北朝鮮、韓国に対話姿勢 デノミ失敗・制裁で食糧不足
韓国と北朝鮮は2日、開城工業団地の通信、通行、通関の「3通問題」につい
て団地内で実務協議をした。韓国政府は北朝鮮が対話を求める背景に、デノミ
ネーション(通貨呼称単位の変更)失敗や国連制裁などによる深刻な経済難が
あると判断。安易な支援には応じない方針だ。
軍が「3通問題」を所管する北朝鮮は当初、軍事実務協議を求めたが、会談場
所は工業団地を指定した。軍事協議は板門店で開くのが慣例。韓国政府関係者
は「工業団地の話だけをしたいという意思表示だ。それだけ経済が厳しい」と
語る。
韓国政府は、昨年の北朝鮮の食糧生産量を約411万トンと推計し、今年の不
足量を約130万トンとみている。同政府関係者などによれば、北朝鮮が海外
から確保した食糧は約30万トンに過ぎず、その半分を中国に頼っている。
昨年、北朝鮮が韓国に南北首脳会談を持ちかけた際、「コメ50万トン、肥料
40万トン」を求める場面もあったという。
さらにデノミが失敗して経済が混乱。北朝鮮は2月から外貨の使用を部分的に
認めたが、デノミ前と比べてコメ価格は20~30倍に上昇、北朝鮮通貨の対
ドルレートは10分の1以下に下落している。
北朝鮮は1月20日、国家開発銀行の設立を決めた。2日付の在日本朝鮮人総
連合会(朝鮮総連)機関紙・朝鮮新報(電子版)によれば、同銀行への出資を
誘致する朝鮮大豊国際投資グループ副理事長は、当初の資本金を100億ドル
(約8900億円)とし、今後10年間で鉄道や道路などの経済基盤を整備する
考えを表明。制裁とは無関係との立場を強調した。
だが、韓国政府は実現可能性が低いと分析すると同時に、北朝鮮が「制裁逃れ」
に躍起になっているとみており、北朝鮮が望む金剛山と開城の両観光事業再開
問題には慎重に対応する構えだ。
また、北朝鮮は2日の協議で、抑留中とする韓国人4人の処遇について「調査
に時間がかかる。最終確認後、正式に通知する」と伝えた。
(朝日新聞 2009/03/03)
一時は、餓死者の発生も報じられていた北朝鮮ですが、中国からの
援助も入り、一息ついた様に見えます。但し、政治的には、大混乱
を来し、金正日まで間接的にではありましたが「国民に食を確保で
きなかった謝罪」をせざるを得なくなったのは、近来にない事件で
あったと言えます。1990年代に、体制維持の為、核開発に予算を投
じ、餓死者を出した「苦難の行軍」時には、金日成は、人民の苦難
は仕方がないものと動じなかったのと比べると随分違っています。
この一因としては、金日成の時は、数十年に亘り、飢餓から無縁で
あった人民が、基本的には政権を信頼していて反抗するという知恵
すらなかったのに対し、今回は、飢餓状態を学習した人民が、経済
合理的な対応(物資隠匿)と政府に対する反抗を行う様になったとい
う違いがあります。また、政権の側も、前回は、社会主義政権崩壊
ドミノに巻き込まれるかどうかという切羽詰った状態であったのに
対し、今回は、国民の富の再分配というやや切迫度の欠けるもので
あった事も影響しているのかも知れません。
但し、その様な違いがあったにしても、貨幣経済が一時的に崩壊す
る程の経済的な大混乱が発生した事に間違いはなく、食料を中心と
した緊急援助に、貴重な外貨や鉱物資源の提供を余儀なくされた事
は間違いありません。しかも、それは、あくまで国民の飢餓状態を
救う為のものであり、国家経済を再建する為のものではありません
でした。
上の記事にある様な、鉄道や道路といったインフラ整備の事業に外
資を導入しなければならなくなったのは、自力更生を旨とする北朝
鮮にとっては、大きな方針変更ですが、これは、通常の形態では経
済建設が出来なくなった事の現れです。
1月に設立された国家開発銀行への出資を誘致する朝鮮大豊国際投
資グループは、香港で設立されている様ですが、実際には、朝鮮労
働党の外資誘致担当部門です。国家開発銀行の資本金100億ドル
の内、いくばくかは、香港で投資に回っていた金正日の個人資金や
朝鮮労働党の秘密資金があてられるのでしょうが、大宗は、中国か
らの出資を仰ぐのだろうと思われます。コマーシャルベースで北朝
鮮向けファンドに投資する人は、まずいない事を考えれば、中国か
らの出資は、政府資金であり、経済援助と殆ど変わりのないものと
言えるのかも知れません。
また、朝鮮大豊国際投資グループという如何にも投資ファンドの様
な外観を保つ事で、ファンドに対する出資とする事で、制裁破りの
非難を回避する事、また、在日朝鮮人や在外同胞からも香港経由で
制裁破りの資金を得たいという北朝鮮の期待を示しているのかも知
れません。(実際には、制裁対象リストにすぐに掲載されるので余
り効果はないと思われます。)
北朝鮮は、これまでにも、経済が不振の時期には、外資の導入を試
みながら、一時的に状況が改善すると、約束を反故にしたり、導入
時の条件を守らなかったりと、不安定な政策に終始してきました。
今回の外資によるインフラ投資も、その例外ではない事はいうまで
もありません。その意味で、その効果にも一定の限界があると思わ
れるのです。
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