2009年9月29日火曜日

Korea hurry to develop bigger Rocket. 本格打上げロケットKSLV-IIの開発を急ぐ韓国


※写真は、聨合ニュースより転載

韓国型ロケット開発、2017年目標に来年本格着手

韓国航空宇宙研究院は29日、1.5トン級の実用衛星を搭載し打ち上げる韓
国型ロケット(KSLV-II)の開発に向けた予算が初めて、来年度教育科
学技術部予算案に盛り込まれたと明らかにした。
これでロシアと共同開発した韓国初の人工衛星搭載ロケット「羅老(ナロ)号」
(KSLV-I)に続き、純国産技術で製作する韓国型ロケットの開発事業が
本軌道に乗ることになる。李柱鎮(イ・ジュジン)院長は、「純粋な国産技術
による宇宙ロケットの開発は国力と総体的な科学技術力を象徴する。国の位置
付けと信頼度を向上させ、国民の誇りを高めるものと期待している」と述べた。

研究院は、1.5トン級実用衛星を高度600~800キロメートルの太陽同
期軌道に乗せる韓国型ロケットの開発と打ち上げ事業を、来年から2019年
にかけ進める計画だ。総事業予算は1兆5449億ウォン(約1200億円)
で、事業の主な内容は、ロケットのシステム設計、製作、試験をはじめ▼高推
進力の液体エンジン開発▼ロケット試験および打ち上げ関連施設・装備の開発
と構築▼ロケットの体系整備と運用能力の確保▼ロケットの飛行試験と実用衛
星打ち上げ――など。

事業の中核となる韓国型ロケットの自力開発目標は2017年。この年までに
大型液体推進機関と構造軽量化技術を確保し、ロケット開発に必要な基盤施設
の構築を済ませる必要がある。発射台システムの変更と実用化計画も同年まで
に進める。

全長約50メートル、直径約3メートルの韓国型ロケットは、2段階構造の羅
老号とは異なる3段階構造で、羅老号の完結版ともいえる。

安保・戦略面では、衛星の自力打ち上げ能力を確保することで、国の宇宙開発
計画を安定的・独自的に遂行し、ロケット技術の自主権確立に寄与すると期待
される。また、技術・産業的にも、先端技術と伝統技術の複合体である宇宙ロ
ケット開発技術の確保により、国内関連産業への技術波及効果向上が予想され
る。国際・外交的には、国の経済規模にふさわしい水準の宇宙開発参加、国際
的地位の強化に向けた適正宇宙技術の保有で、韓国の宇宙開発力を国際的に認
められるとともに、国際共同研究開発事業への参加機会が拡大されるものと見
込まれる。

(聨合ニュース 2009/9/29)


羅老号(KSLV-I)による100kg級の科学衛星の打上げに失敗し
た韓国ですが、引き続き、ロシアからの協力を得ながら、本格的な
打上げ用ロケットであるKSLV-IIの開発を予定通り実施する
計画であるようです。

「韓国型」とか、「純国産技術」とかと言った言葉があるので、ロ
シアからの技術導入を止めて、従来計画と全く異なる、別のロケッ
トを開発する事を意図しているのではと言う意見もあろうかと思い
ますが、残念ながら、一からこの規模のロケットを開発をするには、
時間が少なすぎます。

今年から10年で1.5トンの実用衛星を打ち上げるのであれば、羅老
号ではキックモータのレベルに留まった二段目のエンジンを開発す
るのが精一杯という処です。韓国には、この規模のエンジンの実験
場もありませんから、これも建造する必要があります。

二段目用のエンジンと言っても馬鹿にはできません。羅老号では長
さ2.4m、直径1mであったのに対し、KSLV-II用の二段目は長
さが15m程度、直径3mになり、推力も300kNと日本の二段目用エンジ
ンLE-5Bの2倍の推力を発生させる液体燃料エンジンの開発が予定さ
れているようです。一段目にはエンジンをRD151からRD191へ改良し
たアンガラロケット用のCRMが羅老号と同様に使われると思われ
ます。日本のLE-5も当初H-I用に開発された際には、開発完了まで
10年を要していますので韓国が同程度の時間を要してもおかしくは
ありません。

ロシアのアンガラロケットは2010年からは自国内での本格的な打上
げが予定されていますので、KSLV-II用には十分枯れたCRM
が提供されると思われますが、羅老号がフェアリングで失敗した様
に部品点数が飛行機より一桁多く、且つ、信頼性を維持しつつ軽量
化目標も達成しなければならないロケット開発は、多難が予想され
ます。また、KSLV-Iの方もあと一回の打上げが予定されてい
ますが、一号機の失敗を受けた追加発射も行う必要が出てきます。
また、射場運用に8年近い空白を作る事も考え難いので、KARI
(韓国航空宇宙研究院)は、羅老号やKSLV-IIの構成要素の検
証用に更なる追加打上げを行う可能性もありえます。

実際の所、射場にも制約がある韓国が1200億円の巨費を投じて今更
の様に、このレベルの衛星打上げロケットの開発を行う事は、経済
合理性を考えると不要とも思えます
。韓国がこれから開発する液体
燃料エンジンはミサイルへの転用には不適ですし、打上げロケット
であればロシアを始めインド、ブラジル、米国とこのクラスの開発
は目白押しで、韓国が採算の取れる市場シェアが取れるという見方
をする人は多くないからです。それよりも寧ろ輸出実績もある衛星
の製作、製造にリソースを投入するのが賢明とも思えるのです。

それでも、韓国がロケット開発を行うのであれば、本当の純国産技
術を身につける為には、いずれ経験しなければならないビッグプロ
ジェクトと考えるべきなのかも知れません。


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