2010年5月11日火曜日

中国、月探査衛星「嫦娥2号」を10月に打ち上げへ

月周回衛星「嫦娥2号」10月に打ち上げへ

2010年5月10日14時28分印刷ソーシャルブックマーク
中国は今年10月に月周回衛星「嫦娥2号」を打ち上げる方針だ。月表面に物
体を発射して砂埃を起こし、月表面の土壌構造を分析するという。新華社のウ
ェブサイト「新華網」が8日伝えた。

中国航天科技集団の袁家軍副総経理(副社長)が6日、中国航空宇宙基金メダ
ル授与式・中国航空宇宙事業協力パートナーサミットで述べたところによると、
嫦娥2号の打ち上げは中国の月探査計画「三歩走」における重要な一歩になる
という。

嫦娥2号の打ち上げは月探査プロジェクトの第二期における事業だ。同期には
3回の打ち上げ任務があり、それぞれ「嫦娥2号任務」「嫦娥3号任務」「嫦
娥4号任務」と名付けられた。袁副総経理によると、中国は2013年に月面
着陸探査機を打ち上げ、2018年には月軌道でのドッキングや地球への帰還
を達成する予定という。

中国航空宇宙基金は今回、宇宙航空に関連した科学研究、製造、実験、打ち上
げ、観測・制御、研究開発、測定・テスト、管理などの部門で優れた業績を上
げた213人の個人と6つのグループにメダルを授与し、その中国航空宇宙事
業に対する貢献を顕彰した。

(朝日新聞 2010/05/11)


多大の成果をあげた日本の「かぐや」は、単発の月面探査で終わっ
てしまいそうですが、中国の「嫦娥」は予定通りシリーズ化が推進
されています。

今回は、月面に衝突体を発射し、砂埃を起こし、月表面の土壌を分
析する計画です。月面への衝突体を突入させるのは、米国の「エル
クロス」探査機やインドの「チャンドラヤーン」探査機でも行った
事で新味がある訳ではありませんが、中国が前回の月表面の写真撮
影ミッションから一歩進んだ探査を自力で行おうとしている事は事
実として評価する必要があります。

元々、中国の月探査は、月惑星科学的な目的の追求というよりも、
国家威信発揚を主たる目的として推進されており、副次的目標とし
ては、探査機製造技術の高度化や誘導技術の高度化の実現する事で、
中国の軍事産業全体の高度化を達成しようとしている様に思われます。

日本も月面でのロボットを使用した表面探査を長期目標に掲げてい
ますが、具体的な計画や予算の裏づけがある訳ではありません。
それに比べれば、2013年の月面軟着陸、2018年の月往還機の打ち上
げは、マイルストーンとしてより具体的であり、その確度の高い実
現と予算の裏づけを予想させます。

中国が国威発揚を目的とした宇宙開発により潤沢なリソースを割り
当てられるとすれば、日本は、少ない予算をより賢明に使用するし
かありません。米国の月探査計画が中止になった以上、日本独自の
有人月探査の実現はまず不可能と言えます。当面、宇宙関係予算は、
年間1800億円~2000億円程度で変わらない中で、「きぼう」の運用
が5年間延長される事も計算に入れながら、日本独自の今後の宇宙
開発の焦点をどこに当てるのか、戦略的な発想が、今問われている
様に思われます。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/











0 件のコメント: