2009年2月3日火曜日

北朝鮮ミサイル発射準備中。テポドンなら米国向けだが



※USA TODAYより転載

北朝鮮がテポドン発射準備 米偵察衛星確認 改良型の可能性

北朝鮮が、核弾頭を搭載可能な長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の発射準
備を進めていることが2日、分かった。複数の政府筋が明らかにした。米国な
どの偵察衛星が発射準備とみられる動きを確認しており、1~2カ月中に発射
準備が完了する可能性が大きい。北朝鮮は日本や韓国の対北強硬姿勢に強く反
発しており、対抗措置としてミサイル発射準備を進めているとみられるが、万
一発射すれば、国際世論の反発は必至で、6カ国協議の行方にも大きな影響を
与えそうだ。

複数の政府筋によると、米などの偵察衛星が、北朝鮮北東部の平安北道東倉里
で新たに建設中のミサイル発射施設に複数のトラックが頻繁に出入りしている
のを確認。ミサイルを格納する大型コンテナも運び込まれていることが分かっ
た。コンテナなどの大きさからミサイルは、テポドン2号と同等以上のサイズ
とみられる。

すでに北朝鮮は昨年秋までに発射施設でエンジンの燃焼実験を行っていること
が確認されている。北朝鮮のミサイルは液体燃料を使用しているため、発射台
への設置や燃料注入にはかなりの時間を要するため、発射は早くても1~2カ
月先になる可能性が大きい。

テポドン2号は北朝鮮が独自開発した弾道ミサイルで、1段目に新型ブースタ
ーを登載し、2段目には旧ソ連が開発した短距離弾道ミサイル「スカッドC」
を改良したノドンを使用しているとされる。射程は約6000キロで、米国の
アラスカやハワイ周辺まで到達するとみられている。

今回のミサイルはテポドン2号の改良型である可能性もある。改良型ならば射
程は1万キロに達するとみられ、米本土も射程圏に入るとされる。

北朝鮮は、韓国・李明博政権の対北強硬姿勢に反発を強めており、先月30日
に朝鮮中央通信は祖国平和統一委員会の声明として「北南間のすべての政治・
軍事的合意を無効化する」と伝えた。麻生政権も「核、ミサイル、拉致問題が
包括的な解決が国交正常化の条件」との立場を崩さず、対北経済制裁を続けて
いる。

北朝鮮は平成5年5月29日、日本海に向けてノドンを発射。18年7月5日
にはテポドン2号やノドンなど7発のミサイル発射実験を実施した。テポドン
2号は空中分解し、実験は失敗したが、国連安保理は7月15日、全会一致で
非難決議を採択し、ミサイル発射再凍結を求めた。2月3日2時54分配信 

(産経新聞 2009/02/03)

韓国向けの限定的な軍事的エスカレーションはあると思っていまし
たが、テポドン2号の発射準備とは、少し意外でした。先日来の南
北合意の一方的破棄とそれに続く恫喝声明は、韓国向けである事が
明らかであっただけに、同時に二正面恫喝を行うとまでは、思って
いませんでした。テポドン2号は射程の長い、初歩的な大陸間弾道
弾です。韓国向けや、日本向けであれば、スカッドやノドンで充分
の筈です。北朝鮮にしても、価格の高い、テポドンの発射実験を行
う事は経済的には避けたい筈です。しかし、そのコストを出してで
も、米国向けにラブコールを行いたいという事なのだろうと思われ
ます。

オバマ政権は選挙期間中は、条件をつける事なく、敵対国との対話
を行うと公約していましたが、政権獲得後は、北朝鮮への態度が当
初考えられていたものよりも硬いという事が判りました。この段階
で、テポドン発射という瀬戸際外交に移行したのは、米国との本質
的な関係改善の為には、タイミングが良いとはいえない様に思いま
すが、一気にミサイル発射や核実験を行う事で軍事的な対決姿勢と
核保有国である事の誇示を行い、その後に柔軟な外交攻勢で行う事
で、戦争を避けたいオバマ政権から宥和策と援助を取り込むという
狙いがあると考えられます。

相撲で言えば、格下が横綱との対戦で、立会い直後に猫騙しをやる
様なものでしょうか。四つに組むと全く相手になりませんが、横綱
の体勢が整う前に奇襲攻撃をかければ、横綱に土をつける事も可能
と言えなくないという訳です。

ここでのポイントは、北朝鮮が本気である事をオバマ政権に信じさ
せる事です。ブラフであると思われてしまうと効果はありませんか
ら、テポドン2号は、米国本土沿岸への着弾に成功させる必要があ
りますし、それに引き続き核実験を行う事で北朝鮮の断固たる対決
姿勢を誇示する事が必要になります。

オバマ政権にとっては、緊急度は異なるもののケネディ政権で起こ
ったキューバミサイル危機に近い状況が政権発足直後に発生する事
になります。六ヶ国協議に参加している北朝鮮を除く5ケ国は、恫
喝に屈して、意味もなく援助をするのも望んでいませんが、北朝鮮
の暴発も望んでいません。勿論、オバマ政権は一面で、それが、北
朝鮮のブラフであるとは判っていても、政権発足直後では、それを
無視をする事もまた出来ないと思われます。その点では、六ヶ国協
議を主導する米国新政権の外交姿勢を知る上で格好試金石を提供し
てくれていると言えるかも知れません。


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