2010年10月7日木曜日

下地島にE-2C配備を!

※尖閣諸島周辺地図。朝日新聞より転載

空飛ぶレーダーサイト、E2Cの沖縄展開を検討 防衛省

防衛省は航空自衛隊三沢基地(青森県)に配備されているE2C早期警戒機を、
定期的に空自那覇基地(那覇市)に展開させ同基地を拠点に一定期間運用する
検討を本格的に始めた。中国漁船の衝突事件が起きた尖閣諸島をはじめ南西諸
島に低空で航空機の侵入があった場合、沖縄県・宮古島にある最西端のレーダ
ーでは捕捉できないためだ。ただ、沖縄の基地負担が増えないように常駐配備
は見送る方針だ。

領空侵犯を警戒するため空自は、全国28カ所に置かれたレーダーサイトと
E2C早期警戒機、E767早期警戒管制機などにより24時間態勢で日本周
辺の空域を監視。最西端にあるレーダーが沖縄本島から約300キロの宮古島
に置かれている。

ところが、例えば、宮古島から約210キロ離れた尖閣諸島の上空では、低い
空域に航空機が侵入してきても、水平線の下になり宮古島のレーダーで探知で
きない「死角」が生じてしまう。防衛省幹部によると、尖閣諸島上空では高度
約2千メートル以下の空域が死角になっているという。宮古島から約230キ
ロ離れた日本最西端の与那国島周辺でもほぼ同様という。

このため、機体背面のレーダーで数百キロ離れた超低空での機体の動きを上空
から探知できるE2Cを3機程度、定期的に三沢基地から那覇基地に展開し、
上空から南西諸島の監視を強化する検討を本格的に始めた。沖縄側に部隊展開
への理解を求め、できるだけ早期に実施したい考えだ。

防衛省によると、南西諸島では沖縄本島以外には陸上自衛隊の常駐部隊がおら
ず、宮古島以西は「防衛上の空白地帯になっている」(同省幹部)という。
E2Cの展開は、9月に尖閣諸島沖で起きた中国漁船と石垣海上保安部の巡視
船の衝突事件の前から検討が進められていたが、省内では事件後、海上だけで
なく周辺の空域の警戒監視も一層警戒すべきだとの意見が強まっている。

空自機のほか海自機、民間航空機などと共用している手狭な那覇基地の実情に
加え、米軍基地が集中する沖縄の基地負担に配慮し、部隊を完全に那覇基地に
移すことは見送り、一定期間、三沢基地から那覇基地に展開する「ローテーシ
ョン」配備にとどめる方針だ。

空自幹部は「三沢基地を拠点に北海道周辺のロシア機への警戒監視も引き続き
必要だ。部隊ごと沖縄へ移すことはしない」と話している。

南西諸島周辺では07年9月、中国軍の中距離爆撃機が東シナ海で日本の防空
識別圏に入って日中中間線付近まで飛行したり、今年3月には同じ東シナ海で
Y8早期警戒機が飛行したりするなど活動が活発だ。09年度に沖縄を拠点と
する空自南西航空混成団の所属戦闘機が緊急発進(スクランブル)した回数は
101回で、過去5年で最も多かった。

「南西諸島の海空域の警戒・監視の充実」は年末までに策定される新たな防衛
計画の大綱でも重要項目の一つとして位置づけられ、首相の私的諮問機関「新
たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書も、離島の周辺海空域
での警戒監視の強化を答申している。

防衛省は8月31日に締め切られた11年度の概算要求の中で、日本近海での
中国軍の活発な活動を念頭に、沖縄県・与那国島などに陸上自衛隊を配備する
ための調査費(3千万円)を計上するなど南西諸島の警戒監視の強化を打ち出
している。

(朝日新聞 2010/10/06)


沖縄本島より尖閣諸島に近いのは宮古諸島ですが、実は、そこに
3000m級滑走路と計器着陸設備を備えた第一級の立派な飛行場があ
ります。それが下地島空港です。下地島は、宮古島の隣にある伊良
部島の西隣に位置し、6本の橋で伊良部島と繋がっており、事実上
伊良部島の一部となっています。

下地島空港は、日本国内唯一のパイロット訓練用の飛行場として設
けられた空港で、現在は国交省の管理下にあります。
近年は、航空会社はパイロット訓練にシミュレータを使う事が多く
費用がかかる実機訓練を行う機会は減少しているので、この空港が
使われる事は少なくなっています。

それもあって地元は、過去、自衛隊を誘致しようとした事もありま
す。隣の宮古島に空自のレーダーサイトがある事もあり、自衛隊へ
の感情は、悪くはなさそうです。

上記の記事では、那覇基地への配備が、今まで以上に地元負担が増
加するので「ローテーション」配備にとどめるとありますが、下地
島であれば、空港の利用度が低下しているだけに、那覇基地の様に
地元負担が問題になる事もありません。

位置的には、沖縄本島から尖閣諸島まで410kmあるのに対し、下地
島からは210kmであり、240kmも近く、基地から進出するのに1時間
近い差が出ます。E-2Cの無給油飛行時間は6時間ですので、 那覇
基地からだと二時間進出、二時間哨戒、二時間帰還というフライト
になりますが、下地島であれば、一時間進出、四時間哨戒、一時間
帰還というフライトが可能になります。

下地島に配備すれば、同じ一回のフライトで哨戒時間では二倍とな
り非常に効率が高い上、恒久配備とする事で、三沢基地との間でロ
ーテーションの必要もないのでE-2Cの本土との定期的な往復も発生
しません。その点でも、機材の効率的な運用が可能となる筈です。

この様に、国が保有する既存設備を有効利用する事は、民主党が目
指す行政の無駄を省く事と全く同じ意味があります。また、防衛省
が次期防で目指す、島嶼防衛の推進の上でも、下地島に自衛隊の航
空基地設置する事により先島諸島全体の防衛を、安価な費用で効率
高く実現する事ができると思われるのです。


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