※Reutersのサイトから転載
A400Mレスキュー会議の進捗について
エアバス社の親会社であるEADS社とヨーロッパ各国政府は遅延している軍用機
の製造を元に戻すため、A400M技術仕様を定めることで「前進」を果たしたと、
会談に詳しい消息通は語った。
技術的要求を単純化するのは、その遅延がドイツと英国を怒らせ、EADS社と
NATO加盟欧州7ヶ国政府との間で行われている欧州最大の軍事プロジェクトを
救出する会議での三つの主要な障害の内の一つを解決する事になる。
他の主要な論点は、1億ユーロ(8,960万ポンド)と推定されるA400Mの機体価
格と新しい引渡しスケジュールへの同意の取り付けである。
「技術的性能を定める上では良い進歩があった」と、関係者の一人は率直に語
っている。
A400Mは軍隊と大型装備をアフガニスタンのような不整地に輸送する為に設計
された機体だが、2003年に欧州七ヶ国政府から総費用200億ユーロでの発注を
受け開発がスタートした。
機体は2009年から引渡しが開始される予定になっていたが、まだその処女飛行
も行われていない状態にある。開発は主としてエンジン問題によって遅延して
いる。しかし、製造メーカーは、国毎にカスタマイズされた要求(例えば防御
機能や航法援助機能)についても問題視している。
例えば、ドイツは、60機のA400Mの導入を予定しているが、攻撃を避ける為、
地形にそって飛行する匍匐飛行機能を要求している。
業界筋によると、EADS社は開発上のリスクを減らすために第一段階では機体の
基本的なバージョンを生産したいという意向を持っており、それが軌道に乗っ
た後で、より複雑な機能を加えたいとしている。
契約上の遅延条項を適用させることで、購入政府は4月1日にプロジェクトを
キャンセルし、EADS社に前渡し開発費用57億ユーロを払い戻すよう命令するこ
とができた。しかし、彼らは緊急会談で7月までの支払い猶予を宣言した。
EADS社は、初飛行から3年後に最初のA400Mを引き渡すと述べたが、その具体
的な期日については、重要なエンジンソフトウェアの準備状況によると語った。
遅延に対しキャンセルする事も辞さないとしている英国やフランスのような買
い手は、可能なかぎり早く彼らの発注した機体を入手し、世界的な活動の支援
や、老朽化した輸送機隊の更新を一日も早く行う事を希望している。
スペイン、ベルギー、ルクセンブルク、トルコと言った他のヨーロッパの買い
手国と南アフリカとマレーシアは、輸出仕様のものを購入するのに同意してお
り、現在の契約交渉での役割は特にない。
EADS社は、この何ヵ月にも及ぶ否定的な広報を終え、6月中旬のパリ・エアシ
ョーでプロジェクトの再開を発表する事に熱心になっている様に見える。
(Reuters 2009/5/11)
昨日は、787の進捗について取り上げましたが、今日は同じく泥沼
状態となっているA400Mの開発について取り上げます。
A400Mについては、新開発のプロップ・ファン・エンジンTP400の開
発が難航しており、当初予定通りの出力を得る事が出来ないのが最
大の問題です。最近のエンジンはFADEC(Full Authority Digital
Engine Control)という全自動デジタルエンジンコントロール機能
が搭載されています。エンジン出力が目標通りにいかないのは、こ
のエンジン制御コンピュータの問題でもあるのです。その為、上記
の記事でも、引渡しは、このエンジン管理ソフトの引渡し日によっ
て左右されると書かれている訳です。
これに加えて、新機種開発での古くて新しい問題である機体の重量
過大という問題があります。これは787でも全く同じ現象が生じて
います。
このエンジン出力不足と機体重量過大により、他の問題、ペイロー
ド過少、航続距離過少と言った問題が複合的に発生する事になって
きます。新規開発の機体には既存エンジンまたはその改良型を使う
のが鉄則なのですが、A400Mについては、新規開発のエンジン、機
体の両方で問題が出た事になります。(この点で、XP-1哨戒機の開
発でエンジン、機体両方に問題が出ていない事は、奇跡の様な事と
いう思いを強くします。)
今回のレスキュー会議で技術的な要求仕様について合意が取れたと
書かれているのは、実際には、エンジン出力不足と機体重量過大を
認めて性能要求の切り下げが承認されたという事と解釈できます。
合意された性能は、現状とそうかけ離れたものではなかったでしょ
うから、その点で、A400Mの量産には目処がついたと言えるかも知
れません。
後は、価格と納期についての合意が得られればEADS社=エアバス社
は、パリ・エアショーで大きな顔が出来る事になります。
それでも、計画から比べれば3年から4年の遅延になります。
これに比べればC-Xの2年の開発遅延もかわいく見えますね。
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