鳩山由紀夫首相が13日に来日するオバマ米大統領と同日中に首脳会談を行っ
た後、大統領を日本に残し、同日深夜にアジア太平洋経済協力会議(APEC)
首脳会議出席のためシンガポールへ出発する日程が9日、固まった。複数の日
本政府関係者が明らかにした。
首相としては「アジア重視の姿勢を示すため、14日の首脳会議開幕に遅れる
ことはできない」(政府関係者)という。ただ、来日中の外国首脳を残して、
首相が外遊に出発するのは極めて異例。
一方、オバマ大統領は14日も日本に残り、天皇陛下との会見やアジア外交に
関する演説などの日程をこなしてからシンガポールに向かう見通しだ。
(時事通信 2009/11/10)
鳩山政権は、発足当初から米国に対する、外交的平手打ちを連発し
ていますが、これは極めつけの一発と言えるものです。しかも、外
交上全く意味が無い単なる非礼であり、愚劣以外の言葉が見つかり
ません。これでは鳩山政権に摺り寄られる側の、中国も避けようと
するのではないかと思えるほどです。
勿論、米軍人の銃乱射事件の影響で、直前に、オバマ大統領の訪日
スケジュールを一日延期したのが影響しているのが原因となってい
るのは間違いありません。しかし、それも含めてスケジュール変更
を了承している筈です。
鳩山政権が外交上無難な出足を見せているのであっても、行く先は
同じなのですから、オバマ大統領と一緒にシンガポールまでエア・
フォース・ワンに同乗するパフォーマンスを見せ、親交を深めるチ
ャンスとする位の事をやっても良かったのです。
恐らく、小泉元首相であれば、それを嫌味に見せる事なく自然にや
ってのけたと思われます。
実際には、鳩山政権は、米国相手に外交的平手打ちを連発している
のですから、こういう場合には、余計に気を使って、日米一体感を
演出すべきであるのは、外交に関する素人でもわかる事です。
誰の助言を得たのか判りませんが(恐らく寺島実郎だろうと想像し
ますが)、今回の処置を含め、日本のアジアにおける発言力の多く
が、日米同盟と言う基盤の上になりたっている事を意図的に無視す
るという非常に子供っぽい行動をとっている様にしか見えないので
す。しかし、そんな事で、米国と対等な関係が構築できる訳もあり
ませんし、鳩山政権が志向する東アジア共同体が実現できる訳でも
ないのです。どの様なものであれ日本が、外交的意思を実現したい
と本気で思っているのなら、米国を如何に上手く活用するかが鍵に
なるのは言うまでもないのです。
言い換えれば、APEC開幕に一日遅れた処で、米国大統領とエア・フ
ォース・ワンで一緒に来る日本の首相の方が、米国大統領を置き去
りにして、APEC開幕に間に合わせた首相よりも、余程、APECで影響
力を行使できるというのが現実なのであり、今回の件で、鳩山政権
は、東アジアの外交コミュニティの中で、ますます相手にされない
存在(ピエロ)となったと言えるのです。
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