ミサイル防衛の「頭脳」運用開始=探知情報を集約、迎撃判断-空自
防衛省航空幕僚監部は1日、弾道ミサイルの探知情報を一元的に処理し、適切
な迎撃方法を判断する航空自衛隊の自動警戒管制システム(JADGE)の運用を
開始したと発表した。従来の処理能力が大幅にアップし、弾道ミサイル防衛
(BMD)システムの「頭脳」として、北朝鮮などの脅威に迅速な対応が期待で
きるという。
BMDでは、空自の地上レーダーや海上自衛隊のイージス艦のレーダーなどが弾
道ミサイルの航跡を探知。日本の領土、領海に落下する場合は、イージス艦搭
載の迎撃ミサイル(SM3)や地上に展開する地対空誘導弾パトリオットミサイ
ル(PAC3)で迎え撃つ。
JADGEは、従来のシステムに弾道ミサイルへの対応機能を付加。各レーダーの
情報を集約し、対象物の識別や落下地点の計算、迎撃方法の選定を自動的に行
い、イージス艦のシステムなどに伝達する。
(時事通信 2009/7/01)
コンピュータの歴史に詳しい人は、世界最初のオンラインシステム
としてSAGE(Semi Automatic Ground Environment)という名前を覚
えているかも知れません。今の様にコンピュータとコンピュータが
ネットワークで結ばれるのが当たり前になる前は、コンピュータは、
必ずしもネットワークを介して接続されている訳ではなく、オンラ
イン処理も特別な処理の方法でした。そういったコンピュータの使
い方に一線を画したシステムが防空システムであったのも、国家の
生存の為の荒業であったのかも知れません。
SAGEが半自動と名づけられているのは、レーダーサイトで探知した
情報を集約し、表示する所までは、コンピュータが行い、それを解
釈し、邀撃機に指示を出す部分が、管制官によって行われていたか
らです。その様子は、昔の映画などを見れば判ると思います。
キューブリックの「博士の異常な愛情」なんかが良いかも知れません。
SAGEは全世界レベルのものでしたが、米国は占領中に日本各地にも
レーダーサイトを設置し、戦域レベルの防空システムを導入しまし
た。これが今まで使われてきたBAGDEシステムの前身です。
BADGEシステム(Base Air Defense Ground Environment)はその名の
通り、元々は基地防空管制システムでしたが、自衛隊の創設後は、
米軍から航空自衛隊に管理が移管され、その後システムは二回に亘
って更新されています。機能的には、日本の領空防衛に関する根幹
であり全国28ヶ所のレーダーサイト及び早期警戒機・早期警戒管
制機からの探知情報を総合し、領空侵犯に対して邀撃機による邀撃
管制指揮を行っています。今回のシステム更新は三回目のものであり、
名称もJADGEシステム(Japan Air Defense Ground Environment)と
変更されています。
JADGEシステムは、BADGEシステムの機能や性能を向上させ、航空機
のみならず、弾道ミサイル防衛(BMD)に対しても対応したのが特徴
となっています。また、従来から、全国四ヶ所の防空指令所で邀撃
指揮、管制を行ってきましたが、JADGEシステムは、それを一ヶ所
で統合して実施する事がシステム的に可能となった他、MDについて
は、府中で一元的に行う事になっています。
旧型のレーダーサイトの他、FPS3改やFPS5と言った新型レーダーを
サポートするのは勿論ですが、海自のイージス艦ともリンク16で、
その他の指揮システムとは航空総隊指揮システム等を通じて防衛省
中央指揮システム(CCS)のほか、陸海の指揮システムなどを通
じたデータ連携が行われます。
また、弾道ミサイル防衛をより効果的に実施するため米軍とのシス
テム連携として早期警戒情報や、Xバンドレーダーの情報も受信で
きる様になっている様です。
このシステムは今年の一月から運用が開始されていましたが、7/1
を以って、BADGEシステムとの並行稼動が終了し、本格稼動=実戦化
に入りました。当初は21年度中の実戦化と発表されていましたので、
7/1の実戦化は、最近の北朝鮮情勢の緊迫化を踏まえたものなのか、
幾分スケジュールが前倒しになった事が想像させます。
今回のJAGDEシステム稼動は、体に例えれば、ミサイル防衛に関す
る頭脳と中枢神経系統が大幅と強化された事になります。SM-3や
PAC3と言った表面に見えるハードだけでなく、この様なソフト面
でも能力が強化された事は、北朝鮮にミサイル発射に対する国民
の安心材料を増やす事になると思われます。
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