将来戦略に関する議論
国務委員戴秉国は、2009年7月に、中国の「中心的な利益」を、国家の安全と
国家主権、領土の保全という基本的な仕組みを保護し、安定した経済的、社会
的な発展を継続する事であると定義している。
中国の現在の戦略は、自身の経済発展の助けになることを確実とするために外
部の環境を管理することである。この戦略は、北京の外交政策や安全保障政策
の関係者によって共有されているように見える。しかし、中国がこれらのゴー
ルを達成する方法やそれを近隣国や合衆国との紛争なしに実現する方法につい
て、中国の中の意見の違いが、時折、特に学術的な集まりで表面化する。
ある人は、1990年代初期に元最高指導者の鄧小平によって提供された伝統的な
方針を好む。「静かに観察し、位置を守り、静かに対処し、能力を隠し、時節
を待つ、低姿勢を保ち、リーダーシップを決して要求しない。」
この指示は、鄧小平の中国の外交政策と安全保障戦略についての認識を反映し
たものである。そして、中国が地域や国際的な問題に対処することでより活発
で建設的役割を演じさせようとする人々の注意をそらし、その間に、野心を排
除して国内の発展を促進して中心的な国益を補強しなければならないという鄧
の確信を表したものである。
しかし、別のグループは、中国の国力の成長に伴い、この限定的関与手法は、
もはや適切とは言えないと考えている。このグループは、中国が中国の影響力
を強化し、隣人とより遠い場所にいる列強に対し、中国の台頭が彼らの安全保
障に対して不安定化の脅威をもたらさないことを保証するために地域の国家や
合衆国と活発に協力しなければならないと主張する。
その他の人々は、中国は、その国益を確保し、中国の影響力を束縛しようとす
る合衆国による圧力に抗する為に、他の諸国(例えば台湾、日本、韓国や他の
東南アジア諸国)に対して、より強圧的で断定的に振舞うべきであると信じて
いる。
人民解放軍は伝統的な要請である中国を攻撃から守り、台湾の独立を阻止し、
紛争解決を北京の望む方針で行う様に影響力を行使すること、そして、南シナ
海やその他の場所での領土紛争では中国の主張を防衛すると言う役割を担って
きたが、人民解放軍が、中国の国益を守り発展させる為に、どの様な新しい能
力を発展させるかについて、中国の軍や民間の理論家の間での活発な議論があ
る。幾人かの上級士官や民間の理論家は、人民解放軍の軍事力の展開能力の増
強を主張する。同時に、他のグループは、国際平和維持や人道支援や、災害救
援や海上交通路保護と言った分野の能力をゆっくりと増強する事を主張してい
る。中国の現在の防衛政策と兵力計画に、これらの考慮点がどの様に反映され
ているかは不明である。しかし、これらの考慮点が防衛計画についての中国の
考えに影響を及ぼすであろうことは、ますます明らかになっている。
新しい歴史的任務
中国の指導者は、2004年に軍事部門の基礎的な任務を確立した。公式には、「
新世紀の新段階に於ける軍事部門の歴史的使命」(新世紀新階段我軍歴史使命)
いう表題がつけられている。この新歴史的使命は、主として国際安全保障環境
や国家安全保障の拡張的定義についての中国指導者による評価や調整に焦点が
当てられている。これらの任務は、2007年には、中国共産党憲章の修正として
体系化された。
(Department of Defence 2010/08/16)
Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2010
http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2010_CMPR_Final.pdf
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