沖縄県・尖閣諸島付近で海上保安庁巡視船と中国トロール漁船が衝突した事件
で、日本政府は中国側の軟化を期待し、中国人船員の帰国を認めた。民主党代
表選(14日投開票)を控える菅直人首相らが軟着陸を模索しているためだ。
だが中国側は足元を見るかのように態度を硬化させている。
「しつこいな」
仙谷由人官房長官は中国の戴(たい)秉(へい)国(こく)国務委員(副首相
級)が12日午前0時(日本時間同1時)に丹羽宇一郎駐中国大使を呼び出し
たことについて、苛立ちをあらわにした。中国側は7日に衝突事件が発生して
から、何度も丹羽氏に抗議したうえ、戴(たい)氏まで乗り出してきたからだ。
外務省幹部は「中国側から丹羽氏が抗議を受けたことばかり報じられているが
おかしなことだ。丹羽氏は自ら2回出向き、抗議している」と強調する。
もっとも程永華駐日中国大使は8日に外務省を訪れたが、日本側は公表しなか
った。武正公一外務副大臣は13日の記者会見で未明の丹羽氏呼び出しを「遺
憾」としたが、今後程大使を呼びつけることは否定した。
仙谷氏は7日の事件発生時、代表選に追われる首相に代わり、官邸に外務省や
海上保安庁の幹部を呼んで指揮をとった。弁護士出身の仙谷氏が最も懸念した
のが、法的手続きの瑕(か)疵(し)で外交問題に発展することだったという。
事件発生から半日後に船長逮捕を決めたのはそのためだ。
翌8日午前の記者会見で、仙谷氏は「日本国内もヒートアップ(過熱)しない
で冷静に対処していくことが必要だ」と答えている。中国政府が対応を過熱さ
せることは、予想していなかったようだ。
しかし今月中旬に日中両政府が予定していた東シナ海ガス田共同開発に関する
条約締結交渉第2回会合は、船長逮捕に抗議する中国側の都合で延期された。
日本政府は13日昼、船長を除く中国人乗組員14人を帰国させた。仙谷氏は
同日の記者会見で「漁船の違法操業との関係でガス田協議を中止するといわれ
ても困る。私の予測では、14人と船がお帰りになれば、また違った状況が開
かれてくる」と述べ、中国側の対応の変化に期待感を示した。
首相も13日夜、記者団に「日中双方の努力により戦略的互恵関係がしっかり
と発展することが必要だ」と述べた。首相らの姿勢について、外務省幹部は
「代表選があるので今は中国と荒波を立てたくないのだろう」との見方を示した。
(産経新聞 2010/09/13)
仙石官房長官の8日の発言にはあきれ返ってしまいます。日本のEEZ
内で不法操業を行い、取締りの巡視船に船をぶつける横暴を行った
中国船を拘束した事への中国の反応を気にするのではなく、日本国
内のヒートアップを気にしたというのは如何にも国民を馬鹿にして
いると言わざるを得ません。
仙石氏は、余程、日本国民が中国に対して悪感情を抱くのが心配で
あった様です。実際には、中国の反応の方が余程感情的であり、不
当であると言えます。海上保安庁は、中国船が巡視船に船を意図的
に衝突させたビデオを持っているのですから、それを堂々と公開し、
日本側が当該船を拘束した事の正当性を明示すれば良かったにも関
わらず、中国に配慮して、そうしなかった事が、逆目に出て中国側
の傘にかかった反応を招きよせてしまった訳です。
仙石氏の頭の中では、中国は「平和愛好勢力」ですから、日本の
「官憲」を押さえさえすれば、平和が回復されると思い込んでいた
のでしょうが、残念ながら中国は、仙石氏のお花畑的見解とは異な
り、非常に狡猾です。中国国内世論を扇動しながら、それを理由に
日本側の更なる譲歩を求める事は確実です。
それに加え、東シナ海ガス田共同開発に関する条約締結交渉への影
響についても「困った」などという馬鹿な事をマスコミ相手に言っ
ている様では、外交交渉にも何もなりません。相手が困っていれば
それに付込むのが外交の常道である事は常識ですが、官房長官とい
う要職を拝命している割には、仙石氏はそういう常識にも欠ける様
です。
今日、開票が行われている民主党の代表選挙について、悪い言い方
をすれば、便秘を選ぶか下痢を選ぶかみたいなものであって、私は
全く不毛の選択であると考えていますが、それにしても、自らの売
国的行動に関して全く反省のない政府首脳は、代表選の如何に係わ
らず即刻交代すべきと言わざるを得ないのです。
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