2009年9月2日水曜日

ヘリ搭載護衛艦からヘリ空母に近づいた22DDH

※海自 画像は2ちゃんねる 軍事板 「ひゅうが型DDH 94番艦」スレ #667より転載

最大の「空母型」護衛艦配備方針=ヘリ14機、洋上給油も-防衛省

防衛省は31日、海上自衛隊に最大規模のヘリコプター搭載護衛艦(基準排水
量19500トン)1隻を配備する方針を決め、2010年度予算の概算要求
に1166億円を盛り込んだ。艦首から艦尾まで甲板がつながる「空母型」で、
ヘリ5機の同時発着艦のほか、他艦への洋上給油が可能。
同じタイプの「ひゅうが」(13950トン)から機能は大幅にアップするが、
予算を見直すとしている民主党政権の下、無事「船出」できるかは不透明だ。
新たな護衛艦は全長248メートルで、哨戒ヘリ3機が同時発着できるひゅう
がより51メートル長い。甲板と格納庫でヘリ14機を搭載する。
輸送力も増強し、陸上自衛隊のトラック約50台、人員約4000人を運ぶこ
とができる。
護衛艦「しらね」(5200トン)の後継だが、洋上給油もでき、周辺海域で
の継続的な警戒監視、海外派遣や大規模災害時の物資、邦人輸送など、さまざ
まな場面で中枢艦の役割を果たすという。 
新型艦導入について、海上幕僚監部は中国海軍の近代化も背景にあるとし、
「(中国は)巡航ミサイルなど艦艇からの攻撃力を向上させており、ヘリによ
る監視の強化が必要」(幹部)と強調する。
一方、戦闘機などの発着艦について、同省は「その考えはない」としている。

(時事通信 2009/08/31)

        22DDH    16DDH
基準排水量  19500t   13950t
全長       248m     198m
全幅        38m      33m
速力        30kt      30kt
CIWS         2基       2基
SeaRAM        2基        無
VLS           無 16セル(Mk41)
FCS-3改         無        有
アスロック装置     無       1式
3連装短魚雷発射管   無       2基
搭載ヘリ
哨戒ヘリコプター   7機       3機
輸送・救難ヘリコプター2機

ヘリ搭載能力    14機      11機
同時発着能力     5機       4機
同時運用可能ヘリ数  9機       4機

輸送力
 3.5tトラック約50台
洋上給油能力
価格(概算要求時)1166億円   1164億円
                (ひゅうが1057億円)
                (いせ   975億円)

新聞報道に書かれていたスペックを16DDHと並べてみましたが、
ここからだけでも、新しい22DDHの性格が判る様に思われます。
つまり、16DDHが主砲こそないものの、その武装が、従来のヘ
リコプター搭載護衛艦の延長線上にあったのに対し、22DDHで
は、よりヘリ空母としての運用と特性に合致した仕様に変化してい
ると言えます。

例えば、16DDHではヘリがあっても無くても単独で潜水艦を探
知、攻撃できる武装になっていますが、22DDHでは、アスロッ
クも短魚雷もないので、ヘリなくしては単独で潜水艦を攻撃する事
ができません。また、完成予想図から見る限りソナーシステム(OQQ
-21)も16DDHに比べ簡素化が図られているようです。更に、
16DDHではFCS3改とESSMにより限定的な艦隊防空も可
能でしたが、22DDHでは、個艦防御用の装備のみとなっています。

その代わりに、22DDHが得たのは、16DDHに比べ40%も
大きな船体と、二倍以上(4機→9機)となるヘリコプター同時運
用能力と整備能力、そして、船体の大きさの割に安価な建造コスト
です。

16DDHの運用構想では、DDHは対潜グループの中核艦として、
DDG1隻、DD2隻からエスコートされる事になります。艦隊防
空指揮機能はDDGが担いますが、対潜指揮機能は、データリンク
で結ばれる事で、22DDHが持つ充実した司令部機能が担う事に
なります。

22DDHでは、16DDHと比べ、船体の全長が52m長くなっ
た他、舷側エレベータの採用やVLSを搭載しない事で、16DDH
と比べ、エレベータ部分を除いた艦内ヘリ格納庫は、16DDHと
比べて二倍以上
になる筈で、そこに収容可能なヘリ数は、表面上の
収容数の増加よりは、更に大きくなる事は間違いありません。また、
これが整備能力の一段の向上に繋がると考えられます。加えて、こ
の大きくなったヘリ格納庫の活用方法として車両輸送を想定してい
るのだと思われます。

価格面では、船体規模が40%大きくなったにも係わらず、船価は
略同じです。船価の安さはDDと比べると一段とはっきりします。
19DD(750億円)と比べ、船体の大きさが4倍であるにも係わ
らず、取得費用は、五割増に過ぎないのです。

言い換えれば、22DDHはDDのエスコートによる運用を前提と
する事で、16DDHの過剰な機能を削ぎ落とし、より航空機運用
に最適化した艦
になったと言えるのです。


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