※今回問題になったと思われるXK-2用トランスミッション(左)とエンジン(右)
http://www6.atwiki.jp/namacha/pages/23.htmlより転載【社説】最強誇る戦車「黒ヒョウ」に欠陥とは
防衛事業庁は24日、国会に「次世代型戦車『XK2』(通称・黒ヒョウ)の試運
転中、重要部品に深刻な問題が発生し、来年予定されていた量産体制に入るこ
とができないため、来年度予算の審議を中断してほしい」と要請した。エンジ
ンとトランスミッションを結合したパワーパックと呼ばれる部分のベアリング
がひどく摩耗し、火災が発生したという。当局は2003年から黒ヒョウの開発を
始め、昨年からは700億ウォン(現在のレートで約54億円、以下同)を投入し、
従来はドイツの製品を使っていたパワーパックを韓国製で代替する作業を行っ
てきた。
これまで国防当局は、黒ヒョウについて、「ヘリコプターを攻撃できるほか、
主砲の砲弾は敵の戦車の装甲を十分に貫通でき、先端装備によってミサイルも
回避できる世界最強の戦車だ」と誇ってきた。戦車のエンジンは、人間の心臓
のように重要な部分だ。
黒ヒョウの重要部品の欠陥がはっきりしたことに伴い、来年度882億ウォン(約
67億5000万円)を投入して量産体制を整え、2011年に300両を実戦配備、さらに
トルコなどへ輸出するという計画も頓挫することになった。既に結ばれたトル
コとの輸出契約にはパワーパックが含まれておらず、契約の履行には問題はな
いというが、韓国の技術の体面を大きく損なった。そのほかの国との輸出交渉
にも影響するかもしれない。
先端兵器の開発は常に失敗の危険をはらんでおり、思わぬ問題にぶつかること
もあり得る。問題は、当局が問題を隠そうとしたところにある。黒ヒョウのパ
ワーパックは、今年7月にもベアリングに欠陥が見つかり、4カ月かけて改修し
たエンジンを今月15日にテストしたところ、またも欠陥が発生したという。今
月18日に開かれた国会国防委員会で、ある議員が「黒ヒョウのエンジンで火災
が発生したというが、深刻なのか」と尋ねると、防衛事業庁は「煙は出たが、
特に問題はない」と答えた。来年度の黒ヒョウ関連予算は、20日に予算小委、
23日に国防委を通過したが、防衛事業庁は24日になって初めて欠陥の事実を認
めた。予算案の通過のため事実を隠してきた、という非難は免れない。
当局は今からでも、黒ヒョウ開発のどの過程で何が起こったのか、真相を明ら
かにしなければならない。
(朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2009/11/26)
技術発展の進歩が著しい韓国重工業ですが、やはり初物の国産製品
になると初期故障が、発生してしまいます。しかも、それが世界的
にも最先端の性能を持つものであれば、それまでの技術開発の蓄積
がないのですから、故障を生じるのも当然であると言えます。
韓国国産技術の精華と宣伝された花形兵器にも、その様な事例が多
数存在します。以下の様なものです。
「国産対空ミサイル「天馬」は納入の前から全面改良中、携帯対空
ミサイル「神弓」は夜間作戦が不可能、国産対空砲「飛虎」の命中
率は旧型エリコン砲にも大きく劣る、などの指摘が国会で提起され
た。昨年(2005年)には、10年以上かけて開発された長魚雷「白鮫」
と短魚雷「青鮫」に、実戦配備後に深刻な欠陥が発見され、海軍が
開発企業に損害賠償を要求したこともあった。」(韓国日報 2006/10/26)
「金議員は「海軍艦艇は進水後、普通1年ほど後に海軍に渡されて、
戦力化過程(通常1年)を経ることが分かっている。ところが、独島
艦の場合、2年かかって2007年7月に海軍に引き渡された」と指摘
した後「独島艦には3種類の高性能レーダーがあるが、このレーダ
ーが作動すればレーダーのビームが甲板に反射してレーダーモニタ
ーに反射標的(虚偽標的:ゴースト)が発生する致命的欠陥が試験評
価過程で発見された」と明らかにした。」(ニュースプライム 2008/10/14)
「海軍が誇る最新鋭高速艦「尹永夏」に実戦配備後も2ヶ月間に95
件もの欠陥が追加で発見され、再び修理を受けました。ウォーター
ジェットエンジンのタービン翼と冷却装置が腐食し、ディーゼルエ
ンジンからは潤滑油と燃料油が漏れました。また、磁気羅針盤は20
度以上の誤差が出たほか、艦内通信システムは交信が不可能なほど
でした。」(SBSニュース 2009/11/13)
今回、発覚したXK-2戦車のパワーパックに係わる問題も、正に
そうした性格と内容を持つものです。
パワーパックは記事にもある通り、エンジンとトランスミッション
が、一体になったもので、戦車の後部にパッケージとして搭載され
ます。そうする事で、パッケージを簡単、且つ迅速に交換でき、整
備性、保守性が飛躍的に向上しました。世界的にも第三世代戦車以
降は、殆どの戦車がこのコンセプトを採用しています。
韓国でも、K-1戦車では、ドイツ製のパワーパックを使用してお
り、独MTU社製のMB871Ka-501 4ストロークV型8気筒液冷ディーゼル
・エンジン(1,200hp)と、変速機は同じく独ZF社製LSG3000が搭載
されています。
今回のXK-2では、試作車には出力1,500hpの独MTU社製MB-883
12気筒1,500hpディーゼル・エンジン(UAE仕様のトロピカル・ルク
レールと同じエンジン)とレンク社製自動トランスミッションが搭
載されましたが、量産型には斗山インフラコア社(旧大宇総合機械)
がライセンス生産したMB-883エンジンとS&T大宇社(旧大宇精密工業)
製の電子制御式トランスミッションが搭載される事になっています。
MB883は、ルクレール戦車で実績があるエンジンであり、量産用も、
ライセンス生産品ですから、今回問題が発生したのは、S&T大宇社
製の電子制御式トランスミッションであろうと思われます。このト
ランスミッションは「このクラスとしては世界で初めて前進6段、
後進3段の自動変速を可能にした」とされていますが、先進的であ
るだけに、開発リスクも大きかったものと思われます。上記の報道
では、ベアリングに欠陥が見つかったとありますが、単体のベアリ
ングに問題があれば、それを取り替えれば済む話です。予算執行に
影響のある様な大きな問題があるとすれば、ベアリングを想定以上
に摩滅する様な強度設計の誤りが発見されたと考えるのが自然であ
ると思われ、もし、そうであれば、設計の欠陥の解析と、問題の解
決にはかなりの時間を要するものと思われます。
欠陥が発生するのは問題です。しかし、技術発展途上国である韓国
がその製品をものにできるかどうかは、正にその問題点を自力で解
決する事を通じて、兵器と言う特殊な工業製品を確実に仕上げる為
のノウハウが入手できるにかかっているのではないかと考える次第
です。
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