金星探査機は「あかつき」=搭載メッセージを公募-宇宙機構
2010年度にH2Aロケットで打ち上げ予定の金星探査機「プラネットC」について、
宇宙航空研究開発機構は23日、「あかつき」と命名したと発表した。また、あ
かつきに搭載するプレートに書き込むメッセージの一般公募を始めた。
あかつきは日本初の金星探査機で、打ち上げから約半年かけて金星周回軌道に
到達。460度という高温で、濃い二酸化炭素と硫酸の雲に覆われた金星大気の
謎を調べる。
宇宙機構は、金星探査機の開発に携わるプロジェクトチーム内で、名称を検討。
「明けの明星」として金星が輝く時間帯を示す「あかつき(暁)」がふさわし
いと判断した。
メッセージはあかつきに搭載するアルミプレートに微細な文字で刻印される予
定で、23日から宇宙宙機構のホームページ(http://www.jaxa.jp/event/akatsuki/index_j.html)
で受け付ける。
(時事通信 2009/10/23)
今回、愛称が「あかつき」に決まった金星探査機PLANET-Cは、ISAS
(宇宙開発研究所。現宇宙開発研究本部)の正当な惑星探査機の系譜
を受け継いだ最新の惑星探査機です。
ちなみに、PLANET-Aは、ハレー彗星探査機「すいせい」であり、
PLANET-Bは、苦難の運命を辿った火星探査機「のぞみ」のコードネー
ムでした。なお、小惑星イトカワの探査に成功した小惑星探査機
「はやぶさ」は、MUSES-Cという工学実験探査機としてのコードが付
いています。
ちなみに、「のぞみ」「はやぶさ」「あかつき」は、打上げ時重量が
約500kgと略同じ大きさです。
ISASの衛星ですから、「あかつき」も計画時にはM-Vでの打上げを予
定していましたが、M-Vの退役により、H-IIAでの打上げに変更され
ました。その為、打上げ重量に余裕が出た為、「あかつき」の打上げ
時には、小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSや複数のピギーパ
ック衛星が同時に打ち上げられる事になっています。
金星は地球の双子惑星と呼ばれ、地球に一番近い惑星であり、大き
さも略同じですが、厚い雲に覆われ、容易にその素顔が明らかにな
りませんでした。1960年代以降、ソ連と米国の探査機により、二酸
化炭素による究極の温暖化が進行した世界である事が判ってきました。
ちなみに金星大気は、96%が二酸化炭素からなっています。
今回愛称が決まった「あかつき」は、主として、金星の雲の様子を解
析する事を目標に五種類のタイプのカメラで、金星の雲の高度の違
いによる動きの違いを三次元的に同時解析する事を目指しており、
金星の風の動きに同期をとった金星周回軌道に投入される事になっ
ています。
なお、現在、金星には、ESA(欧州宇宙機関)が打ち上げたVenus
Expressが周回軌道上で金星の観測を継続していますが、こちらは
主として金星大気の化学的分析を主要なミッションとしており、
これに「あかつき」の金星大気の気候的分析が加わる事で、金星大気
の一層の立体的な分析が可能になると期待されています。
なお、「あかつき」は来年夏に打上げが予定されています。
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