原発の出力向上ルール作り 新設厳しい中で供給改善へ
経済産業省は27日、既存の原子力発電所の出力を高める改良工事を促すため、
安全確保に必要なルールづくりに着手した。今後のエネルギーの主軸は原子力
になるとみられているが、原発新設は立地地域の住民の理解を得るのが難しい
うえ、既存の原発も事故や不祥事で検査が長引いて稼働率が60%程度と低い
のが現状。既存原発の出力向上でエネルギー供給の安定化を図るとともに、火
力発電への依存を少なくして二酸化炭素(CO2)排出量削減を目指す。
この日開いた資源エネルギー調査会の小委員会で、ルール作りを検討する原子
力熱出力ワーキンググループの設置を決めた。電力会社が原発の出力向上工事
を行う場合、安全性や保守・運転管理にどのような影響があるかを検討し、今
年半ばに報告書をまとめる。経産省の原子力安全・保安院は、報告書に基づい
て電力会社の出力向上計画を審査することになる。
ワーキンググループでは具体例に沿った検討が必要だとの判断から、出力を5
%向上させる計画を打ち出している日本原子力発電の東海第二発電所(茨城県
東海村、出力 110万キロワット)を取り上げる。
また1970年代以降、米国で91基、欧州で37基が出力向上工事を行って
いることから、こうした事例も参考にする。
出力向上の具体策としては、原子炉で熱した水蒸気で回すタービンの改良など
が想定されている。
東海第二発電所は、2011年のにも出力向上工事を行う計画で、新しいルー
ルに基づき初めて工事を行うケースとなる。このほかにも出力向上の余地があ
る十数基でも工事が行われるとみられている。
(産経新聞 2009/01/28)
原油がピークのバレル140ドルをつけた頃、暖房用に電気ストーブ
やエアコンを使ったら灯油ストーブより安かったという経験をされ
た方が多いのではないでしょうか。
電気で暖房する事は、灯油ストーブで暖房するのに対して、数段の
加工が加わっていますから、値段が高くて当然なのです。
それが、同じか安い値段で提供されているのは、総発電量の20%以
上を占める原子力が、燃料代が原油価格に概ねスライドして値上が
りした石油、石炭、天然ガス火力に比べ、安値で安定しているから
に他なりません。
元々、原子力発電、水力発電、風力/太陽光発電は、火力発電に比
べライフサイクルコストに占める施設関係の費用が大きく、燃料費
の割合が小さいのが特徴となっています。今回は、原油価格が瞬く
間に下落したが、BRICs各国の発展が停止でもしない限り、原油価
格がこのまま安値安定すると考えるのは、お気楽に過ぎるだろうと
思われます。予想される将来の需要増加に対するには、原子力発電
による発電量をより高める必要があります。
ドイツは数年前に原子力発電所を全廃する方針を示しましたが、こ
れは、ロシアからの天然ガス輸入の見込みがたった事と、隣国のフ
ランスが原子力発電大国で、ここからの電力供給が見込まれた事に
よります。しかしながら、ドイツは原油価格の乱高下や、ロシアか
らの天然ガス供給の不安定さ等の理由から、原子力発電所再開に政
策を転換しつつあります。他のヨーロッパ諸国でも同様です。
米国でも、スリーマイルアイランド事故以来停止していた原子力発
電建設が再開されつつあります。
上の記事は、原子力発電所の新規建設が難しい中で、新しい技術を
適用する事で、発電効率を向上しようという試みについて書かれて
いますが、老朽化しつつある原子炉も多い中、原子炉の更新を積極
的に行う事で、安全度がより高い新型原子炉に更新し、安全性、効
率性を向上させると共に、発電量全体に占める原子力発電の割合を
更に高める事が、エネルギー供給の安定化策として必要なのではな
いかと考える次第です。
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