2009年10月7日水曜日

2nd Generation IGS will be launched in November. 第二世代情報収集衛星の第一弾11月打上げへ

※写真はスペースイメージング社サイトから転載

情報収集衛星、11月打ち上げ=H2A・16号機で

内閣情報調査室は30日、情報収集衛星(IGS)光学3号機を搭載した
H2Aロケット16号機を、11月28日に種子島宇宙センターから打ち上げ
ると発表した。予定時刻は午前10時から正午の間で、予備期間は同月29日
~12月27日。
IGSは1998年の北朝鮮による弾道ミサイル発射を機に導入された事実上
の偵察衛星。昼間の晴天時に用いる光学衛星と、夜間や曇天時用のレーダー衛
星の2ペア計4基で運用される。

(時事通信 2009/09/30)

秘密主義で悪名の高い情報収集衛星ですが、11月28日に久しぶ
りに発射される事が発表されました。但し、内閣官房のHP見ても何
も書いてありませんし、JAXAのHP見ても何も書いてありません。

上記の記事と今までに発表されている情報を総合すると、今回打ち
上げられるのは、光学三号機であり、60cm程度の解像度を持つ光学
観測を主体とする衛星とされています。光学1号と二号が1m程度
の解像度を持つ衛星であったのに対し、今回の衛星は60cmですから、
詳細度は二倍程度上がったと言えます。

実は、光学三号は、2007年2月にレーダー二号の打上げ時に実証機
が打ち上げられています。打ち上げられてから約2年半が経過して
いますので、今回打ち上げられる光学三号実用機に対して、実証機
の運用に基づく、充分なフィードバックが行われていると期待した
い処です。

光学三号でどの程度詳細な写真が入手できるか興味深い訳ですが、
上掲の写真は残念ながら商業衛星の1m解像度のものです。
以下のサイトで50cm解像度のサンプルを見る事ができます。
参考にして下さい。
http://www.spaceimaging.co.jp/geoeye/tabid/158/Default.aspx

Google MapsやGoogle Earthで使用する写真を得るのに、Googleが
契約しているのは、GeoEyeという名前の衛星の写真ですが、この
GeoEyeは、2008年9月に打ち上げられた最新の商用地球観測衛星で
あり、光学三号よりも高度な41cmの解像度を達成しています。
但し、米国政府の規制により、商用に提供される写真の精度は50cm
とされています。それでも光学三号よりは、高い精度です。
最近の商用地球観測衛星はGeoEyeに限らず、50cm級の精度を持って
いるものが増えているのです。

加えて、GeoEyeは飛行している軌道が、光学三号実証機の490kmに
対し、690kmですから使用している光学観測機器の精度は二倍以上
であり光学系の精度と言う点では、光学三号を遙に凌駕していると
言えます。

勿論、偵察衛星には商業地球観測衛星とは違った特徴があります。
特定の目標を継続観測する為に観測装置の狙いをつけるポインティ
ング機能、あるいは、より詳細な画像を得る為に軌道を変更する機
能を持つものもあります。光学3号にどの様な機能があるかは判り
ませんが、これらの機能の一部は実装していると考えるべきでしょう。

衛星の機能面について、述べてきましたが、偵察衛星と商用地球観
測衛星の違いで一番大きいのは、実は衛星ではありません。どれほ
ど精度の高い写真が入手できても、それが、5年前のものでは利用
価値がないと言うケースがあります。また、精度ではなくタイムリ
ーに狙った場所が分析できなければ、ダメな場合もあります。ある
いは、同じ地域の継続的な変化を見たいという場合もあるでしょう。

これを実現するのは衛星ではなく衛星写真の画像分析蓄積組織なの
です。日本の場合は、本来は内閣衛星情報センターという事になり
ます。このセンターは、2003年に最初の情報収集衛星が打ち上げら
れるのに合わせて設置された組織ですが、既に5年以上運用が行わ
れています。分析された情報収集衛星の撮影画像が、どの様に有効
利用されているかは、外側からは伺い知れませんが、残念ながら、
外交や安全保障の面で、有効に活用されているという話が聞こえて
きません。

その一方で、JAXAの地球観測衛星「だいち」は、解像度2.5mの粗い
画像データではありますが、地震や津波、洪水等の災害時に、タイ
ムリーに画像データや分析された情報の提供を行っており、相応の
成果が上がっていると思われます。専門の組織ではないにも係わら
ずJAXAがこれだけの事は出来ると示している点で、内閣衛星情報セ
ンターも新衛星の打上げに合わせ画像分析情報の一般への提供や情
報公開の方針について再検討を行うべきではないかと考える次第です。



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