空母建造「真剣に研究」中国が初めて確認
【北京=野口東秀】中国国防省の黄雪平報道官は23日、記者会見し、国産航
空母艦の建造について「空母は国家の総合力の体現であり、海軍の具体的な要
求」と表明、空母建造を検討していることを、軍当局者として公の場で初めて
確認した。中国軍事筋によると、中国軍はテスト艦載機の発注など空母建造の
準備にすでに着手している。空母を保有すれば、中国脅威論が高まるのは必至
だが、中国は米国を牽制(けんせい)できる海軍力の確保を目指している。
黄報道官は空母建造について「中国政府は各方面の要素を総合し、関係する問
題について真剣に研究、考慮している」と述べた。また、「中国には広い沿海
部がある。領海主権と沿海部の権益を守ることは中国軍の神聖な職責だ」と、
国際社会の懸念に左右されずに建造することを強調した。
今回の発言は、空母建造をめぐり国際社会の反応を探る狙いと正当性を強調す
る意味があるとみられる。
中国の空母については、カナダの軍事研究機関が衛星写真の分析から上海で建
造される可能性が高いと伝え、キーティング米太平洋軍司令官は18日、中国
が建造を「真剣に検討している」と指摘していた。
中国が空母保有を目指す背景には、太平洋を米国と二分した形で“支配”する
という狙いがある。東シナ海から南シナ海、さらにはインド洋などでの影響力
を高める目的もあるとみられる。中国軍内では「経済力に見合った国防力が必
要であり、その象徴は空母」との主張が支持を得ている。
(産経新聞 2008/12/23)
記事にもある通り、中国は空母の建造を真剣に検討している様です。
それでは、中国が米国と対抗して、空母機動部隊を建設し、西太平
洋をその勢力下に置こうとした場合、どの程度のお金が必要になる
のか考えてみましょう。
別に特別の知識や情報がある訳でもありませんので、超アバウトな
ものになってしまうでしょうが、まあ、年の瀬のお遊びと言う事で
ご勘弁下さい。
まず、空母の所要隻数です。中国には、北海艦隊、東海艦隊、南海
艦隊の三個艦隊があります。
この各艦隊に、空母を一隻づつ配備すると仮定すると三隻が所要隻
数となります。
通常、艦船一隻を任務につけて置く為には、三隻が必要となると言
います。一隻が任務についており、一隻は任務地への往復の最中、
もう一隻は、整備休養中という訳です。こういう点からも、三隻と
いう数は、居心地の良い数字です。長い期間は無理ですが、有事の
際には、三隻全部を同時に、洋上に展開する事も出来ます。
と言う訳で、中国が見得の為に、空母を一隻だけ整備するのではな
く軍事的に意味のあるものとする為には、最低でも空母三隻を整備
する必要があると言う事になります。
では、空母を三隻だけ整備すれば良いかと言うとそうではありませ
ん。通常、空母は一隻だけで活動するのではなく、数隻の駆逐艦で
護衛する必要があります。米海軍の空母打撃群では、6~8隻のイ
ージス巡洋艦やイージス駆逐艦が護衛につきます。米軍の場合は、
水上部隊だけではなく、攻撃型原潜も2隻、空母の護衛についてい
るようです。
米海軍の場合は、水上護衛艦全てがイージス艦ですが、中国の場合は
対空駆逐艦と汎用駆逐艦の組み合わせになると思われます。隻数は
各々2隻、4~6隻という処です。仮に、空母護衛用に護衛艦の内
半数を新造するとします。すると一隻の空母に対し、イージス駆逐
艦1隻、汎用駆逐艦が2隻が新造される事になります。また、攻撃
型原潜は保有隻数は少ないので、全て新造する事にします。
中国が空母以外に建造する必要のある艦船は、イージス駆逐艦が3
隻、汎用駆逐艦が6隻、原子力潜水艦が6隻と言う事になります。
本当は艦隊補給艦も必要ですが、ここでは数えない事にします。
空母には、勿論、艦載機を積まなければなりません。空母一隻辺り
60機程度を搭載するとします。本当は、中国がどの種類の艦載機
の組み合わせにするか考えないといけないのですが、ここでは話を
簡単にする為に、Su-33のみで構成するものとします。60機が三隻
分で、180機が必要となります。(予備航空隊を準備しておくとすれ
ば、あと60機ほしい所ですね。)
取敢えずのお買い物はここまでですが、艦船を買っただけではいけ
ません。艦隊を運用したり保守したりする費用が必要です。
大体新造費用の一割程度は毎年かかります。
では、全部で幾らかかるでしょうか。
米軍の空母は一隻、4000億円と言いますが、中国製なので半分の
2,000億円とします。三隻で、6000億円が必要になります。
イージス駆逐艦も、米軍の半分と見て、500億円。三隻で1,500億円。
汎用駆逐艦は一隻250億円で、6隻で1,500億円。
攻撃型原潜は一隻500億円で、6隻で3,000億円。
空母艦載機は、一機30億円として、180機で5,400億円。
空母と護衛艦と艦載機の合計は〆て、17,400億円となります。
運用経費は、毎年、2,000億円程度でしょうか。
2003年度の中国の国家予算は、歳入は1.9兆元、歳出が2.2兆元。
日本円に直すと歳入は25兆円、歳出は29兆円となります。
空母機動部隊建設の歳出に占める割合は、5%程度、運用経費は、
0.6%程度になります。
まあ、三個機動部隊という最少構成ですが、現在の中国であれば、
無理なく支出できる範囲に入るのではないかと思います。
過去20年に亘る中国の経済発展の大きさをひしひしと感じる試算に
なった様に思います。
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