2009年12月29日火曜日

首都圏空港アクセス問題の解決は正攻法で


※CGは、成田新高速鉄道の新スカイライナー

<羽田空港>新幹線乗り入れ 前原国交相がJR東海に打診

前原誠司国土交通相は27日、フジテレビの報道番組で「新幹線の基地が羽田
空港の近くにあるので、(新幹線の空港乗り入れについて)JR東海と話をし
ている」ことを明らかにした。東京-品川間から、羽田空港付近の大井車両基
地(東京都品川区八潮)に分岐する線路を「羽田新幹線」として活用。搭乗客
の利便性を向上させるのが狙いだ。

前原氏は、番組終了後、記者団に「国交相就任後にJR東海に話したが、品川、
東京駅のキャパシティーの問題を含め、現状では難しいという断りの返事だっ
た」と説明。同時に「羽田空港の本当に近くまで新幹線の路線が行っており、
もったいない、何とか使えないかという思いはずっと持っていた。まだあきら
めたわけではない」と述べ、JR東海と協議を続ける意向を示した。一方、
JR東海は「駅だけでなく、線路のキャパシティーもない」(広報)と消極的
で、「羽田新幹線」実現へのハードルは高そうだ。【大場伸也】

(毎日新聞 2009/12/27)

またまた、アイデアに飛びつくと言う前原国土交通相の悪い癖が出
てきました。今度は、羽田空港のアクセス改善に大井操車場まで来
ている新幹線の線路を延長できないかと言うものです。

確かに、近くまで、線路が来ているのであれば、それを使わない手
はないと言えます。しかしながら、何故、今まで、その単純なアイ
デアが実現できていないのかも考える必要があります。JR東海の
回答がある意味全てです。新幹線品川新駅をわざわざ作った理由は、
品川~東京間の線路を、東京~大井操車場を利用する列車と、品川
以西へ運転する列車が共用している事によるキャパシティ・ネック
を解消する為でした。品川新駅を設置する事によって、東京・品川
~大阪間の新幹線のキャパシティは、1時間当り11本から15本
に増加したのです。それが羽田新幹線ができた場合、東京~品川間
で、羽田新幹線用の列車が線路を共用する事で、再度、キャパシテ
ィが不足する事になってしまいます。

羽田空港へのアクセスについては、色々な問題があるのは事実です。
しかし、首都圏の空港問題を考える上で、羽田空港のアクセス問題
は、単体としては、それ程、緊急な問題ではありません。羽田空港
の新幹線によるアクセスを真剣に考えるべきであるのは、成田空港
~羽田空港間のアクセスを考える視点に立った場合です。

つまり、国内線主体の羽田空港と国際線主体と成田空港、更には、
東京、横浜、新宿といった都心部を高速鉄道で結ぶ事によって、首
都圏の空港問題を抜本的に改善すると言うものです。

この解決方法は、成田新幹線構想が、沿線自治体と市民運動によっ
て潰されて以降、首都圏空港問題が持ち上がると必ず、浮上しまし
た。一番最近のものは、羽田と成田の間をリニアモーターカーで15
分で結ぶ構想が、神奈川県から発表されています。しかし、建設費
等の問題で、より安価な、小手先の対応でお茶を濁されてきました。
成田新高速鉄道も、その代替策の一つですが、やはり当初の構想と
は大きく異なり、空港間アクセス問題を解消するものではありませ
んでした。

国交省の航空政策の検討を見ても、「羽田、成田両空港を一体的に
運用する」というお題目はいつも掲げられてはいますが、ハードウ
ェアとしてそれを実現するアクセス手段は、先送りされていると言
って過言ではありません。

これからの日本には、最早、空港問題について反対運動と遊んでい
る様な余裕はなくなってきています。成田空港問題は、すでに、わ
ずか二戸の反対農家の移転問題になっています。たった二戸の農家
の反対で、成田空港をいつまでも不十分な状態にしておく事が、国
益を毀損するのは明らかです。政府は、いつまでも、「橋の論理」
で、反対者の同意を待つのではなく、最大多数の最大幸福を最小コ
ストで実現すべく権力を行使すべきなのです。また、政治家は、そ
の権力を国民から委任されている事を忘れてはならないのです。
首都圏空港のアクセス問題も、同様に小手先の代替策などではなく、
骨太の解決策(羽田・成田新幹線やリニア新幹線の新設)で正面突破
を図る事が結果的に最小コストによる最短の解決策になる様に思わ
れるのです。


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