」と伝えている。

(Record China 2009/10/3)


国慶節の軍事パレードは、なかなかの迫力だったとは思いますが、
実際には、本当のピッカピカの最新兵器は出場しなかった様です。
これは、最新の晋級戦略原潜が参加しなかった8月の国際観艦式と
同様の方針であると思われます。

中国の軍事力は強大ですし、西側のマスコミもその様に報道してい
ますが、開発している兵器の数が多い割りには、開発した兵器の実
戦配備は遅れています。例えば、軍事パレードでも目立った99G戦
車ですが、配備数は200輌と言います。日本の基準で言えば、200輌
の戦車の配備は大きな数字ですが、大陸軍国の標準で言えば、それ
程大きな数字ではありません。例えば、中国は59式戦車を、6000輌
配備したと言われています。現在でも5000輌が在籍していると見ら
れていますが、普通に考えれば、配備から40年以上経過し、6種類
の新戦車が開発されているにも係わらず、完全な更新に至っていな
いのは不思議な話です。陸軍では、戦車の他、装甲車でも同様の傾
向が見て取れます。また、この傾向は、海軍でも、顕著であり、同
世代の似たような性格の艦船が複数種類並行して建造されています。
その分、一種類毎の建造数は少なくなっています。

多品種少量生産は、規模の経済が働かない点で調達単価が、どうし
ても上昇します。また、修理や保守と言った整備面でも、種類毎に、
保守用部品を準備しなければならず、兵站に負担をかける点、明ら
かに非効率的であると言えます。

その点、米軍の装備の単純化の度合いと量産の規模の大きさは好対
照と言えます。例えば、戦車は、M1シリーズに統一され、四半世
紀に亘り生産されています。艦艇でも、ニミッツ級空母は半世紀に
亘り生産されましたし、ロサンゼルス級潜水艦も20年以上生産が
続きました。(勿論、同一タイプ内で細かな相違はあります。)

米国に比べ、中国の方が、人件費が安い事は事実であり、兵器開発
や調達が容易且つ安価であろうとは想像できますが、同じレベルの
軍備を整備するコストは、中国人の生活水準向上してくるにつれ、
じょじょに収斂していくと考えられます。国際市場に出ている中国
製のロケットや航空機は西側の同種の製品に比べ安価ではあります
が、既に、半分以上の水準になっている事を考えると、他の中国製
新兵器についても同レベルのコストになっているのではないかと想
像されるのです。

この事について中国が気がついていない訳がありません。開発試作
を頻度高く行う事で、開発力、技術力を向上させながら、大規模な
量産化を行わない事で、米国を安心させると言う中国の高等戦術で
あると言えなくもありません。つまり、本気で米国と対抗する気は
ないというメッセージを送り続けていると言う訳です。

中国の軍事力は、改革開放と歩調を合わせて、陸上兵力の規模の縮
小と兵器の近代化が行われています。毛沢東時代の人民戦争論から
の決別とも言えますが、まだまだ絶対的な兵力は他国と比べ大規模
です。その点で、旧式兵器と同時に、旧世代の軍人も退役させる事
で、じょじょに武器と兵士の近代化を行っているのかも知れません。
そうであれば、兵士を一気に入れ替える事ができないのと同様、兵
器も一気に入れ替える事はないと言う事なのかも知れません。
確かに「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」という言葉は兵器にも
当てはまりそうではあります。


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