※写真は韓国の新型コムクスドリ級ミサイル艇「ユ・ヨンハ」Powercorea.comより転載
北朝鮮「南北合意は無効」と宣言 海上軍事境界線も破棄
【ソウル=山口真典】北朝鮮の対韓国担当機関、祖国平和統一委員会は30日、
韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権の対北朝鮮政策を非難し「南北間の政治
・軍事的対決状態の解消に関するすべての合意事項を無効化する」と宣言する
声明を発表した。1992年に発効した南北基本合意書で規定した黄海(朝鮮半島
西側)の海上軍事境界線に関する条項も破棄すると表明した。
朝鮮中央放送の報道をラヂオプレスが伝えた。北朝鮮は黄海上で南北を分ける
北方限界線(NLL)を「米国が一方的に引いたもの」として独自の境界線を
主張してきたが、今回の声明では「完全に破棄する」と強調。南北銃撃戦など
軍事衝突の懸念が高まりそうだ。南北合意の無効化により、対話・交流だけで
なく開城(ケソン)工業団地など経済協力も一段と冷え込む可能性がある。
声明は南北関係を「もはや収拾する方法も希望もなくなり、戦争の瀬戸際まで
きた」と指摘。「我が方だけ過去の北南合意に拘束される必要がないのは自明
だ」と力説した。
(日本経済新聞 2009/01/29)
こういうのを米国では北朝鮮のストリップ外交と言っています。
見せるぞ、見せるぞという割に、実際には見せる事はないという事
だそうで、聞いた時には、正しくその通りと感心してしまいました。
北朝鮮が現行一致の国であれば、東京もソウルも今までに何度も火
の海になっていておかしくないのですが、幸いな事に朱子学でなら
した朝鮮民族の国である割には、現行不一致が国是になっている事
は、今や日本では気の利いた中学生でも知っている事実になってし
まいました。
今回は、過去の南北合意事項は全て無効というのですが、金剛山観
光事業がストップしている中、開城工業団地が実際に閉鎖されるか
どうかが注目されます。開城工業団地は、進出した韓国企業が支払
う賃金の四分の三が北朝鮮当局によってピンハネされるという酷い
搾取が行われています。それだけに、北朝鮮にとっては、数少ない
合法的なハードカレンシー入手ルートであり、その閉鎖は、自分に
も不利益となって帰ってくる事になります。その貴重な現金入手ル
ートを本当に潰すかどうかで、北朝鮮の覚悟の程を知る事ができる
と言えます。
開城工業団地について、一言説明を加えるなら、材料、技術、工作
機械、資金を韓国から工業団地に持ち込み、北朝鮮の極めて安価な
労働力を使って加工し、製品にした上で、韓国内で販売したり輸出
したりしようというものです。北朝鮮には労賃が支払われ、そのご
く一部が労働者に還元され、多くは朝鮮労働党の懐に入ります。
この工業団地の建設は、韓国でも民主党政権の目玉プロジェクトと
して推進されましたので、進出企業からは、民主党や民主労働党へ
もキックバックが政治献金として流れていると思われます。
その点では、北朝鮮から韓国の民主党や民主労働党に脅しが入った
と言えなくもありません。
さて、今回の声明で、注目したいのは、わざわざ、海上軍事境界線
に関する条項も破棄すると表明している点です。この北方限界線
(NLL)は米軍が朝鮮戦争終結時に設定したもので、制海権を確
保していた事もあって、韓国側に有利な設定になっています。この
NLL付近が好漁場になっていたり、北朝鮮からの工作員の侵入ル
ートになっている事もあり、過去何度も南北の哨戒艇同士の衝突が
発生しています。1999年には北朝鮮の、また、2002年には、韓国の
哨戒艇が撃沈されています。
韓国は、この種の哨戒艇を80隻以上保有していますが、新しい艇
でも、既に建造から20年以上が経過しています。不思議な事に、こ
の処、海軍艦艇の増強が著しい中で、対北朝鮮戦力の先兵とも言う
べき、高速哨戒艇の拡充、更新は、実は遅々として進んでいないの
です。写真の新世代のミサイル艇は、昨年末に一番艇が就役しまし
たが、二番艇以降は来年以降ゆっくりとしたペースで就役する予定
です。
今年は、いわば、韓国の哨戒艇整備の端境期とも言える時期に当た
ります。北朝鮮にしてみれば、韓国が隔絶した実力を持つ新型ミサ
イル艇を投入する前に、比較的エスカレーションがしにくい哨戒艇
で南北が直接戦火を交わす事で、世界の耳目を集めようとする可能
性が高いのではないかと考える次第です。
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