2009年5月22日金曜日

中国の潜水艦を評価してみると

※写真は、日本周辺国の軍事兵器サイトから転載

昨日は、簡単なコメントで済ませましたが、今日は、中国の潜水艦と日本の潜
水艦を比較し、少し分析を加えてみる事にします。
勿論、日本や中国の潜水艦のスペックが公表されている訳ではありませんので、
主として一般に流れている情報やネットで調べられる範囲の情報に限定した評
価になりますが、一つの参考として見て頂ければと思います。

まず、中国の通常動力潜水艦のラインアップと建造時期、簡単な特徴です。

○元級(Type039A) 1隻+2隻建造中 2006-
スターリング機関装備 フランクアレーソナー、非対称7翼スキュード
プロペラ、無反響タイル
独MTU社製16V-396ディーゼル・エンジン(ドイツ海軍212型の搭載機関)
キロ級静粛化技術の適用
C-801巡航ミサイルまたは、3M-54Eクラブ超音速巡航ミサイル

○キロ級(Type877/636) 12隻 1995-2008
全長74.9m、水中排水量2,250トン
7翼スキュードプロペラ、無反響タイル
C-801巡航ミサイルまたは、3M-54Eクラブ超音速巡航ミサイル
TEST-71有線誘導魚雷及び53-65KE航跡追尾魚雷
OMNIBOMUIBUS-E多機能指揮管制システム、又はLAMA-EKM多機能指揮管制システム
MGK-400EM Rubikon(Shark Teech)統合ソナー
最大潜航深度300m

○宋級(Type039) 10隻以上 1996-2005
全長74.9m、水中排水量2,250トン
仏製フランクアレーソナー、7翼スキュードプロペラ、無反響タイル
C-801巡航ミサイル、YU-4対艦魚雷(魚4)・YU-5対潜魚雷(魚5)
フランス製の統合戦闘システム、独MTU社製16V-396SE84ディーゼル・エンジン
最大潜航深度350m


中国海軍は宋級で西側の技術を大幅に取り入れた近代的通常型潜水艦の整備を
開始しました。武装はソ連製、戦闘システムとソナーはフランス製、主機はド
イツ製です。特に戦闘システムへの中国製兵器とソ連製兵器の取り込みとイン
テグレーションに時間がかかった事から一番艦は1994年の進水から1998年の就
役まで4年を要する事になりました。(Type039)

二番艦と三番艦は、セイルを日本の潜水艦と同様の正方形に近い形に成形した
他、無反響タイルによって海中騒音の低下を図りました。(Type039G)
四番艦以降は更に改装され量産化が図られています。(Type039G1)

日本の潜水艦と比較した場合、宋級は、フランクアレーを除いた性能で、概ね
ゆうしお型の後期型か、ゆうしお型の海中騒音を徹底的に削減したはるしお型
に近い能力があると評価できます。宋級のフランクアレーソナーはフランス製
ですが、日本の潜水艦でフランクアレーソナーが導入されたのは、おやしお型
からですから、フランクアレーソナーや無反響タイルの導入は、中国は日本と
殆ど同じ時期に行われた事になります。

元級は、宋級で十分でなかった海中騒音低減対策にキロ級潜水艦の技術を適用
したものであり、戦闘システムにもキロ級で導入されたロシア製兵器のインテ
グレーションを行った上、スターリング機関を搭載したものです。(一説には
キロ級の中国版コピーという話もあります。)

日本の潜水艦としては、同じスターリング機関を搭載する潜水艦としては、そ
うりゅう型がそれ以外の部分では、おやしお型が相当するのではないかと思わ
れます。

そうりゅう型やおやしお型と元級を比較すると常識的には、静粛さと潜航深度、
ソナーシステムや戦闘システムのインテグレーションで、流石に、日本の方が
上だろうと考えますが、航跡追尾魚雷や超音速巡航ミサイルといった特定の分
野では、中国にも優位な点があるし、日本の潜水艦に比べ、中国の潜水艦の性
能も一般に想像される程の大きな開きがある訳ではないと考える次第です。


環球閑話日々の徒然まとめサイト
http://space.geocities.jp/ash1saki/





0 件のコメント: