国連安全保障理事会は25日午後(日本時間26日早朝)、緊急会合を開催し、北
朝鮮の核実験は核兵器開発の放棄を定めた既存の安保理決議違反だと断じ、
「強い反対と非難」を表明する議長談話を出した。安保理各国は、新たな対北
決議採択を目指して協議を始める方針でも一致、日本は米国などと協力して26
日までに追加制裁措置を盛り込んだ決議案を起草、配布する予定だ。
談話は報道機関向け声明よりさらに弱く、議長が各国の総意を口頭で総括した
非公式なものだ。ただ、高須幸雄国連大使は会合後、「毅然(きぜん)とした
反応を決議で示す必要があるということに関しては誰も異存がない」と指摘。
中ロも新決議採択に同意したことが明確になった。
内容に関しては、フランスの国連次席大使が「決議案には新たな制裁が含まれ
るべきだ」と強調。ライス米国連大使も「強力で適切な内容を備えた強い決議」
を目指すと語った。日米欧は新たな制裁決議を目指す方針で一致している。
(時事通信 2009/5/26)
昨日は、今回の核実験の、日本への影響をそれ程大きいものではな
いと述べました。日本は既に中国やロシアと言った核大国に囲まれ
ており、長くその核ミサイルの標的にされています。それに北朝鮮
の核ミサイルが数個加わった処で脅威がそれ程、増加する訳でもな
いからです。また、北朝鮮のミサイルは米国に届かない事から、米
国の都市が北朝鮮のミサイルの人質になる事も無い為、米国の核の
傘の有効性に問題は生じていないと考えるからです。
逆に、北朝鮮がミサイルの射程伸延に熱心なのは、米本土を射程に
収める事で、米国の諸都市を核ミサイルの人質にし、米国の核の傘
を綻びさせる事で、日本を恫喝し、経済援助を取り易くする為と解
釈できます。
その一方で、今回の核実験は、NPTを批准する事で、IAEAの
核情報にアクセスし、それを核開発に生かした上で、NPTから脱
退するという掟破りの北朝鮮に対して、安保理や核大国が軍事制裁
を決定できないという無力さを示しています。これによりカーン博
士の核の裏ネットワークのもう一方のメンバーであるイランは核開
発を加速させる事は間違いありません。
もし、このままずるずると現状を放置する事を許せば、北朝鮮を、
結果としてインドの様な事実上の「核保有国」扱いする事になり、
NPT加盟の途上国に核開発への誘因を与える事になってしまいま
す。恐らくは北朝鮮に続き、イランにもその地位を許す事になる可
能性は高いと言えます。中東には、北朝鮮以上の資金を核開発に投
入可能な国はいくつもあります。そして、それに加え、それらの国
を通じてテロリストへ核兵器が拡散する可能性すら生じせしめたと
考えるべきではないかと考えます。そして、200発の核弾頭を保有
するイスラエルと「イスラムの核」との間で、本格的な核戦争が惹
起する可能性すら出てくるのです。
つまり、現在の危機に直面する事を避け、北朝鮮との対立を回避す
る事で、NPTへのルール違反を行った北朝鮮に制裁を加えない事
で、核拡散のパンドラの箱が開く事になり、結果として偶発的な核
戦争の危険が高まる事で世界は一層不安定で脆弱になる事になるの
です。
これを防ぐ為には、何らかの形で、核開発を推進する北朝鮮の現政
権を倒すしかありません。日米韓露中のいずれの国も本音では、北
朝鮮の崩壊とそれによる難民の発生と自国への流入を望んでいませ
ん。核の放棄を確実に行うのであれば、朝鮮労働党政権であってす
ら良いと思います。(日本の場合は拉致問題の解決も必須ですが。)
その為には、同盟国、宗主国として北朝鮮内に太いチャネルを持つ
中国が北朝鮮の現政権に引導を渡すのが義務であろうと考えるのです。
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