2009年11月11日水曜日

Inflexible North Korea. オバマの訪日スケジュール変更に対応できなかった北朝鮮


※交戦した韓国と北朝鮮の警備艇。
上は韓国のチャムスリ型戦闘艇。下は北朝鮮は上海型哨戒艇(但し、中国の同型艦)。
「日本周辺国の軍事兵器」(http://www6.atwiki.jp/namacha/)から転載。

黄海で南北海軍が銃撃戦

朝鮮半島西方の黄海上で2009年11月10日午前11時半ごろ、北朝鮮の
警備艇が海上の軍事境界線である北方限界線(NLL)を越えて南下し、阻止
しようとした韓国海軍艦艇との間で銃撃戦となった。北朝鮮警備艇は破損し、
北朝鮮側に戻った。韓国側に死傷者はいなかった。
韓国合同参謀本部が発表した。南北艦艇間で銃撃戦が起きたのは2002年6
月以来。米国が核問題で北朝鮮との対話に乗りだそうとしているタイミングで
の北朝鮮による挑発とみられ、対話の行方にも影響を与える可能性がある。
韓国政府関係者によると、北朝鮮の警備艇がNLLを越えて韓国側に侵犯、韓
国海軍が警告射撃した。しかし、北朝鮮の警備艇が応射し、韓国側も応戦した
という。同関係者は「状況を注視している」と語った。
聯合ニュースによると、現場海域では当時、韓国の漁船9隻が航行していたが、
安全海域への移動措置を取った。
NLL近海では1999年と02年に北朝鮮と韓国の艦艇による銃撃戦が起き、
双方に多数の死者が出ている。

(時事通信 2009/11/11)


北朝鮮は、独裁国家ですから、指導者の一言で、緊張を激化させる
事も緩和する事も容易にできます。特に、軍に対しては指揮権を一
手に握っている訳ですから、どの軍を、どの程度動かすか、正に金
正日の手の中にあると言っても過言ではありません。

今回の海上での軍事衝突ですが、北朝鮮の警備艇がNLL(北方限
界線)を越えて南下したのを、韓国の警備艇に見咎められ警告射撃
を受けたのに対し、北側が応戦したのが原因になっています。北朝
鮮の警備艇は、南からの警告射撃に対し、自艇の位置を確認した上
で避退しても良かったのに、わざわざ応戦したのは、応戦許可を得
ていた(あるいは、応戦を指示されていた)からに他なりません。つ
まり、北朝鮮が、軍事的に警備艇同士が砲火を交わす程度にエスカ
レーションする事件を望んだから、今回の事件が発生した事になり
ます。

本来の予定であれば、11日にオバマ大統領は、日本に到着するスケ
ジュールになっていました。日本にエア・フォース・ワンが到着し
て最初に機内に運び込まれる新聞の一面に、南北艦艇銃撃戦のヘッ
ドラインが踊っている筈だったのです。しかしながら、オバマ大統
領の訪日スケジュールが一日ずれた事。また、北朝鮮内でそれへの
対応が取れず、当初予定のスケジュールで銃撃戦が発生した事で、
オバマ大統領は、緊迫した報告を、日本で聞く代わりに、CIAの情
報官から冷静な報告を得られた事になります。

この様に考えれば、今回の事件が、北朝鮮が期待する米朝二ヶ国協
議に積極的でないオバマ大統領への心理的圧迫を目的にした政治的
な意図の下に行われた事は明白である様に思われるのです。

それにしても、オバマ大統領の訪日スケジュールが一日伸びたので
あれば、それに応じて事件発生を一日延ばせば、意図通りの政治的
効果を得られた筈であり、それに対応できなかった北朝鮮の体制の
柔軟性の欠如を露呈した事件であるとも言えるのかも知れません。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/





0 件のコメント: