※写真はReutersから転載
イラン初の国産人工衛星 核絡み強まる懸念
【カイロ=村上大介】イラン政府は3日、初の国産人工衛星の打ち上げに成功
したと発表した。アフマディネジャド大統領は国営テレビで「われわれは公式
に宇宙空間に足場を築いた」と演説し、打ち上げの様子を伝える映像が繰り返
し放送された。衛星打ち上げ技術は長距離弾道ミサイルにも応用が可能で、イ
ランの核開発問題とも関連して、国際社会の懸念をさらに強めることになりそ
うだ。
イラン国営通信など地元の報道によると、「オミド(希望)」と名付けられた
衛星は2日夜、国産ロケット「サフィール2」により衛星軌道に打ち上げられ
た。1日に地球を15回周回して通信実験などのデータを収集し、1~3カ月
後に地球に戻るという。ファルス通信は、イラン航空宇宙局長官が今年3月
20日までに再び人工衛星打ち上げを行うと語った、と伝えた。
イラン側は核開発について、平和利用が目的だと繰り返し強調している。しか
し、イランが核弾頭と長距離弾道ミサイルの両方を保有すれば、イスラエルや
湾岸アラブ産油国だけでなく、いずれは欧州の一部も射程にとらえると懸念す
る声は強い。
オバマ米政権は、ウラン濃縮の即時停止など国連安全保障理事会決議の完全履
行を条件に直接対話の選択肢も除外しないとしているが、アフマディネジャド
大統領は「米国がまず、過去にイランに対して犯した『罪』を謝罪しなくては
ならない」と強気の発言を繰り返しており、歩み寄りが実現する気配はない。
打ち上げは、今月10日に祝われるイラン革命30周年に合わせて「イランの
技術力」を内外に誇示する目的もあったとみられている。イランは昨年2月に
衛星軌道調査用のロケットを打ち上げ、8月には国産ロケットで模擬衛星を軌
道に乗せたと発表した。米国の観測では、8月の打ち上げは「失敗」とされて
いた。
(産経新聞 2009/02/03)
イラン衛星打ち上げに懸念 米政府
【ワシントン=有元隆志】米政府は3日、イランが初の国産人工衛星を打ち上
げたことについて、弾道ミサイル開発にも応用が可能であるとして、懸念を表
明した。
モレル国防総省報道官は3日の記者会見で、「イランの脅威は増している」と
述べ、弾道ミサイルの長射程化に警戒感を示した。
クリントン国務長官は3日のミリバンド英外相との会談後、記者団に対し、米
政府として対話の用意はあるとしたものの、イラン側も挑発的な行為をすべき
でないと指摘した。
米政府当局者はロイター通信に対し、衛星発射はイランにとっては「重要な前
進」としたものの、「最先端の技術は使われていない」として、地域の安全保
障のバランスに変化を及ぼすまでには至っていないとの認識を示した。
「オミド(希望)」と名付けられた衛星は2日夜、イランの国産ロケット「サ
フィール2」により衛星軌道に打ち上げられた。
(産経新聞 2009/02/03)
北朝鮮が前日に、ミサイル実験かと報じられたすぐ後になりますが
今後は、同じならず者国家のイランが初の衛星打上げに成功しまし
た。
米国での報道を読むと、衛星そのものについては、スプートニクか
らそう発展したものではないとの事ですが、自力で衛星を打ち上げ
た国としては9番目になるようです。
上の記事でも米国が既にこの衛星打上げについては懸念を表明して
いる様に、衛星打上ロケットと大陸間弾道弾は同じ技術が使われま
す。実際、今回衛星を打ち上げた「サフィール」ロケットは、北朝
鮮から技術導入したノドンミサイルを改造したものと言われていま
す。イランが独自にウラン濃縮を行っている点から言っても、核弾
頭付きのICBMを開発しているという懸念が持たれるのは当然の事で
す。
有力な産油国であるイランが、その必要性に乏しいにも関わらず、
ロケット開発や原子力発電、核燃料開発に異常な努力を傾けている
事を、イランの国是であるイスラム原理主義革命、イスラエルの国
家としての生存を許さないとする指導者の度々の声明、イスラム原
理主義勢力であるハマスへの援助等を考えると、米国が、ヨーロッ
パにイランの大陸間弾道弾に対抗するMD関連施設を建設するのも
むべなるかなと感じる次第です。
サフィールロケットですが、直径は1.25メートル、長さ24メートル
で、直径がやや細い事を除けば、概ね初期のミューロケットと同程
度の大きさです。二段式、又は三段式で、液体燃料とも固体燃料と
も、言われていますが、公開されている写真を見ると、一段目は固
体燃料で、衛星打上に必要な機体制御を行う二段目には液体燃料を
使っていると考えるのが適当である様に考えます。実際、上の写真
でも、二段目上部に、燃料注入用のチューブが導入されているのが
判ります。
今回の衛星打ち上げについて、イランは「われわれは公式に宇宙空
間に足場を築いた」と評価していますが、米国から見れば、同じ
「ならずもの」国家である北朝鮮のミサイル発射実験と同期を取っ
た動きと見る筈です。つまり「ならずもの」国家の側から、オバマ
政権をその公約通りに直接交渉に引きずり出す戦略に出た様に見え
る様に思われるのです。オバマ政権にしてみれば、直接交渉を行う
場合でも交渉のイニシアティブを確保する上でも、交渉に引きずり
出されたという印象を国際社会に与えるのは避けたい筈です。
北朝鮮については、六ヶ国協議がありますので、その場を使う事で
オバマ政権は対面を保ちつつ直接対話を行う事が可能です。イラン
については、その核開発について米国は、ドイツ、フランス、イギ
リス、ロシア、中国と協議を今週にもフランクフルトで行う事にな
っていました。この協議の中で、イランについても、北朝鮮と同様、
多国間協議の枠組みを発足させる事が議論されるのではないかと観
測する次第です。
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