2009年1月8日木曜日

「新発見の領有否認法令は、日本にとって痛恨の一撃」 ではない。




※SCAP(Supreme Commander for the Allied Powers)の担当範囲を示す
地図。担当範囲を機械的に線引きしているのが良く判る。

「1951年の独島除外法令」、日本が「領土とは無関係」と主張 

日本政府は、1951年に日本が独島を自国の付属島嶼から除外した法令を
公布した事実に関連して7日、「日本の法令、すなわち行政権が適用さ
れる地域の定義から、竹島(独島の日本名)を除外したものであり、領
土の範囲を決めたものではない」と主張した。 

このような公式立場は、朝鮮日報が2件の法令の発掘事実を初報道して
から6日ぶり、両法令に対する日本政府の立場を要請してから3日ぶり
に出たものだ。 

日本外務省の赤松武(あかまつ・たけし)国際報道官は7日、朝鮮日報の
電話取材に対して、「1951年の2件の法令は、(独島を日本領土に含め
た)1949年の関連法令を、当時日本を占領していた連合国軍最高司令部
(GHQ)の指令(SCAPIN)677号の規定に基づいて改正したものだ。行政権の
範囲と領土の範囲は必ずしも一致しないことがある」と述べた。1946年
に公布されたSCAPIN677号は、独島を日本の行政権行使区域から除くと
規定している。赤松報道官はまた、「SCAPIN 677号には、『この指令中
のいかなる規定も、領土に関する連合国の最終的政策を示すものと解釈
されてはならない』という内容がある」と述べた。 

しかし梨花女子大学の慎鏞廈(シン・ヨンハ)碩座教授(独島学会会長)は、
「GHQがSCAPIN677号で独島を日本領土から分離したのは、数ヶ月の調査
のすえ独島を鬱陵島の付属島嶼と判断した結果だ」と述べた。SCAPIN677
号はその中で「日本の定義(the definition of Japan)」という表現を用
いており、「日本の行政(Japanese administration)」ではなく「日本
(Japan)」としたのは領土に関する規定だからであって、1951年の両法令
は日本政府もこれを守ったという証拠だ、ということだ。 

慎教授は、「『領土に関する最終的政策を示すものと解釈されてはなら
ない』という規定は、『当該内容を修正できる』ということであり、こ
うした場合には必ず他の番号のSCAPINの明文を通じて修正せねばならな
いが、1952年のGHQの解体時までこれを覆したことが無い」と語った。

(朝鮮日報 2008/1/8)

韓国が大喜びで報道している日本側の法令ですが、外務省の言う通
りだと言う事は簡単に判ります。

まず、
「朝鮮総督府交通局共済組合の本邦内にある財産の整理に関する
政令の施行に関する総理府令
(昭和二十六年六月六日総理府令第二十四号)」

全文は以下を参照して下さい。秘密でもなんでもなく公開されてい
る文書ですので簡単に参照できます。

問題の箇所ですが、

「第二条 令第十四条の規定に基き、政令第二百九十一号第二条第一項
第二号の規定を準用する場合においては、附属の島しよとは、左に掲げ
る島しよ以外の島しよをいう。
一  千島列島、歯舞群島(水晶、勇留、秋勇留、志発及び多楽島を含む。)
  及び色丹島
二  小笠原諸島及び硫黄列島
三  鬱陵島、竹の島及び済州島
四  北緯三十度以南の南西諸島(琉球列島を除く。)
五  大東諸島、沖の鳥島、南鳥島及び中の鳥島」

となっており、その後、日本に返還された、小笠原諸島及び硫黄列
島及び南西諸島、大東諸島、沖の鳥島、南鳥島及び中の鳥島が含ま
れており、更に、北方領土についてもロシアとの間で領土問題とし
て係争関係にあります。韓国側の主張によれば、この法令で日本領
から除外されていれば、日本側は領土権を放棄している事になるそ
うですが、事実として、現在は日本領となっていたり、ロシアとの
間で係争状態を維持している訳ですから、韓国の主張には全く根拠
はありません。

記事中にある梨花女子大学の慎教授の説も同様です。こんな事言っ
たり書いたりしていると世界に通用しないOINKな議論と言われ
る事になります。
ちなみにSCAPIN677の本文は外務省のサイトで参照できます。短い
文書ですので、全文引用しておきます。占領行政上での日本の領域
を定義したという以外の意味はありません。

連合軍最高司令部訓令(SCAPIN)第677号

1946年1月29日

1 日本国外の総ての地域に対し、又その地域にある政府役人、雇傭員そ
 の他総ての者に対して、政治上又は行政上の権力を行使すること、及、
 行使しようと企てることは総て停止するよう日本帝国政府に指令する。
2 日本帝国政府は、巳に認可されている船舶の運航、通信、気象関係の
 常軌の作業を除き、当司令部から認可のない限り、日本帝国外の政府の
 役人、雇傭人其の他総ての者との間に目的の如何を問わず、通信を行う
 ことは出来ない。
3 この指令の目的から日本と言ふ場合は次の定義による。
 日本の範囲に含まれる地域として
 日本の四主要島嶼(北海道、本州、四国、九州)と、対馬諸島、北緯30
 度以北の琉球(南西)諸島(口之島を除く)を含む約1千の隣接小島嶼
 日本の範囲から除かれる地域として
 (a)欝陵島、竹島、済州島。(b)北緯30度以南の琉球(南西)列島(口之
 島を含む)、伊豆、南方、小笠原、硫黄群島、及び大東群島、沖ノ鳥島、
 南鳥島、中ノ鳥島を含むその他の外廓太平洋全諸島。(c)千島列島、歯
 舞群島(水晶、勇留、秋勇留、志発、多楽島を含む)、色丹島.。
4 更に、日本帝国政府の政治上行政上の管轄権から特に除外せられる地
 域は次の通りである。
 (a)1914年の世界大戦以来、日本が委任統治その他の方法で、奪取又は占
 領した全太平洋諸島。(b)満洲、台湾、澎湖列島。(c)朝鮮及び(d)樺太。
5 この指令にある日本の定義は、特に指定する場合以外、今後当司令部
 から発せられるすべての指令、覚書又は命令に適用せられる。
6 この指令中の条項は何れも、ポツダム宣言の第8条にある小島嶼の最終
 的決定に関する連合国側の政策を示すものと解釈してはならない。
7 日本帝国政府は、日本国内の政府機関にして、この指令の定義による
 日本国外の地域に関する機能を有する総てのものの報告を調整して当指
 令部に提出することを要する。この報告は関係各機関の機能、組織及職
 員の状態を含まなくてはならない。
8 右第7項に述べられた機関に関する報告は、総てこれを保持し何時でも
 当司令部の検閲を受けられるようにしておくことを要する。



0 件のコメント: