※写真上は、朝日新聞サイトから転載
写真下は、china-defense-mashup.comから転載中国空母、全長300メートル 武漢に実物大の模型
中国の内陸部、湖北省武漢市にある中国艦船設計研究センターに、実物大の空
母の模型が造られた。中国初の国産空母の建造に向けた動きだ。
同センターは、中国軍が2015年を目標に進める空母建造の6拠点の一つ。
軍関係者によると、模型の建設は08年末に始まり、全長は約300メートル。
レーダーや電気配線が設置され、実際の運用に備え電波の混信を調べるなどの
テストをしている。甲板部分にはシートで覆われたロシア製戦闘機スホイ33
とヘリコプターの模型が置かれている。
訓練用空母として大連で改修している旧ソ連軍のワリャーク(6万トン級)と
同型で、実際に建造する空母もこれと同じになる可能性が高い。
中国軍は空母建造計画を公表していないが、香港在住の軍事評論家、平可夫氏
は「この模型によって空母建造が完全に裏付けられた」と指摘。ロシアの軍関
係者は「取り付けられたレーダーは本物で、建造が順調に進んでいることを示
している」とみている。
(朝日新聞 2009/11/17)
一見、如何にも空母建造の為の準備を行っていますよと言わんばか
りの様に見える空母実物大模型ですが、空母建造にそれ程役に立つ
のか眉に唾をつけた方が良さそうです。
この様な実物大の模型を作った似たような事例は、中国以外でも見
る事ができます。例えば映画製作用の実物大模型です。尾道に作ら
れた「男達の大和」の実物大セットは、一時、話題に上りました。
それ以外にも「タイタニック」や「トラ・トラ・トラ」用にも実物
大や実物大に近い模型が製作されています。
また、博物館等の用途で実物の船を模して建設されたものがありま
す。晴海にある「船の科学館」がその一例ですが、中国にもニミッ
ツ級空母の略実物大の建造物を博物館にしている例があります。
(実際に使われた戦艦、空母、客船を博物館等の施設に利用したも
ありますが、実物大模型ではありませんので、除きます。)
では、船舶の設計を行う上で、この様な実物大模型を作成する事は
意味があるのでしょうか?
部分的な実物大模型やRCSをチェックする為の縮小模型を作成す
る事はありますが、実物の艦船を建造する為に、ここまで大きな模
型を作った例は、私の知る限りではありません。(勿論、私の知ら
ない例が存在する可能性はあります。)
部分的な実物大模型というのは、艦内機器等の配置を確認する為の
モックアップです。新型艦の場合は一番艦の建造時にモックアップ
を用いて機器配置の適切さの検証が行われています。
また、イージスシステムの実戦配備に先立って、イージス巡洋艦の
上部構造物を模した建造物をNY州近郊に建造し、それにイージス
システムのプロトタイプを設置して、全米でも一番と言われる航空
交通量を利用し、航空機の探知・追跡実験を継続的に実施した事が
あります。
モックアップに共通しているのは、実物大模型でしか出来ない実験
を目的的に製作される事です。実験目的に合わない部分は、通常は
徹底的に簡略化されます。ハリボテと言っても良い位です。
今回の中国の空母実物大模型の最大の疑問は、建設目的が良く判ら
ないという一点に尽きると思われます。
空母用の艦橋に設置する電子機器のモックアップとするならば、飛
行甲板部分は不要ですし、空母艦載機のSTOBALの訓練に使用するの
であれば、ビルの屋上に作るのではなく、地上にスキージャンプ部
分を作れば良いだけです。実際にロシアはそうしています。空母に
設置するエレベータの試験施設としては、格納庫の高さが足りません。
という事で、写真をよく見ると、朝日新聞のサイトから転載した写
真では如何にも実物大模型と言う感じですが、この施設を後方から
写した写真では、実物通りではない事が判ります。つまりこの建物
は、右舷前方からは実物の様に見えますが、艦尾と左舷は、実物と
は違い特に艦尾は実物以上に大きさが取られていると思われるので
す。記事では、「実際の運用に備え電波の混信を調べるなどのテス
トをしている」と書かれています。実際に、そういうテストが行わ
れたのかも知れませんが、実態としては、空母研究センターとして、
諸外国に対するデモンストレーションとして、見栄で空母としての
外観を整えている様に思えてならないのです。
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