※写真は、ボーイング社サイトより転載
米ボーイング、最新鋭中型機「787」の初試験飛行を無事終了
米航空機大手ボーイングは15日、当初の予定から2年以上遅れで、最新鋭中
型機「787」(通称ドリームライナー)の初試験飛行を実施した。
悪天候により飛行時間は短縮されたが、ドリームライナーは、多くのボーイン
グ従業員や業界関係者、航空ファンが見守る中、無事に試験飛行を終え着陸した。
ドリームライナーの開発・試験飛行をめぐっては、パーツ不足やデザインの欠
陥、2カ月に及ぶストライキなどが原因となって、延期が度重なっていた。
ドリームライナーは新素材を使った軽量機体が特徴で、ボーイングは同機によ
り、数百万ドル規模の燃料・維持費の削減が可能だと主張している。
超長距離飛行が可能な約250人乗りの中型機、というコンセプトが航空会社
の支持を集め、ボーイングはこれまで840機(約1400億ドル相当)を受
注している。
ただ、ボーイングがドリームライナーの開発によってどれくらいの利益を上げ
られるのかは不透明。アナリストによると、ボーイングは同機の開発に100
億ドル以上を投じており、これに加え延期に伴う顧客への何らかの賠償義務も
発生する見通し。
ボーイングは、最初のドリームライナーを、全日本空輸に来年第4・四半期に
納入する予定としている。
(ロイター 2009/12/16)
開発延期を繰り返しているボーイング787ですが、漸く、初飛行
に辿り着きました。
787の初飛行はワシントン州エバレットのパイン飛行場を離陸し、
同じワシントン州シアトルのボーイング飛行場に着陸するというコ
ースで行われ、悪天候の中、一時間程、早めに切り上げられ、約3
時間の飛行時間となりました。飛行高度は、15000ft。初飛行で、
脚下げ状態での飛行であった為、速度は180ktという比較的ゆっく
りとしたものでした。通常の初飛行と異なり、悪天候下の飛行であ
った為、乱気流やアイシング状態にも遭遇しています。
787はボーイング社の新世代の旅客機で、既存のボーイング757
や767を置き換える機体です。日本の企業も深く関与しており、
全日空は、キックオフカストマーとして一号機を受け取りますし、
生産面でも、三菱重工、川崎重工、IHIがリクス・シャアリング・
パートナーとして全体の35%の製造と開発を行っています。
787は、機体重量の約50%が炭素繊維の様な軽量の複合材で出来
ています。今まで、複合材は、軍用機や民間機の機体で一部で使わ
れてきましたが、ここまで大規模に民間旅客機に使われた例はあり
ません。FAA(連邦航空局)の耐空証明を得るのに、今後6機のテス
ト機により集中的なテスト飛行が、9ヶ月に亘って行われる予定に
なっています。
787で何がよくなるかですが、乗客にとっては、機内の気圧が従
来の機体よりも高くなっており、また、窓がより大きくなり、照明
も改善されて快適性が高くなっています。とはいうものの、従来の
機体とそれ程、大きな違いはありません。787の魅力は、その経
済性にあります。エンジンには、新開発のロールスロイス社のトレ
ント1000、または、ジェネラルエレクトリック社のGEnxエンジンが
使用され、燃費は従来の同規模の機体に比べ20%も向上しており、
騒音も改善しています。
機体を大きな部分に分割して下請けメーカーで完成させ、それをボ
ーイング社のエバレット工場に運び込んで結合し、完成させるとい
う新生産方式も、初の試みです。開発中は、この新生産方式に起因
する問題点が噴出しましたが、これが、一度軌道に乗れば、画期的
な生産方式と言われる様になるのは、まず確実です。ただ、その分、
産みの苦しみも大きかったと言えます。
当初は、2007年中の引渡しを目指しましたが、上記の大幅な生産方
式の変更も影響し、5回に亘って引渡しは延期され、現時点での引
渡し予定は2010年の第四四半期となってしまいました。一番最近の
問題点は、主翼の胴体への接合部の強度不足でしたが、これは僅か
二週間前に修理が漸く完了したばかりです。
労働組合問題も開発遅延に影響しました。昨年の八週間の技術者の
ストライキの影響は深刻で、この結果、ボーイング社は組合を作る
必要のないサウスカロライナ州のノースチャールストンに二番目の
最終組み立て工場を建設する決定を行っています。
初飛行は果たしたというものの、787が2010年に引渡しできるか
どうかは、テスト飛行が順調に進むかどうかにかかっています。
これからの200日、ボーイング社によれば、24時間、全世界の空を
股にかけたテスト飛行が予定されています。
次回のテスト飛行は、来週行われる予定となっています。
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