2010年5月19日水曜日

中国には難しすぎた? Su-27のコピー機に欠陥



http://www.defence.pk/forums/china-defence/43179-update-j-11b-project.html
より転載

コピーに失敗?中国新戦闘機

中国軍系国有航空機メーカーが生産した新型戦闘機「殲11B」16機が飛行
時の異常振動などのために軍側に受け取りを拒否されていることが17日、分
かった。中国の軍事動向に詳しい専門誌「漢和防務評論」(本部カナダ)最新
号(6月号)が伝えた。

「殲11B」は中国側がロシアの戦闘機「スホイ27」の技術を基に開発した
とされ、ロシア側と知的財産権をめぐりトラブルになった経緯があるが、技術
転用に失敗した可能性がありそうだ。

製造したのは遼寧省にある「瀋陽航空機」で、2009年に16機生産。しか
し、納品の直前に空軍パイロットがテスト飛行したところ振動があり、受け取
りを拒否した。

(産経新聞-共同 2010/5/17)


「殲11B」については、採用されたステルス技術について、朝鮮
日報が報道していた事もあり、そのレベルについて評価したエント
リーを書いた事があります。

「中国製ステルス機のステルス度合いを計ってみる」
http://blogs.yahoo.co.jp/ash1saki/51432549.html

また、中国が空母艦載機としてロシアのSu-33に相当する機体
を「殲15」を開発している事を取り上げたエントリーも書いています。

「中国空母艦載機「殲15」の完成度」
http://blogs.yahoo.co.jp/ash1saki/61553995.html

今回のエントリーは、その続きの様な感じになります。

「殲11B」は、中国がSu-27SKをライセンス生産した時に
取得した技術や設計書類に基づいて、Su-27SKの設計を変更
し、搭載能力を強化した機体です。外形は、Su-27にそっくり
ですが、武器搭載用のハードポイントを14箇所に増やした他、そ
れに応じて機体強度の強化を行っています。また、アビオニクスや
レーダーなども西側の技術を使って強化しています。更に、RCS
低減対策を図る事によってそれを五分の一にすると同時に、整備、
保守性を向上する対策も取られているとされます。

Su-27は素性の良い機体で、本家のロシアもSu-27をベー
スにSu-30やSu-33、Su-35といった各種の発展型が
開発されていますが、「殲11B」もその眷属と言えます。

報道によれば1997年頃からSu-27SKをライセンス生産し
ていた瀋陽航空機で「殲11B」の開発に取り掛かったと伝えられ
ています。中国の生産体制がどの様になっているか判りませんが、
量産試作あるいは初期量産型の16機について、部隊受領試験の段
階でフラッターと思われる機体の振動が発生し、受領が拒否された
と思われます。

通常の場合、機体開発では、量産期に先行して試作機が作られ、こ
れを使って各種の試験飛行が行われ、機体の欠陥や設計不良が、洗
い出されます。機体の振動が設計不良に起因するものであれば、こ
の段階で発生しているのが判っている筈です。それをクリアした上
で、量産に入った後、異常振動が発生したとすれば、それは製品製
造に関連する問題である可能性が高いと思われます。

①量産機用部品生産上の問題
 試作機では、特別に製造された部品であったが、量産用に製造さ
 れた部品の加工精度が十分でなかった。
②量産機用部品材質の問題
 上記と同じく、部品や部材の材質が量産機と試作機では異なり、
 強度が変化した事で振動が発生する様になった。
③国産化部品を使用する事の問題
 「殲11B」の国産化率は50%とされていますが、この国産化
 率を高める過程で、部品品質が悪化した。その結果①、②が発生。

量産機になってから一律に、振動が発生したのであれば、②または
③の問題である可能性が高いかも知れません。

最近でこそ中国の生産技術は急速のそのレベルを向上させています
が、それは、まだまだ、外資が管理している製造会社や、外資が技
術移転をした範囲に留まっています。その点で、今回「殲11B」
を製造した国営企業の「瀋陽航空機」が、どの程度の品質管理水準
にあったのか興味深く思われるのです。


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http://space.geocities.jp/ash1saki/










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