民主党代表選で再選を果たした菅直人首相は14日夕の記者会見で、「たくさ
んの国民が(代表選に)実質的に参加した。その結果、私が選任された」と胸
を張った。しかし、国会議員票では小沢一郎前幹事長に12ポイント(6票)
差まで迫られたのも事実で、首相は巨大な「党内野党」を抱えたことになる。
党内融和に向けた第1関門は当然、人事だ。ところが、記者会見を通じて首相
の口からは、その方向性すら語られなかった。(船津寛)
代表選中の首相は「小沢氏に勝つ」ことしか考えていなかったようだ。そのこ
とは、後先を考えない人事の“空手形”を党内にばらまき続けたことでも明ら
かだ。
若手議員には「(党所属議員のほぼ全員にあたる)400人で内閣を作る発想
で行こう」とささやき、女性議員に対しては「半分を超える閣僚が女性という
国が北欧などにはあり、豪州は女性首相だ」と、閣僚ポストまでちらつかせた。
首相は14日午後の投票を前にした政見演説でも「民主党の原点は参加型民主
主義とそれを支える自由闊達(かったつ)な議論だ。全員参加の内閣で本当の
政治主導を実現する」と語った。
この約束を“誠実”に果たそうとすれば、閣僚や副大臣、政務官の大幅な定数
増は避けられないだろう。
党運営に関しても「50~100の特命チームをつくり、みなさんに得意なチ
ームに入ってもらう」と提言。自らが唱える「居場所と出番のある社会の実現」
を、国会議員相手に実践しようというのだろうか。
ところが、首相は再選後の記者会見で、人事構想について質問されると、苦虫
をかみつぶしたような表情で「全く白紙」とのみ語った。代表選ではあれだけ、
バラ色の人事構想を披瀝(ひれき)しながら、再選が決まった途端に「白紙」
とは…。首相の構想に淡い期待を寄せ、「菅直人」と一票を投じた議員は、さ
ぞかし肩を落としたのではないか。
現実を見据えると、首相は週内に具体的な閣僚・党役員人事を固めなければな
らない。首相本人が記者会見で言っていたように、国連総会に出席するため、
21日から米ニューヨークに出かけるためだ。首相の勝利に貢献したと自負す
る議員からはさっそく、「幹事長は中立派から」「首相補佐官はベテランに代
えたほうがいい」といった意見具申が相次いでいる。激戦を生き残った首相だ
が「勝利のツケ」に悩まされそうだ。
(産経新聞 2010/09/15)
端的に言えば、今回の代表選は、民主党に覆う事のできない亀裂を
生じさせたと考えるべきであると思います。代表選に勝利する事の
出来た菅代表ですが、今後の人事では、誰一人満足させる事はでき
ません。菅代表を支持した人も、小沢氏を支持した人も等しく不満
を抱く筈です。
その理由は、上記の記事からも明らかです。代表選の期間中、菅代
表は、バラ色の人事構想をばら撒きました。菅代表を支持した人は
菅氏が当選した事で、当然、ポストが得られるものと期待している
筈です。しかし、現内閣の政務三役は、ほぼ菅代表支持であった事
を忘れてはなりません。代表選で、菅代表を積極的に支持した人を
登用しようとすれば、同じく、菅代表を支持した人を現在のポスト
から外さなくてはならなくなるのです。外された人からすれば支持
したにも拘わらず、人事で外される事になるので恨みを含まざるを
得ません。
加えて、挙党体制の約束があります。今回の代表選で国会議員票は
ほぼ半分に割れました。双方とも、ポストの約束をばら撒きながら
支持を獲得しようとしました。処が、開票後は、挙党体制という事
になります。具体的に言えば、小沢氏を支持した人も、きちんと処
遇しなければ、挙党体制とは言えない事になります。つまり、菅氏
は、挙党体制を実現しようとすれば、現在の政務三役や党役員の半
分のポストを、自陣営の犠牲の下に自分の再選に反対した連中に渡
さないといけません。そう出来なければ、挙党体制にはならず、小
沢支持派は、恨みを託(かこ)つ事になります。
全ての人を満足させようとすれば、菅代表を支持した人、しなかっ
た人を全て人事的に処遇する必要があります。その為には、現状の
ポストを少なくとも二倍にしなくてはなりません。具体的には政務
官を一人から三人四人と増員するとか、無任所の大臣を増加させる。
あるいは、幹事長補、政調会長補といった党役員を大幅に増員する
といった対応です。
人事的には、これでなんとかなるかも知れません。しかし、菅内閣
は、今度は国会で立ち往生をする事になります。衆議院で300議席
を占めるものの三分の二を確保するに至っていない上、参議院では
過半数を大幅に割り込んでいます。予算案は通せても、政策を実行
する為の法案は、国会を通過させる事はできません。政府は、ねじ
れ国会に対して無策を続ける事になります。
当然の事ながら、菅内閣の支持率は趨勢的に低下し、民主党支持も
それに引きづられて低下していく事になります。三年後の衆議院選
挙では、民主党の惨敗が確実と予想される様になれば、特に、今回
小沢氏を支持した一年生議員は、保身に走らざるを得なくなります。
「一兵卒」という事で政権と距離を置く小沢氏は、格好のお神輿に
なります。
自民党は小沢新党に嫌悪感を隠さないでしょうが、公明党は、小沢
新党との連携を拒否しないでしょう。小沢氏が、衆議院議員を150
人引き連れて新党を立ち上げれば、比較第一党あるいは野党第一党
が簡単に出来上がります。後は数合わせになります。
衆議院、参議院で共に多数になる組み合わせを確立する為の合従連
衡が始まる事になります。
では、小沢新党は何時頃、立ち上げる事になるのでしょうか?菅内
閣に対する国民の支持が溶け去り、衆議院議員の絶望感が広がるの
には、今後半年~一年程度が必要になります。その上、衆議院選挙
に合わせた地方組織を確立するにも時間がかかります。地方組織確
立には、最低でも二年は欲しい処です。その一方、有権者に対して
新党をアピールできる期間はそれ程長くはありません。この両者を
合わせて考えれば、一年後を目処に、小沢新党立ち上げの工作が始
まる事になるのではと考えられます。
ただ、ここで立ち上げられる小沢新党は、国会議員が自己保身の為
に立ちあげる政党であり、みんなの党程の理念的なバックボーンや
大義名分がありません。民主党からの分派行動ですから、イデオロ
ギー的には、民主党と自民党を結んだ中間点より、民主党寄りにな
る筈です。その立ち位置で、はたして国民の支持を集められるかと
いう問題があります。
民主党は、菅代表の下で、人事で失敗すれば、直ぐにでも、また、
人事が上手く収まっても、半年から一年程度で、やはり新党を模索
する動きが出、場合によっては新党が絡んだ再度の政権交代が実現
する可能性があります。ただ、そこで出来る新党の寿命は、それ程、
長くはならないのかも知れません。
政界の混乱≒日本の混乱は、今後も、ますます振幅を大きくしなが
ら続いていくように思われてなりません。
環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/
var gaJsHost = (("https:" == document.location.protocol) ? "https://ssl." :
"http://www.");
"http://www.");
document.write(unescape("%3Cscript src='" + gaJsHost + "google-analytics.com/ga.js'
type='text/javascript'%3E%3C/script%3E"));
type='text/javascript'%3E%3C/script%3E"));
try {
var pageTracker = _gat._getTracker("UA-6610190-1");
pageTracker._trackPageview();
} catch(err) {}
0 件のコメント:
コメントを投稿