※Daryl Cagle's Political Cartoonists Indexより転載
「スマートパワー」で指導力 ヒラリー国務長官 承認審議
【ワシントン=有元隆志】次期米国務長官に指名されたヒラリー・クリントン
上院議員の承認公聴会が13日午前(日本時間同日夜)、上院外交委員会で行
われた。クリントン氏は軍事力に加え外交を中心とした「スマートパワー」で、
国際社会において指導力を発揮したいとの決意を示した。クリントン氏は20
日にも上院本会議で承認され、オバマ次期政権の外交の「顔」として、イラク、
アフガニスタン問題や、イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの交戦が続
くパレスチナ自治区ガザ地区情勢などの難題に臨む。
クリントン氏は書面で提出した冒頭証言で、「米国は差し迫った課題を単独で
解決できないが、世界は米国抜きでこれらの問題を解決できない」と指摘した。
そのうえで「われわれはスマートパワーともいうべきすべての手段を使わなけ
ればならないが、外交はその先頭に立つ」との決意を示した。
さらに、「外交政策は理念と現実の結合であって、硬直化したイデオロギーに
基づくものであってはならない」と述べ、ブッシュ政権の外交を批判した。
クリントン氏は民主党予備選で、敵対国との直接対話を主張したオバマ次期大
統領を「うぶで無責任」と批判するなど温度差があった。オバマ氏が敵対国の
指導者との対話に条件をつけるなど軌道修正したため、現在では2人の外交姿
勢に大きな違いはなくなった。クリントン氏はオバマ氏と足並みをそろえて外
交課題にあたる考えを強調した。
共和党のルーガー筆頭理事はクリントン氏の夫ビル・クリントン前大統領が設
立した財団が、慈善目的で外国政府から少なくとも4600万ドル(41億円)
を受け取っていた問題で、外交活動に影響を与えないためにも献金の透明性な
どを求めた。
(産経新聞 2008/01/14)
記事にもある通り、オバマ氏は、敵対国との直接対話による解決を
図ったのに対し、クリントン氏は、それをナイーブと批判した経緯
があります。その一方で、クリントン氏の親中外交姿勢に対し、オ
バマ氏は意外な程、同盟国重視姿勢を明らかにしています。
クリントン氏は、外交について自信を持っている訳で、彼女がどの
程度自分の意見を抑えながら、オバマ氏の直接対話路線を推進でき
るか非常に興味深い問題であると言えます。
オバマ氏の直接対話路線に乗じる形で、北朝鮮はオバマ氏の大統領
就任式への参加を希望し、断られたという話も伝わってきています。
シリアにしても、イランにしても、オバマ政権が外交について先入
観がない(というか知識がない)発足直後を狙って外交攻勢をかけて
くる筈です。
ならずもの国家にとっては、自分の側の約束は履行する必要を感じ
ていませんから米国から少しでも譲歩を得られれば、それは外交上
の勝利という事になります。実は直接対話そのものが相手政権を認
知する事になるので外交的には譲歩を意味する事もあるのです。
ならずもの国家としては、そういう事情を知らなかったと思われる
オバマ氏の発言を梃子に何らかの果実を得られればもっけの幸いと
いう訳です。
オバマ氏の政権発足後の優先課題が経済対策である事は、万人が等
しく同意する所です。また、その次の課題がイラクからの撤退問題
である事は容易に想定のつく所です。唯一の超大国として同盟国関
係については経済協調で欧州が米国の足を引っ張る事さえなければ、
まず、問題はない筈です。その一方で、目下発火中であるというも
ののイスラエル-パレスチナ問題はもともと今日明日に解決のつく
問題でない事も明らかです。
そうであれば、外交上の課題は、ロシア、中国との関係とならず者
国家への核拡散問題という事になりますが、そこでクリントン氏は、
オバマの顔を潰さない様にしながら直接対話の公約を骨抜きにする
必要が出てきます。でなければ米国が外交上の不利益を蒙る事にな
りかねないからです。その点、イラクからの撤退問題も絡んで、な
らずもの国家対策には難しい対応を余儀なくされる様に思われるの
です。この問題をどの様に処理するかで、オバマ・ヒラリー外交の
実力の程が図れるのではないかと考えます。
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